トヨタがソフトバンクに持ち掛けた平成最後の"異色大型提携"[新聞ウォッチ]

トヨタ自動車とソフトバンクが提携 (c) Getty Images
トヨタ自動車とソフトバンクが提携 (c) Getty Images全 2 枚

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2018年10月5日付

●景気堅調米金利が上昇、マネー、国債から株へ(読売・9面)

●トヨタとソフトバンク、自動運転・配車で新会社(朝日・1面)

●アマゾン創業者、ゲイツ氏抜いた、18年米長者番付(朝日・7面)

●軽自動車保険料3段階に、20年から、安全性能などで差(朝日・8面)

●いすゞ、米大手と提携へ、次世代ディ―ゼル共同開発(朝日・11面)

●上半期新車販売N-BOX首位、18年度軽が人気(朝日・11面)

●西日本豪雨あす3か月、車で避難被害拡大(産経・26面)

●東名夫婦死亡、危険運転無罪主張へ(産経・29面)

●国すでに8011億円支出、五輪経費膨らむ恐れ(東京・1面)

●社説、トヨタ・ソフトバンク提携が映す車の未来(日経・2面)

●EVを乗り捨てカーシェア参入、住商、スウェーデンで(日経・15面)

●ソフトバンク携帯子会社、12月に東証1部上場へ(日経・17面)

ひとくちコメント

ラブコールはトヨタ側からだったという。株式の時価総額日本一のトヨタ自動車と2位のソフトバンクが、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的な提携で合意、共同出資会社を設立して、配車サービスなどの事業を始めることを発表した。

10月4日午後1時半から東京・千代田区のパレスホテル東京で行われた共同記者会見には、トヨタ自動車の豊田章男社長とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も出席。ホテルの大宴会場には大勢のメディアが集まり、両トップによるスペシャルトークセッションも含めて2時間を超えるロングラン会見となった。

きょうの各紙にも、平成最後の「異色の大型提携」に、産経と日経が1面トップで「トヨタ・ソフトバンク提携」と報じたほか、他紙も1面と経済面のトップ記事で伝えている。日経は社説でも「トヨタ・ソフトバンク提携が映す車の未来」とのタイトルで取り上げていた。

このうち、読売は「競争相手もルールも変化」との見出しで「業種の垣根を越えて業務提携することになった」ことを強調。朝日は「移動革命へ2トップ連合」。「自動車と携帯電話の市場は飽和状態で、既存のビジネスは将来展望が描きにくい。そんな危機感が提携を後押しした」と伝えている。

さらに、毎日は「乗る端末提携加速、トヨタIT融合危機感」、産経も「トヨタ生き残り危機感、自動車業界始まって以来の変革」などと、各紙とも「危機感」を焦点にあてて報じていた。

また、毎日などは豊田氏と孫氏のトークセッションで披露したエピソードも取り上げているが、興味深いのは、約20年前にソフトバンクから販売関連のシステム導入で提案を受けた際、当時課長だった豊田社長が直接、断りに行った過去に触れて「いろいろ失礼があったと思う」と頭を下げる一幕も。孫氏は「提案は駄目だったが、悪い感じはなかった。いつか何かの形で」と、トヨタとの接近をあきらめなかったことも語っていた。

孫氏の経営手法といえば、お金を豆腐のように一丁(兆)、二丁と数えることでも知られており、借金で大型買収を仕掛けるという大胆さが売り物だ。一方のトヨタは1円の無駄も見逃さないコスト削減のケチケチ経営で世界の頂点を極めた。金銭感覚の違いが新しいビジネスでどう融合するのかも注目したい。

《福田俊之》

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