【MaaSベンチャー】DMM流自動車ビジネスへの参入アプローチ…DMM AUTO 西小倉里香 事業部長[インタビュー]

DMM AutoのMaaS戦略
DMM AutoのMaaS戦略全 2 枚

DMM AUTOは、オンラインで完結する車買取サービスを展開している。中古車査定のような目利きを必要とするビジネスにテクノロジーを武器に参入してきた形だ。DMMが見ている自動車ビジネスや今後の戦略はどのようなものだろうか。

インタビューをお願いしたのはDMM AUTO事業部長 西小倉里香氏。このビジネスの立上げ段階からリーダを務め、DMM AUTOの責任者でもある。同氏は、10月30日開催の「月刊MaaSベンチャー」セミナーにも登壇する。当日の発表内容も一部交えて、DMM AUTOのビジネス戦略を聞いた。

―CASEやモビリティ革命の名の下に、自動車業界には新しいプレーヤーがどんどん参入してきています。その中で、DMMが自動車ビジネス、それも中古車の買取査定を始めたきっかけはなんでしょうか。

西小倉氏(以下同):私自身は、DMMの社長室で新規事業の開発や支援を行っていました。プロジェクトチームはいくつもあるのですが、テーマのひとつに自動車というのも当然ありました。自動車業界の経験者や詳しい人間がいる面白いチームがあるので、やってみないかということで始めました。

―西小倉さん自体は自動車業界には詳しかったのでしょうか。

いえ。大学時代はアートを勉強していました。芸術作品を作るのは、自分の作りたいものを考え、材料をそろえたり予算を考えたりとビジネスに通じるものがあると思っています。卒業後は自分で起業したこともあります。

DMM AUTOで事業を考えたとき、テクノロジーを使って新しいことができないかという想いがありました。業界からは出てこないような発想、ビジネスを意識しました。業界の人は、どうしてもクルマそのものでビジネスを考えがちですが、例えばアマゾンプライムのようなモデルです。

―それが、写真を3枚撮るだけで終わる中古車査定・買い取りというサービスにつながった。このサービスは、従来モデルに比べてどこがメリットなのでしょうか。

一般的な中古車買取は、店舗が必要で利益も1台ごとに考えます。全国ネットを謳っていても店舗のある場所など地理的な制限を請けます。また、買い取り業者は時間とお金をかけて査定・見積もりまでするので、査定したクルマはなるべく売ってほしいと考えます。しかしユーザーは、単純に価格を知りたいだけだったりします。

このような問題をオンラインによる自動化、簡略化を徹底することで解決できると思っています。

西小倉氏が登壇する10月30日開催「月刊MaaSベンチャー」セミナーはこちら

―買い取り側はコストダウンと量の両立ができそうですが、ユーザーにとってスマートフォンですぐに査定金額がわかる以外のメリットはあるのでしょうか。査定の概算だけならスマートフォンで調べるサービスは他にもあります。

一般的なオンライン査定は車種・年式・走行距離などを基本的な情報で基準となる価格を出すだけです。弊社のシステムもベースは同じロジックを使っていますが、そこから先は、写真での車の状態や傷や事故歴(申告)から、AIを使って最終的な買い取り金額を提示しています。オンラインで表示された金額で本当に買い取っています。しかも、その金額は、ビジネスとしてはギリギリのライン、通常の買い取り交渉では最後のマージンまで出し切った金額といえるものです。実際にユーザーからは「高く売れた」という声を聞きます。

―その場合、DMM AUTOの利益はどのように確保していくのですか? オンラインによる薄利多売ということでしょうか。

オンラインで量をかせぐという側面はありますが、買い取りビジネスだけを考えて立ち上げた事業ではありません。いまは投資時期でもあり戦略的な査定もありますが、ゆくゆくは車の販売、シェアリングと広げていく考えもあります。また、査定、売買に関するトランザクションデータを解析することで、付加価値の高い情報も得られます。

おかげさまでいまのところ、会員数、取引数など計画通りの推移となっています。

―ところで、すべてオンライン処理が可能で便利な半面、虚偽申告のようなトラブルはないのでしょうか。また、業者の利用はあるのでしょうか。

業者の利用もあります。金額がすぐに出ますし、売却すればすぐに代金が振り込まれるのも、月締め一括払いではないメリットがあるようです。

取引のトラブルですが、これもやってみると思った以上に問題が起きていません。免許証や車検証の情報などを登録してもらうので(売却時)、不正があればすべてトラッキングできます。引き取ったクルマに大きな問題があれば個別に対応もしているので、おかしなことをする人はいないです。逆に、「写真に映ってない部分に傷があるのにこの金額でいいですか?」と聞いてくる人がいるくらいです。

AIを含めた最終的な査定アルゴリズムは、常に見直しをしています。改造車(適法でも)や大量に流通している車種など高査定をつけにくいパターンもありますが、オンラインだからうまくいかないということはないと思っています。

10月30日開催の「月刊MaaSベンチャー」セミナーでは更に詳細をお話しいただきます。

《中尾真二(Kazuya Miura)》

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