デンソーが取り組む“もうひとつの”ワイヤレス給電方式…CEATEC 2018

ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム
ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム全 3 枚

デンソーは、豊橋技術科学大学、大成建設、UL Japanと共同でCEATE C2018に出展した。「ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム」のブースの一角で、電解結合方式のワイヤレス給電システムを展示している。

ワイヤレス給電はスマートフォンなどでもすでに実用化され、普及し始めているが、今回DENSOら4社の提案するワイヤレス給電方式は、一般的な電磁誘導方式ではなく、電界結合方式によるものだ。

デンソー FA事業部 FA開発室の稲垣実氏は、FA(ファクトリーオートメーション)分野での活用をもくろんでいると説明する。

「この方式(電界結合方式)の良いところは、単純な金属板を電極にするのでコストダウンができること(註:電磁誘導方式はコイルを用いる)、電磁波が外に出ないので人体への影響が少ないこと、金属片が電極の近くに落ちたときに、電磁誘導だと金属が発熱してしまうが、それがないこと。こういった観点でFAに向いていると考えた」

「欠点としては、位置決めをきちんとする必要があることだが、FAの場合はAGV(誘導線方式の無人運搬車。Automated Guided Vehicle)を想定しているので給電位置はずれにくい」

「そもそも有線による給電は、ワイヤが可動する必要があるため、ワイヤの劣化や断線でコストがかかる。そういう意味でもワイヤレス給電には魅力がある。」

EVのワイヤレス充電用に、この電界結合方式を展開することはないのだろうか。

「現時点では考えていない。まずはFA分野で研究を進める。EVのワイヤレス充電は世界標準との関係もあるので、いまのところ電磁誘導方式を考えている」(稲垣氏)とのことだ。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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