10月24日にホーチミンで開幕した「ベトナムモーターショー2018」(VMS2018)。一般公開日では、平日にもかかわらず朝から観衆が押し寄せて大盛況となっている。
約9554万人という人口を抱えるベトナムだが、2017年の新車市場は約27万台という小さなもの。それでもVMSの一般公開日は、開場と同時にフロアが人で埋め尽くされる状態となった。これは3万ドン(約140円)という比較的リーズナブルな入場料のおかげもあるのだろうが、人々のクルマに対する興味の強さを実感させるものだ。
会場を見回せば、やがてベトナムでもタイやインドネシアと同様に「個人移動手段の2輪車から4輪車へのシフト」が顕在化してくるのでは、と各自動車メーカーが期待するに充分だと思えてくる。しかし、いかんせん既存市場が小さいためか、どうアピールすればよいのか戸惑っている様子も窺えた。
VMSに出展した各ブランドの展示内容からは、まだまだベトナム市場特有の傾向や、トレンドと呼べるようなものは見出せない。全体的にSUVやMPV、ピックアップトラック、ハッチバック、セダンと総花的な印象で、とにかく最新ラインナップをいろいろ見せておこうという姿勢が感じられた。
ただし、意外な共通点も見つかった。それは車型にかかわらず、ドレスアップパーツを装着した車両が非常に多い、ということだ。そしてどのブランドでも「ベトナムの人々はメッキで派手に飾るのではなく、どちらかといえば控えめな表現を好む」と判断している、ということも理解できた。
たとえばホンダは『ジャズ』のスポーティグレード「RS」に、無限のエアロパーツを装着した車両を初公開。ただしこれ見よがしな「後付感」は少なく、ボディとの一体感を重視している。これはベトナム国内で50台を限定販売される。また日産は『エクストレイル』の「Vシリーズ」、『サニー』の「Qシリーズ」などを初公開。これは内外装をドレスアップした特別仕様だ。
トヨタも『ヴィオス』や『ウィゴ』などのドレスアップモデルをアピール。ヴィオスではバンパー下部を、SUVのアンダーガードを思わせる塗り分けにしているのが面白い。三菱は『アトラージュ』や、MPVの『エクスパンダー』にもエアロパーツを装着し、独特の雰囲気を演出していた。
いっぽうアメリカ勢は、日系ブランドとは異なったアピール。フォードとシボレーはバンコクモーターショーと同様に、1トンクラスのピックアップトラックを前面に打ち出したディスプレイをおこなった。日産も『テラ』をベトナムで初公開するなど、ダブルキャブのピックアップを乗用車として使うニーズを期待しているようだ。
ヨーロッパ勢はいずれも、最新モデルを持ち込んで精力的なセールスを展開。VWは『トゥアレグ』に『ティグアン・オールスペース』をステージに飾り、MPV市場での影響力拡大を狙っていることが理解できた。
アウディは『Q8』と『A7スポーツバック』をステージに並べたが、観衆の注目はQ8に集中。スバルは『フォレスター』、ボルボは『XC90』に焦点を当てた展示だったことからは、やはりSUVが売れ筋になると考えていることがわかる。レクサスだけは、セダンの新モデル『ES』をアピールしていた。
ちなみにVMSは他のモーターショーと同じく、即売会としての役割も担っている。まだまだ一般大衆にはパンフレットを配るに留まっているが、一部の富裕層にたいしては価格表などを手にして積極アピール。実際にジャガー/ランドローバーのブースでは、午後遅くになると何台かの展示車両に「SOLD」という紙が置かれていた。