【スズキ ジムニーシエラ 新型試乗】今度のシエラはジムニー以上の存在感を放っている…片岡英明

試乗記 国産車
スズキ ジムニーシエラ 新型
スズキ ジムニーシエラ 新型 全 8 枚 拡大写真

世界で戦うジムニーシエラ


世界では『ジムニー』より有名で、多くの国に熱狂的なファンを持つクロスカントリー4WDが『ジムニーシエラ』だ。ジムニーは軽自動車だから制約が多い。これに対しジムニーシエラは、制約の少ない小型車だからボディサイズもパワーユニットも余裕がある。

もちろん、ベースとなっているのはジムニーだが、バンパーを大きくし、樹脂製のオーバーフェンダーを被せて全幅を170mm、トレッドも130mm広げた。だから一段とカッコよく見え、遠くからでも目立つ。タイヤサイズもジムニーは175/80 R16だが、シエラは195/80 R15だ。メーターなども専用デザインとした。
スズキ ジムニーシエラ 新型
キャビンスペースはジムニーと同じだから前席優先の設計である。Aピラーが後退するとともに立ったから視界はいいし、見下ろし感覚だから車両感覚もつかみやすい。頭上は余裕たっぷりで、大柄な人でも最適なポジションで座ることができる。

4速AT車は左側に足を置くスペースがあるが、5速MT車はフットレストがないのが残念。後席はそれなりの広さだが、乗り込んでしまえば窮屈とは感じない。両サイドのボックスがなくなったので横方向も余裕があった。

力強く、静粛性も格段に高いシエラ


ジムニーと大きく違うのはパワーユニットだ。先代は1.3リットルのM13A型を積んでいたが、新型シエラは200cc大きい1.5リットルのK15B型直列4気筒DOHCエンジンを搭載する。ターボではなく自然吸気エンジンだが、動力性能と快適性に不満はなかった。

エンジンは軽快に回り、ロックアップ機構付きの4速ATでも力強い加速を見せつける。3000回転あたりからパワーとトルクが盛り上がり、パーシャル域からの再加速も冴えていた。

静粛性能も大きく向上している。ジムニーも静かになったと感じた。が、遮音材は同じ量でも静粛性は一歩上の印象だ。とくに高速走行では差をつける。振動もうまく抑えていた。アイドリングストップの作動時間は長くはないが、味付けは上手だ。
スズキ ジムニーシエラ 新型

追従クルーズコントロールがあれば


ジムニーよりトレッドが広く、太くて大径のタイヤを履いている。だからコーナリングはジムニーより安定して、踏ん張りが利く。グラッとくるロールも上手に抑えられていた。

ハンドリングは先代よりはるかに洗練度が高い。パワーステアリングは舵を入れたときの正確性が増し、狙い通りに気持ちよく曲がる。直進安定性もよくなった。ブレーキング時の落ち着きも増し、挙動の乱れは少ない。また、悪路と舗装路での乗り心地も向上している。ジムニーのほうが路面からの当たりは穏やかに感じるが、不快ではない。

新しいジムニーシエラは安全装備も充実させ、魅力を増した。数少ない不満は、追従クルーズコントロールでないことだ。いくつか不満はあるが、今度のジムニーシエラはジムニー以上に強い存在感を放っている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. スイスポ最終モデルの完全進化形! BLITZが手掛けた“走りと快適”の完熟セットアップPR
  2. BMWの電動スクーター『CE 04』、3つの新デザインバリエーション発表
  3. 山陽道・福山SAにガシャポン専門店、中国地方初 7月18日オープン
  4. これが最後のガソリンエンジンか!? BMW『X5 M』が歴代最強の700馬力オーバーに
  5. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
ランキングをもっと見る