【スーパーフォーミュラ 第5戦】石浦宏明がタイトル争いの“正念場”で今季初優勝…ランキングは上位3者による接戦状態に

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優勝した#1 石浦宏明(後方は#20 平川のマシン)。
優勝した#1 石浦宏明(後方は#20 平川のマシン)。 全 16 枚 拡大写真

スーパーフォーミュラ(SF)第5戦もてぎは19日、決勝日を迎え、石浦宏明が実質的完勝といってもいい流れで今季初勝利を達成。チャンピオン争いでは今回3位のニック・キャシディがトップに立ち、山本尚貴、石浦と3人が3点差にひしめく接戦状態となってきた。

ドライコンディションに恵まれ続けたこの週末のツインリンクもてぎ。ロードコース52周(250km)の決勝レースは14時15分にフォーメーションラップが始まり、その数分後にスタンディングスタートで開戦した。スタート時の気温は30度、路温42度。

決勝レースではソフトとミディアム、両スペックのタイヤを一度は履く義務があり、ピット戦略は1回ストップでのタイヤ交換&給油が基本線。注目はスタートタイヤをどちらにするかの選択だが、グリッド上位は主にソフト、中団以降はミディアムが多く、全体としてはほぼ半々になった。

スタートではポール発進の#1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が先頭をキープしたが、オープニングラップを首位で終えたのは予選3位の#6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)だった。レース前半のトップ争いは、#6 松下を#1 石浦が僅差で追いかける展開に。

#1 石浦は1秒前後の差で#6 松下を追いかけ続けた。前に出られないままピットストップ攻防を迎えるが、どうやら今回の#1 石浦は、マシンの仕上がりを含めた総合力において他の18台より一枚以上、上の領域にあったようだ。

レース中盤の27周目に#6 松下が先にピットへ入ると、前が開けた#1 石浦は一気に1.5秒近くラップタイムペースを上げる。クリアな空間でスパートし、自身が40周目にピットインした時にはそのままトップでコース復帰。この時点で2位は、序盤~中盤を燃料搭載量軽めで走る2ストップ作戦を採り予選9位から浮上してきた#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)だった。最終的な#20 平川との差は2.7秒と大きくはなかったものの、#1 石浦は貫禄の走りで今季初優勝を飾る。

#1 石浦宏明のコメント
「相手(#6 松下)に迫って仕掛けようとすると自分のタイヤが一気にヒートしてくる感じだったので、タイヤを守って、そのあとで勝負することに切りかえました。シフト関連のトラブルが出ていて不安もあったんですけど、予定通りに勝ててホッとしています」

不安要素も抱えつつの戦いではあったが、ライバルに先行を許しても焦らずに力を溜め、そして先頭に立ってからスパートした戦いぶりは圧巻のひとこと。実質的完勝の評価をしていいだろう。自らがチャンピオン争い生き残りに向けての「正念場」と位置づけたレースで「予定通りに」勝ち、ポール獲得の前日に続く「ホッとしました」。この勝利で#1 石浦は、ドライバーズポイントランク首位から3点差(2位タイ)の位置まで追い上げ、2年連続3回目の王座をより明確に視界にとらえることに成功している。

また、今回の#1 石浦は37歳と4カ月弱の勝利で、これは1996年のフォーミュラ・ニッポン発足以降では全日本トップフォーミュラ史上2番目の年長優勝記録となった。従来2番目だった記録をもつ先輩・本山哲(現B-MAX監督、SUPER GTでは現役)を抜き、「本山さんに威張れますね」と笑顔。ちなみに96年以降の最年長優勝記録は元祖日本一速い男・星野一義(現IMPUL監督)で、なんと48歳。これを伝えると、石浦は「星野さんを目標に頑張ります」と、やはり笑顔を見せていた(記録はすべて手元集計)。

#20 平川に続く決勝3位は#3 N. キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)で、トヨタ勢が表彰台を独占。予選5位だった#3 キャシディは前方4台とは逆のミディアム選択でスタートし、3戦連続の表彰台ゲットを成した。これでポイントランク首位に浮上。一方、前戦終了時に1点差で首位だった#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)は今回7位、#1 石浦とともに3点差で#3 キャシディを追う立場に変わった。残り2戦、どうやらこの3人が2018年の王座を激しく争うことになりそうだ。

決勝4位は#6 松下で、ホンダ勢最上位。今回は奇抜な作戦を駆使して浮上する選手が2位の#20 平川以外にもおり、#8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)は1周目にミディアムタイヤを“捨てる”ためのピットインをする変則2ストップ作戦を敢行、予選15位から10ポジションアップの5位入賞を果たしている。決勝6位は#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)。2番グリッドから発進した#5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)は決勝8位だった。

SFは次戦、岡山国際サーキットへと転戦する。“ラスト前”の重大局面を迎えるチャンピオン争いが注目されるのはもちろんとして、今年の岡山戦には別の焦点も。予選Q3でオーバーテイクシステムの使用が可能となり、それによるパフォーマンスアップで岡山の伝説的なオールタイムコースレコード、1994年F1パシフィックGPの予選でアイルトン・セナがマークした1分10秒218をブレイクしようという試みだ。

誰かが、あるいは複数名がセナ越えを果たすのか、それとも伝説は伝説のまま残るのか? タイムに影響する気象条件(温度条件)の予報も戦前から大きく注目されそうなSF第6戦岡山は、9月8~9日に開催される。

《遠藤俊幸》

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