いすゞ瀬戸常務「トヨタとの協業が資本関係に見合う大きさになり得なかった」

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いすゞ自動車 瀬戸貢一 常務執行役員
いすゞ自動車 瀬戸貢一 常務執行役員 全 3 枚 拡大写真

いすゞ自動車の瀬戸貢一常務執行役員は8月3日に都内で開いた決算説明会で、トヨタ自動車との資本関係解消について「トヨタとの協業が資本関係に見合う大きさになり得なかったということで、資本をいったん解消しようということになった」と背景を明かした。

いすゞとトヨタは2006年11月、ディーゼルエンジンを中心に開発、生産分野での相互の経営資源活用や技術補完を図ることで合意。同時にトヨタはいすゞの発行済み株式の5.89%を取得した。

瀬戸常務は「トヨタとは2006年に小型のディーゼルエンジン、後処理系、環境技術の大きな3つの分野で一緒にやっていこうということで資本が入った。一番大きかったのがヨーロッパ向けの1.6リットルのディーゼルエンジンの共同開発で、プロトタイプまで造ったが、その後トヨタの方針がハイブリッドの方にシフトしたこともあり、採用には至らなかった」と経緯を説明。

さらに「その後も他の分野含めていろいろな協業を検討し、具体化が進んでいるプロジェクトもある。ただいずれも資本関係に見合う大きさのものにはなり得なかったということで、いろいろ話をした中で資本をいったん解消しようということになった」と述べた。

今回の資本関係の解消に伴いトヨタは保有する全てのいすゞ株を売却。いすゞは、これをすべて買い取る方針。現在いすゞは発行済み自己株の7%を保有しており、トヨタ売却分を取得すると、その比率は12.89%まで高まり、筆頭株主に躍り出る。

瀬戸常務は自己株について「まずは自社で持った形をとる。当然、いろんな形でのアライアンスの話もあるので、そういったものに活用する可能性もあるということで、株は自社で保有する。先々、消却することも考えているが、まずは機動的な部分に使っていく」との方針を示した。

トヨタという後ろ盾がなくなることで次世代技術への対応が懸念されるが、瀬戸常務は「アライアンスというと自動車会社同士の提携が中軸だったが、各社、自動車に限らずいろんな分野でのアライアンスを模索している。今まで自動車をやっていなかった異業種が参入してくる状況にあるので、幅広くいろんな分野のパートナーとの協業の中で先端技術をものにしていく必要がある。とくに自動運転、いわゆる自動車会社の技術範囲を超えたもの、センサーや画像認識などを考えると、やはりより幅広い協業が必要になってくる。そういったことも含めて今回の結論に至った」と述べた。

さらに「自動車会社が頂点にあって、その下にサプライヤー群がいるというピラミッド型の関係が、今後IT系も含めて水平型になっていくのではないかということを考えると、必ずしも自動車会社のグループに入っていることが必要かと、はっきり言えない部分がある」と指摘した。

その一方で「足元をみると既存事業のためのR&Dコスト、加えて先行投資負担もかかっている。これはどこの会社も規模の大小を問わず同じで、とくに商用車系に関しては乗用車に比べボリュームの単位が違うので、先行技術の開発でなんらかの形でシェアリングしていくことは当然求められることになる。そういった観点からもアライアンスは避けられないと認識している」とも話していた。

《小松哲也》

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