【鈴鹿8耐】ヤマハ4連覇の舞台裏…エース不在を支えたのはチームの“浪花節”だった

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鈴鹿8耐4連覇を果たしたYAMAHA FACTORY RACING TEAM
鈴鹿8耐4連覇を果たしたYAMAHA FACTORY RACING TEAM 全 4 枚 拡大写真

2018年の“コカ・コーラ”鈴鹿8耐は、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの4連覇で幕を閉じた。しかし、エースライダー中須賀克行は土曜日の走行で転倒・負傷。決勝レースを走ることはなかった。

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土曜日のフリー走行で転倒した中須賀は、そのフリー走行終了直前に数周だけマシンを走らせたが、それはタイムを出すというものではなく、ダメージを受けた身体のチェックをするものだった。そして中須賀はチームに対して1スティントだけでも走りたいと訴えたが、吉川和多留監督の答えはノーだった。

ファクトリーチームとして優勝を目指して戦う以上、計算できない戦力を加えることはできなかった。いや、怪我をしてからも実際に走ることはできたのだから、戦力外ではなかったはずだ。中須賀が師と仰ぐ吉川監督は、レースに出場させて万一にも怪我を悪化させてしまうことを避けたかったというのが本音だろう。

決戦前夜、吉川監督はライダーのアレックス・ローズとマイケル・ファン・デル・マークに、決勝レースを2人で走ることになるかもしれないことを告げる。するとローズは「分かった。もちろん中須賀さんが走れることを祈っているけれど、無理な場合はマイケルと2人で何とかする。中須賀さんが完璧に仕上げてくれたマシンで、中須賀さんを表彰台の中央に連れて行くよ」と語り、ファン・デル・マークも「2人で戦うのはちょっとドキドキするけれど、アレックスと、そしてこのチームならば大丈夫。中須賀さんと一緒に表彰台のいちばん高いところに立とう」と決意を固めた。

イギリス人のローズ、オランダ人のファン・デル・マークの浪花節的コメントだが、この団結こそがこのチームの最大の武器なのである。

そのレースはウエットコンディションで始まったが、30分ほどでドライコンディションに変わり、さらにレース中に何度となく雨が降るという難しいものとなった。一方で転倒者も相次いでセーフティカーが3回も介入するなど、近年の鈴鹿8耐では極めて荒れた展開。だが、レースが荒れれば荒れるほど、3連覇を達成して勝ち方を知っているYAMAHA FACTORY RACING TEAMはその強さを増していく。

「4連覇がかかっているので、アレックスとマイケルのライディングはテレビの中継カメラで追われることが多い。我々チームスタッフはコース上で何が起きているか詳細には分からないので、異変を感じたらどこにいてもとにかくアピールしてほしいとライダーに伝えました。モニターを見ていてそれが判別できたら、すぐにピットが動くという形です」(吉川監督)。

スーパーバイク世界選手権で3連覇中のジョナサン・レイを擁するKawasaki Team GREENはガス欠さらには転倒で優勝争いから遅れ、10年ぶりに復活したTeam HRCのRed Bull Honda with 日本郵便は急きょチームに加わりマシンテストが十分に行えていないパトリック・ジェイコブセンをスクランブル発進させる状況に追い込まれた。対してYAMAHA FACTORY RACING TEAMは、天候の急変やセーフティカーの介入にも動じることなく着実に周回を積み重ねて見事4連覇を達成した。

ファン・デル・マークに促されて最終走者ローズのチェッカーの瞬間をツナギ姿で見届けた中須賀は「アレックスとマイケル、このすごすぎる2人のライダーに感謝の気持ちで一杯。このチームの一員であることを本当に誇りに思う。ただ、ライダーとして走れず、こんなに悔しい思いをしたのは初めて。来年は、このチームのライダーとして、再び力を合わせて戦いそして優勝したい」と語ったが、それはすなわちYAMAHA FACTORY RACING TEAMの鈴鹿8耐5連覇を意味しているのである。

《佐久間光政》

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