走行するSLの8K映像を車内にリアルタイム配信…東武の『SL大樹』で5Gによる映像伝送試験

鬼怒川橋りょう付近で行なわれた試験風景。
鬼怒川橋りょう付近で行なわれた試験風景。全 5 枚

NTTドコモ(ドコモ)と東武鉄道(東武)は11月28日、東武の『SL大樹』で11月12・16日に実施した第5世代移動通信方式(5G)による映像伝送試験が成功したことを明らかにした。

5Gは現在の第4世代移動通信方式(4G)に次ぐ携帯電話の新通信方式。屋外においては平均4~8Gbpsの通信速度を出すことが可能で、携帯電話の主要キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が2020年の実用化を目指している。ちなみに無線LAN(WiFi)の最高速度は6.7Gbpsと言われている。

今回の試験では、『SL大樹』が走行する東武鬼怒川線の鬼怒川橋りょう(栃木県日光市)付近に、日本電気(NEC)が提供した基地局により5Gの通信エリア(4.5GHz帯、28GHz帯)を構築。列車が約200m区間の5Gエリアを通過している間に、橋りょうから8Kカムコーダーで撮影したライブ映像を『SL大樹』の車内へ伝送した。

8K映像の伝送ではシャープが提供する伝送システムを使用し、車内にはNEC提供の5G移動局を設置。8Kの映像伝送には平均約80Mbpsのデータレートが必要だが、5Gの超高速通信により60インチの8Kディスプレイを通して途切れることなく高精細映像を映し出したという。実用化されれば、客車を引くSLの姿を、乗車中にリアルタイムに楽しむことができるとしている。

試験の構成。日本電気提供の基地局・移動局と、シャープ提供の8K映像伝送技術により車内へ映像を伝送。客車内の移動局を通してディスプレイに高精細映像を映し出した。試験の構成。日本電気提供の基地局・移動局と、シャープ提供の8K映像伝送技術により車内へ映像を伝送。客車内の移動局を通してディスプレイに高精細映像を映し出した。

この実験では他に、5G基地局に設置された映像用サーバーから、インフォシティが提供するSL走行シーンなどの4K映像を5Gで『SL大樹』へ伝送し客車内のキャッシュサーバーに蓄積、それを車内のWiFiで複数の携帯端末に伝送する4k映像コンテンツ配信試験も行なわれている。

試験を通し東武では「SLと最先端のICT技術である5Gを融合させることが、『鉄道産業文化遺産』であるSLの乗車体験をより印象的な観光体験として提供できることを実証し、観光分野の発展に寄与できることを確認しました」としており、試験結果は11月30日までパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される「Microwave Workshops & Exhibition 2018」、12月6・7日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「DOCOMO Open House 2018」で展示される。

試験に使用した装置。左から5GHz帯基地局、5GHz帯移動局、28GHz帯基地局、28GHz帯移動局。試験に使用した装置。左から5GHz帯基地局、5GHz帯移動局、28GHz帯基地局、28GHz帯移動局。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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