NTTコミュニケーションズと日本カーソリューションズ(NCS)は、ドライブレコーダーの映像やセンサーのデータ、音声データを使って交通事故自動検知の精度向上に成功したと発表した(3日)。
NCSでは、専任スタッフがドライブレコーダーに記録された映像ビッグデータの中からさまざまな危険運転シーンを抽出して分類しているが、この業務には多く時間を要しており、手早く正確に行うことが求められていた。
NTTコミュニケーションズは2016年から車両向けマルチモーダル深層学習の開発に取り組み、ドライブレコーダーデータ解析による危険運転の検知に成功した。
従来は映像やセンサーデータのみを解析対象にしていたが、今回新たに事故発生時の接触音や、人の声などの音声データを加えたマルチモーダル深層学習を開発、これまで検知が困難だった交通事故でもAI(人工知能)で自動検知するため、両社がこれらのデータ解析に関する実験を開始した。
実験では、NCSが顧客に提供しているドライブレコーダーのデータから音声や映像、センサーデータである「時系列マルチモーダル」を約850件抽出、このうち約600件をAIに学習させた後、残りの約250件のデータをAIに判定させて解析した。
今回、接触音などの音声データを追加したことで、後方や横方向など、従来、危険運転や交通事故の判別が困難だったケースでも判別できるようになった。音声、映像、センサーデータを対象にした解析では、センサーデータのみを対象にした解析と比べて、交通事故と判定する精度が約1.75倍のい89%の正解率、通常運転、危険運転、交通事故全体でも約1.2倍の85%の正解率となり、自動検知精度が大幅に向上した。