「善意のキャンディー」は是か非か…車内のおやつの危険性【岩貞るみこの人道車医】

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2歳児と車内でのおやつ


今から20年ほど前、4歳児がお祭りの屋台で買った綿あめを食べているときに転び、割りばしがのどに刺さって死亡した事故がある。報道でも大きく取り上げられたので、40歳以上の世代の方は、記憶にあるところだと思う。刑事裁判も民事裁判も終わった時点で、この件についてなにかを言うつもりはない。

この事故で私が学んだのは、「綿あめを食べるときは、横からなめる」「ましてや、転びやすいこどもには、そう教える」である。

もともと私は粗忽な性格なので、バーベキューなどの開放的な場所だと、状況に応じて箸を口にくわえる癖がある。焼けた肉が盛られた皿を両手に(めいっぱい欲張って)持つと、箸は“当然”、口で運ぶのが楽で、手っ取り早いからだ。

だけど、最近ふと、この事故を思い出す。若いうちはまだよかった。転びにくいから。でも、最近は子どもでもないくせになにかとよろめく(つまりはオババ化)。箸を口にくわえたまま転んだらどうなるのだろう? 考えたらぞっとした。のどに突き刺さる。突き刺さった先には、頸椎があり頚髄があり、脳もある。

もう、箸をくわえながら歩くのはやめよう。強く思う。そして、くわえるように食べながら歩くのもやめなければ。綿あめのような。

綿あめを食べるときは、タテではなくヨコから。転びやすい子どもなら、なおさらである。もしも、アイスバーのように、長い棒状のものがはいっているもの食べさせるときは、座らせてほしい。立ったまま、転ぶ危険性がある状況を作らないこと。ぜひ、まわりの大人が気づいて教えてあげてほしい。

救命救急医の意見は「ノー」


さて、今回のテーマ、飴である。山口県で二歳児が行方不明になり、スーパーボランティア氏の大活躍により、無事に保護された。そのときに話題になったのが、飴を渡したというもの。

ネット上では、「2歳児に飴はよくない」という意見が出た。それに対して、ネット市民の反応は、
「だったら、お前が助けに行け!」
「部外者が、しのごの言うんじゃない!」
スーパーボランティア氏を貶める意見としてとらえて大騒ぎになった。

いや、そうじゃなくて。スーパーボランティア氏が行ったことは、すごい。誰でも真似できることじゃないし、間違いなく称賛されるものだと思う。ただ、その行為と、“2歳児に飴”は、切り離して考えたい。

2歳児に飴をあげていいかどうか。今回の件に関して、救命救急医の意見は、「ノー」だ。

「乾ききった喉に飴がつまる可能性が高い」というのもの。ただでさえ、子どもの喉は細い。しかも、飲まず食わずの状態なら唾液の粘性も高くなり、喉はへばりつくほど乾いているかもしれない。そこに飴をわたして、勢いで飲み込んだら、つまらせて窒息の可能性が高いのである。

小児救急の現場では、喉に飴をつまらせて運ばれてくる事例は少なくない。なかには亡くなるケースもある。子どもの喉は細いうえに、子どもは、ひゅっと飲み込みやすいのだ。おそらく読者も小さいころ、うっかり飴を飲み込んで苦しい思いをした経験があるんじゃないだろうか(私はかなりやらかした)。

善意の飴が命をうばう可能性


最近の保護者は「4歳まで飴をあげるのはやめましょう」という情報が共有されつつあるようだけれど、実は、じーちゃんばーちゃんの世代にはない。彼らの子育て時代には、そんな情報はなかったからだ(チャイルドシートの状況に似ている)。

けれど、じーちゃんばーちゃんは、孫かわいさゆえ飴をあげる。この善意の飴が、どれだけ子どもの命を奪ってきたか。この件は、きちんと考えていかないといけないと思う。

さらに、4歳以上になったとしても、車内で与えるお菓子には注意したい。飴は口のなかで長持ちするし(子どもがおとなしくなる時間が持続する)、ポテチやクッキーのように、クルマのなかにばらばらこぼれないし、手軽でいいかもしれないけれど、クルマがゆれた瞬間に、ひゅっと飲み込んでしまう危険性があるからだ。

飴も綿あめも、アイスバーもおいしくて大好きだけど、食べさせ方によってはちょっと危険もあるってこと(ほんとにあるってこと)、知っていただきたいです。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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