ダイムラー商用車が向かう「明日」はどこか…IAA2018直前イベント

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ダイムラー「Product Experience」
ダイムラー「Product Experience」 全 19 枚 拡大写真

いよいよ2018年もIAA商用車ショー(ハノーバーモーターショー)が、9月20日から29日までドイツ北部の都市ハノーバーで開催される。今回のテーマは「Driving Tomorrow」。

全てはより良い明日のために、商用車には何が求められているか、そして何ができるのか。まずはこのテーマに我こそはと真っ向から挑むのが、ご存知メルセデスベンツのダイムラーだ。

本番直前の9月18日は、恒例のダイムラー主催「Product Experience」が開催されたので、注目モデルをお伝えしたい。

今回のトピックスは、大型電気トラックのメルセデスベンツ『eActros』(eアクトロス)、小型電気トラックの三菱ふそう『eCanter』(eキャンター)、大型EV路線バスのメルセデスベンツ『eCitaro』(eシターロ)、そして新型『Actros』(アクトロス)。

eActrosは、ダイムラーが2016年に世界初の完全EVトラックとして先行発表し、注目を集めたモデル。2018年2月にワールドプレミアされ、量産開始は2021年と発表された。総出力240kWhの11個からなるバッテリーと、ホイールハブに搭載される最大出力2×126kWの電気モーターを搭載。航続も200kmをカバーするなど、期待されるモデルだ。

小型電気トラックのeCanterは、こちらもダイムラーグループ初の量産小型電気トラック。総出力82.8kWhの6個のバッテリーを搭載し、電気モーターの出力は129 kW。すでに北米、欧州、アジアの主要6都市で運用済みで、ほぼ無音という静かさが特徴だ。航続は100km。都市部での運送業者の配送距離を十分に満たせる距離を実現した。生産は、欧州、北米を含む30カ国向けはポルトガル、日本向けは三菱ふそうが担当する。

バスにも注目いただきたい。新型大型電気バスのeCitaroだ。見た目のインパクトはもちろん、路線バスとしてもかなりの風格をもつ。eCitaroはIAA2018がワールドプレミア。243kWhのバッテリー容量で、88人の乗車が可能となる。ダイムラー・バスの eMobilityには欠かせない存在ということで、量産は今秋からの予定。すでにドイツ内外から数十台のオーダーが入っている。

そしてイベントのメイン製品は、全世界の物流業者待望の大型トラック、新型アクトロスだ。

レベル2に達した半自動運転技術「アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)」が搭載される。すでに立証されている近接制御システムに、ストップ&ゴー機能と車線逸脱防止支援システムがプラスされた形だ。前走車に接近した際にブレーキ介入するだけではなく、その後も設定された速度に到達するまでアクセルワークを自動で行う。そして同時にフロントに設置されたカメラとレーダーが車線逸脱を防止するためにハンドル操作を行う。これはドライバーがADAをオフにしても有効状態は保持される。

新しいアクトロスは、従来のアウトサイドミラーの代わりに、新型デザインのサイドミラーにMirrorCamを内蔵したことも最大のトピックス。視認方法もインテリアのAピラーに縦30cm×横10cmほどのモニターが設置され、従来型のサイドミラー同様、クリアな視界で後方側面の確認が可能となりドライバー視線での違和感は殆どない。ドライバーへ確かな情報を提供しながら空力特性も高速道路で3%、一般道路で最大5%の改善を実現している。

そして、進化した歩行者検出技術「新型アクティブ・ブレーキ・アシスト(ABA)」にも注目が集まる。今回はこれまでのABA4にさらに改良が加えられたABA5を搭載。フロントに設置されたカメラとレーダーで最高50km/mの走行速度でも歩行者を検知。車線内(危険領域)に入った歩行者や自転車をすぐさま感知し緊急ブレーキを発動させるというもの。

このABA5は、障害物に対しドライバーへ3段階の警告を行う。例えばドライバーが回避行動を行っていない場合は、音と表示で警告。その後部分的にブレーキをかけ、それでもドライバーが反応しない場合は、システムが緊急ブレーキを作動させ、車両が停止すると電子ハンドブレーキが自動でかかる。

また、2016年のワールドプレミアで発表された、側面を通過する自転車や歩行者などを守るサイドガード・アシスト(SGA)も搭載。ドライバーの死角となる部分に障害物が侵入した状態での右折による接触事故を未然に防いでくれる機能だ。障害物の存在を察知すると助手席側(ドイツでは右側)の MirrorCamディスプレイに三角の警告灯が光り、続いて音でも知られるというもの。

このメインピースは、助手席のリアアクスル前部のフレームに設置された、2つの短距離レーダーセンター。けん引などで全長が長い車両に主眼を置き、前方2m、後方最大1mの距離をもカバーが可能となった。

第67回IAA商用車ショーでは、ダイムラーは屋内にトラック、バス、バンなど64台を展示。欧州市場向けの車両だけでなく、「世界のトラックとバス」を展示し、輸出市場向けの車両と三菱ふそうのショートラックも展示される予定だ。

《吉澤憲治》

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