一転して負のスパイラルに陥ったスバル、生きていた業界ジンクス

スバルの決算会見の様子
スバルの決算会見の様子全 3 枚

これまで快進撃を続けてきたSUBARU(スバル)が一転、負のスパイラルに陥ってしまった。昨年秋に発覚した完成検査不正をきっかけに、次々に不正が明らかになり、リコールも続発。それに呼応するように販売台数も落ち込み、業績も悪化の一途をたどりつつある。

同社が10月5日に発表した2018年度第2四半期決算は、売上高1兆4868億円(前年同期比7.5%減)、営業利益550億円(同74.1%減)、純利益443億円(同47.9%減)と大幅な減益となった。右肩上がりの伸びていたグローバル販売台数も前年同期の53万1000台から約10%減の48万2000台と大きく減少した。

営業利益率についても、スバルは毎年のように10%以上を確保し、前年同期には12.5%と業界トップを誇っていたが、それが3.7%にまで低下。不正とリコールが経営に深刻な打撃を与えている。

「本当に残念で、スバルの顧客と販売店には申し訳ない。完成検査に関する問題はこれで終わりにする決意だ。再発防止策を迅速に責任を持って進めていきたい」と中村知美社長は強調し、こう続ける。

「品質問題が特に多くなっていることも事実だ。さまざまな要因があると思うが、急成長に伴う歪みや気の緩みがあったと反省している」

確かにここ数年のスバルは浮かれすぎていた印象はぬぐえない。東京・恵比寿に立派な新本社ビルを建設し、我が世の春を謳歌していた。「立派な新本社ビルを建てると、会社が傾く」というジンクスがあるが、スバルもその例外ではなかったようだ。

中村社長は不正問題の終結への覚悟を示しているが、業績悪化に歯止めがかかるのか予断を許さない状況だ。というのも、直近に発表したリコールはスバル車の人気を支える水平対向エンジンに使われている部品で、その対象車は国内だけでなく、海外に及ぶからだ。

特に気になるのはグローバル販売の約6割を占める米国の動きだ。米国は83カ月連続で前年同月を上回る販売を記録するなど、現在も好調を続けるが、米国は訴訟社会で今後大きな補償を求められる危険性もある。

そのうえ、日米の通商問題も気がかりだ。スバルは米国で販売する車の約半分を日本から輸出している。もし関税引き上げということになれば、収益はさらに悪化する可能性もある。スバルは今大きなピンチに立たされており、今年6月に社長に就任した中村社長がどのような舵取りをしてピンチを乗り越えていくか注目される。

《山田清志》

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