【MaaS】スタートアップや産業創出を後押しする…経済産業省が考えるMaaS[インタビュー]

経済産業省 製造業局自動車課 眞柳秀人課長補佐
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移動にかかわるという点で、人々の活動と生活に直結するMaaS。関係する事業者も交通にかぎらず、不動産、製造業、ITサービス、金融と広範だ。必然として、所轄省庁も複数の省庁に広がっている。

経済産業省も、MaaSにかかわる政策を積極的に掲げている省庁のひとつだ。同省では10月に「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」の中間整理を発表した。中間整理には、各国と日本のMaaSをとりまく状況や、産業界に与える影響、今後の取り組みの方向性が書かれている。

内容について、研究会を主宰する製造産業局自動車課の眞柳秀人課長補佐に話を聞いた。

12月18日に日本版MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

―さっそくの質問で恐縮ですが、国交省他、各省庁がMaaSについて取り組む中、経済産業省の考えるMaaSとはどのようなものになるのでしょうか。

眞柳氏(以下同):最近、MaaSという言葉が様々な媒体でよく目にされるようになり、非常に注目を浴びています。一方で、MaaSは非常に多くのプレーヤーがかかわり、さまざまな領域に関係するものであるが故に、人や立場によって、いわゆるMaaSの指しているもの、見ているものが異なっているようにも思います。フィンランドのWhimに象徴されるマルチモーダルとサブスクリプションによるサービスを狭い意味でのMaaSとすると、我々が捉えているMaaSは、もう少し広い意味での新しいモビリティサービス全般を念頭に置いています。

―具体的にはどんな仕組みやサービスになるのでしょうか。

具体的には、シェアリングやデマンド交通といったサービス、更には人流のみならず、貨客混載やラストマイル無人配送など、物流も視野に考えています。

IoT技術が進展し、多くの人がスマートフォンを利用する中で、人の移動ニーズの見える化が可能となっています。これに伴い、移動サービスを提供する側も、多様な移動ニーズに応じたきめ細かい移動サービスを提供することが可能になっていますし、さらにAIを活用することで、その効率性、利便性も大きく高まっています。

そしてこうした新たなモビリティサービスは、地域や都市が抱える複雑な移動課題を解決しうる有望な手段になりうるとともに、移動の利便性や付加価値の向上は、新たな移動を喚起し、新産業の創出や経済の活性化に繋がることも期待できます。

こうした視点から、経済産業省としては、MaaSの活性化に取り組んでいます。

―MaaSの新しいプレーヤーやビジネスをサポートしていくことが、政策の基本的な部分ということですね。それには、どんな取り組みが考えられるのでしょうか。

カーシェアリングやデマンドバスなど、海外では新しいモビリティサービスが広がっています。その中でも、特にスタートアップが存在感を放っています。日本においても萌芽は見られるものの、全体的に市場の広がりは海外ほどではありません。

制度面のみならずビジネス面での課題なども色々ある中で、それをどうやって活性化させるかが取り組みの基本です。

新しいサービスの担い手となるスタートアップの発掘・支援、意欲がありリーダーシップを発揮する自治体を後押ししていくといった取組が考えられます。また先進事例や成功事例の収集とその普及による横展開といったことも考えられます。必要であれば特区やサンドボックス制度というツールも使えると思います。

12月18日に日本版MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

―取り組みの中で他省庁との連携はありますか。

新たなモビリティサービスの活性化が、移動課題を解決しうるもの、ひいては、都市や街を刷新しうるものと考えると、国交省との連携は不可欠だと思っています。また、道路交通という観点では、警察庁などとも協調が必要な側面があると思います。

研究会の中間整理にも書かれていますが、地域毎に交通や移動に関する課題は異なります。地方部では高齢者や交通弱者への対応といった課題があるでしょうし、都市部なら渋滞や過密移動といった課題があります。地域の特性に応じて異なる移動課題に、適切にマッチしたソリューションサービスを考えていく必要があります。

地域の課題解決、地域の多様なステークホルダーの巻き込み、地域活性化という観点で考えると、自治体の役割も非常に大きいと考えています。

―地方の公共交通はユニバーサルサービスとビジネス(採算ベースの維持)が両立しない問題もあります。

確かに民間ベースの取り組みは事業性が重要な要素です。都市部であれば、ある程度需要が見込め、ビジネスが成立する可能性がありますが、地方における事業性には厳しい面もあります。MaaSの取組は、地方に限らず一般的にマネタイズが難しい分野とも言われており、移動手段の提供だけで事業性を考えるのではなく、買い物や健康や観光など、移動先となる他のサービス、異業種との連携によりマネタイズ可能なビジネスモデルを考えていくことが重要です。

また、多くの自治体では、公共交通の維持のために相当な予算を割いていますが、例えばデマンド交通などを活用することで、住民の移動の足の確保とコスト削減が両立できる場合には、自治体としても一定の予算を割いてMaaSを活用することにインセンティブが出てくると思います。

―MaaSに対する自動車産業界の反応はどう見ていますか。

欧米の自動車メーカーは、ダイムラーやVWなどMaaS系のビジネスに取り組み始めており、将来を見据えて種まきをし始めています。日本のメーカーもトヨタとソフトバンクの連携、GMクルーズと提携したホンダなど、MaaS時代を見据えた布石を少しずつ打ち始めていると考えています。

こうした自動車メーカーの動きに加えて、フットワークの軽いスタートアップが「まずはやってみる」という姿勢で参入したり、異業種と連携して斬新なビジネスモデルを生み出したりといった形で、多様なプレーヤーの創意工夫によりイノベーションが促進され、課題先進国ならではの日本版MaaSが拡がっていくことを期待しています。

眞柳氏は12月18日開催の日本版MaaSセミナーで、今回のインタビューに関連した内容で講演する予定だ。中間整理の詳細や今後の取り組みついて語られる。詳細はこちらから。

《中尾真二》

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