【モスクワモーターショー2018】開幕、ロシア車復権の狼煙上がる

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アンベール直後のラーダ4x4ビジョン
アンベール直後のラーダ4x4ビジョン 全 13 枚 拡大写真

ロシアで最大のモーターショー「モスクワ国際オートモビルサロン2018」(MIAS2018)が8月29日、首都モスクワ郊外の複合施設、クロッカス・エキスポで開幕した。

前回(2016年)は、ウクライナとの間に起こったクリミア問題に対する、欧米諸国の対ロシア制裁の影響で出展者が激減。国際モーターショーでおなじみの大手ブランドがほとんどいないという傾向は今回も続き、率直に言って出展者の顔ぶれは寂しい。それでもルノーが復活し、クーペSUVの『アルカナ』をワールドプレミアしたことは明るいニュースだ。

それよりもさらに印象的だったのは、ロシア自動車産業復活の狼煙が上がっていることを感じられることだ。現在はロシア唯一となってしまった大手乗用車ブランド「ラーダ」を擁するアフトワズは『4x4』の次期モデルを示唆するコンセプトモデルを公開。

かつては『ニーヴァ』と呼ばれ親しまれていたロシアの「リビング・レジェンド」のひとつが、いよいよ新世代に移行する準備を迎えつつあることを示し、現地メディア関係者も熱い視線を注いでいた。

また一部メディアで「プーチン大統領専用」として話題になったリムジンが、新たなラグジュアリーブランド「AURUS」(アウルス)の手がけるモデルであることも明らかとなった。

今回が初出展となるアウルスには特設ホールがあてがわれ、初の民生用サルーン『セナート』をアンベール。詰めかけた報道陣は、自国産業のポテンシャルを示す新ブランドに熱視線を注いでいた。

それにしても、前回に引き続き日系ブランドの乗用車がゼロというのは寂しい。欧州勢としてはルノー以外にVWも出展。ただし展示ホール内にブースはなく、屋外に仮設テントを設置してパビリオンを展開する。

いっぽう韓国勢は現代自動車と起亜自動車が大きなブースを展開。中国勢も長城汽車、吉利汽車、広州汽車、力帆汽車そして江准汽車が出展している。日本勢としては唯一カワサキのロシア法人が出展し、モーターサイクルとATVを展示していたのみだ。

2017年のロシア新型車市場は、乗用車とライトトラックを合わせて約159万6000台。前年よりも10パーセント以上も拡大し、着実な成長を続けている。これに加え、ヨーロッパ各国をはじめ日本やアメリカ、南米諸国などありとあらゆる国から大量の中古車がロシアに流れ込み、モスクワの路上は世界でもっとも車種バラエティに富んだものとなっている。

以前に比べると数は減ってきたものの、右ハンドルの日本国内専用モデルを見かけることもいまだ珍しくない。日系ブランドのショー出展見合わせは商機を逸するどころか、安価で高品質な中韓勢に市場を奪われてゆくのをただ指をくわえて見ているだけにならないだろうか?

なおMIAS2018では「テクノロジー・フェスティバル」と銘打ち、電動モデルを集めた特設イベント「モビリスティク'18」も開催。ここではポルシェ『ミッションE』や電動路線バス、デザイン学生作品などバラエティ豊かな展示をしている。MIAS2018は9月9日まで開催され、入場料は平日が500ルーブル(約820円)、土日が750ルーブル。

《古庄 速人》

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