なぜビートルはあの形になったのか…生誕80周年を記念した本が刊行

モータースポーツ/エンタメ 出版物
『フォルクスワーゲン ビートル』三樹書房
『フォルクスワーゲン ビートル』三樹書房 全 1 枚 拡大写真

『フォルクスワーゲン ビートル』
3世代にわたる歴史と文化の継承
著者:武田隆
発行:三樹書房
定価:4104円(消費税込)
ISBN987-4-89522-693-6

フォルクスワーゲン『タイプ1』、愛称ビートルが誕生して80周年を迎える本年、そのタイプ1から『ビートル』の2代目、3代目までを網羅した本が出版された。

1938年、フォルクスワーゲンの工場の起工式において、『V303』と呼ばれる3台の試作車が披露された。そこでヒトラーはkdfワーゲンと命名。これがタイプ1と呼ばれるフォルクスワーゲンのスタートだ。第二次世界大戦をはさんで1945年から販売が開始され、2003年まで生産。その数約2100万台以上と、世界最多の累計販売台数の記録を打ち立てた名誉ある国民車となった。

多くの書籍でタイプ1が語られているが、そこから『ニュービートル』、『ザ・ビートル』へとつながる系譜をつづられているものはあまりない。本書ではなぜニュービートルが復活したのかや、ザ・ビートルがオリジナルのタイプ1のデザインを現代に置き換え、解釈したモデルであることや、様々なプロトタイプなどにも言及することで、この壮大なストーリー全体の流れを俯瞰できるようになっている。

さらに興味深いのはなぜタイプ1は丸いデザインになったのか、またアメリカでどのような戦略のもとに人々の心をつかんだかなどをハード面だけでなく、ソフト面でも記されているので、メカニカルな部分が苦手な読者でも、興味深く読むことができよう。

また、後半では、各世代のモデルの変遷を、当時のカラーカタログなど約600点を収録して紹介。巻末には年表や生産・販売台数など資料も掲載しているので、資料としても価値ある1冊となっている。

なお本書は、2015年5月に刊行した同書はそのままにタイプ1誕生80周年を記念して、専用のカバーデザインに一新した新装版で、500部限定である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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