まるで巨大な駐車場、スピーディにギッシリ詰める作業員のスキルに驚き…スバル車船積みの現場

自動車 ビジネス 国内マーケット
自動車運搬船用船「ヘラクレスリーダー(HERCULES LEADER)」
自動車運搬船用船「ヘラクレスリーダー(HERCULES LEADER)」 全 42 枚 拡大写真

SUBARU(スバル)は日本で製造した車両を年間数十万台も国外へ輸出するが、船積みのための埠頭のひとつが川崎市の扇島にある。そこに横付けされた自動車運搬専用船のなかで、新型『フォレスター』を積み込んでいく作業を見学。それは、まるで巨大な立体駐車場のようだった。

「ヘラクレスリーダー(HERCULES LEADER)」は日本郵船が約120隻所有する自動車運搬船用船のひとつ。全長199.94×幅32.26×高さ44.98m(海面下も含む)。外から見ると巨大な倉庫のようだ。間近に見ると何とも言えぬ迫力がある。いっぽう、船内は12層に分かれていて、それはさながら12階建ての立体駐車場である。この船は乗用車換算で4900台を積載できるが、4900台が収まる駐車場を想像してみればその異次元のサイズがわかりやすいだろう。

今回、そこに北米向けの新型フォレスターを積み込んでいく様子を見ることができた。車両と車両の感覚は左右方向で10cm、前後間隔は30cmを基準に目測で“ぎゅうぎゅう”に並べられていくのだが、まず驚いたのはその正確さとスピードだ。ピタリと場所を決めていくのにもかかわらず“切り返し”といった余計な作業はまったく見られず、驚くほどの早さで整然と並べていく技術は、まさに職人技である。その駐車技術は尊敬に値すると感じた。ドライバーと誘導員がセットになり積載車両の位置決めをするチームは、1チームで1時間あたり100台、1日で600台の車両を積付けしていくという。

今回は車両積載の様子のほか操縦室や機械コントロール室、エンジンルーム、船員の部屋、食堂などを見ることができたが、圧巻だったのはエンジンの巨大さだ。メインエンジンは2ストロークの8気筒で、総排気量や約64万9980cc。燃料はC重油で最高出力2万1128馬力をわずか104回転で発生する、クルマとはまったく常識違いのエンジンだった。

その大きさはエンジン単体だけで大型トラックほどのサイズ感で、ボアは600×ストローク2300mm。エンジンルームにはスペアのシリンダーライナー(航海中でもトラブル時には船員が交換できるよう積載が義務なのだそうだ)が置いてあったが、まるでマンガ「ドラえもん」で空き地に置いてある土管のような巨大さ。僕らの常識との次元の違いに感動すら覚えた。ちなみに航海中は1日あたり550kmほど動き、おおよそ5000klの燃料を消費するのだという。

《工藤貴宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 洗車で「水シミZERO」、水道に取り付けるだけで純水を生成…サンコーが発売
  2. 【アウディ A5セダン 新型試乗】4ドアクーペ風にあえてしなかった見識に拍手…島崎七生人
  3. 台風や秋雨対策に、大型サイドミラー対応の超撥水ガラスコート「ゼロワイパー」発売
  4. スズキ『アルトラパン』が10年目のビッグマイチェン! 開発者が語る「長く愛される理由」と、それでもデザインを大刷新したワケ
  5. フィアット『デュカト』2台をひとつに、キャンピングカー製造を効率化…独キャラバンサロン2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る