【BMW 3シリーズ 新型試乗】これはスポーツセダンへの「真剣回帰」だ…西川淳 | レスポンス(Response.jp)

【BMW 3シリーズ 新型試乗】これはスポーツセダンへの「真剣回帰」だ…西川淳

スポーツ性を強く打ち出したモデルが続くBMW

新型3シリーズの第一印象は“立派になったなぁ”

「330i Mスポーツ」に試乗

日本での正式発表時期は

BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)
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スポーツ性を強く打ち出したモデルが続くBMW

ドイツプレミアムブランドのなかで最もスポーティなイメージのブランドといえばBMWだろう。とはいえここ数年のBMWモデルでいうと、電動化にも非常に熱心でかつ、『7シリーズ』や『5シリーズ』といった高級セダンの新型デビューが続いたこともあったため、それぞれ一定のスポーツ性をアピールしたとはいうものの、どちらかというとその見映えや乗り味には落ち着いた印象が優っていたように思う。

そのぶん、高性能ブランドのMにコンペティションシリーズやクラブスポーツ(CS)シリーズを追加するなどしてBMW=スポーツのイメージをキープしたいようにもみえた。
BMW 8シリーズクーペ 新型(M850i xDrive)
ところがここにきて、スポーツ性をいっそう強く打ち出した新型モデルのデビューが続いている。なかでも『Z4』と『8シリーズ』で始まった新たなジェネレーション(ダッシュボードまわりのデザインで判別したい)に、その傾向が顕著だ。

リアルスポーツに回帰したZ4は言うに及ばず、8シリーズに至っては「M8 GTE」、つまりはレーシングカーが先に“ワールドデビュー”を果たしてまでいる。そうとなれば「G20」とBMWファンが呼ぶことになる新型『3シリーズ』もまた、確固たる意思を持ってスポーツ路線をアピールしてきたとしてもおかしくない。なんといっても3シリーズはBMWラインナップの大黒柱であり、ブランドイメージの中核を担う存在なのだから。

新型3シリーズの第一印象は“立派になったなぁ”


ポルトガルで開催された国際試乗会に参加した。第一印象はやはり、“立派になったなぁ”だった。ついに全長は4.7mを超えてきた。41mmもホイールベースを伸ばしたのだから当然だ。さらに走りの水準を引き上げたかったのだろう、ワイドトラック化により全幅は堂々の1.83m。全高がほとんど旧型と同じだから、ワイドに大きく見えて当然だ。

日本では車庫問題が起きそうな寸法になってしまったが、すでにアウディ『A4』はそれをも超えたボディサイズにはなっているし、同じFR系の新興勢力、アルファロメオ『ジュリア』やジャガー『XE』の幅はもっと広い。メルセデスベンツ『Cクラス』のボディサイズ(4.7m以下で幅1.8mちょい)に改めて注目が集まるかもしれない。もっとも、それだって次期型でどうなることやら。

3シリーズがここまで大きくなった理由としては、そうしたライバルの存在に加えて、やはり世界的な平均身長の伸びと横幅増(メタボか?)に対応せざるをえないことと、性能重視の開発姿勢、さらには下位モデルの充実あたりを挙げていい。BMWに関していえば、おそらく、FFベースの4ドアモデルが早晩、登場するという事情もあるだろう。

インテリアも大幅にグレードアップし、全体的に8シリーズやZ4と同じデザインメソッドでまとめられた。ドイツブランドは世代ごとに統一されたデザインテーマのインテリアを与える場合が多い。BMWのインテリアはしばらく、この路線を貫くことになる。それにしても、見映え質感の高さといったら!もはや現行5シリーズのG30を超えてきた。

「330i Mスポーツ」に試乗


一般道のテストに供されたのは190kW&400Nmの改良型直4ガソリンターボを積む「330i Mスポーツ」
だった。

試乗車は、19インチのアロイホイールにMモデルばりのミシュランパイロットスポーツ4Sを履いたのみならず、MスポーツブレーキやMスポーツディファレンシャルまで備わった、けっこう本気のスポーツ仕様だった。車高もノーマルアシに比べて10mm下がっている。

またしても太すぎるステアリングホイールを握りしめて、走り出す。空港から試乗会会場まで『X4』のレンタカーを2時間飛ばしてやってきて即の試乗という身体のコンディションを差し引いても、こりゃ硬いと思った。BMWでそう思うなんて、今やMのコンペティションやCSぐらいのもの。とにかく、50km/hあたりまでの一般道では、はっきりとゴツゴツとした突き上げを感じる。

もっとも、Mスポーツサスだったから硬く感じたとも言える。おそらく、17インチあたりのノーマルアシ個体ならば後述する新しいダンパーの効用もあって、それなりに落ち着いた乗り心地になっているはず。実際、18インチのMスポーツサス仕様にも乗ったが、もう少しマイルドだった。

スポーツセダンへ真剣回帰した新型の走り


Mスポーツなら飛ばしてナンボ、だろう。事実、70km/hを超えたあたりからのライドフィールはクルマ好きを虜にしてやまない。軽量強固なボディに初採用された新型ダンパーによるところが大きい。これは、フロントで伸び側、リアでは縮み側の減衰を、長いスリーブを追加して二重構造とした油圧ダンピングシステムによって制御するもの。ノーマルグレードはもちろん、Mスポーツ(ノーマル比で20%増し)を含む全ての非アクティヴダンパー車に装備される。

荒れた舗装のワインディングロード。ひと気もクルマっ気のない場所を見計らって速度をあげていく。凸凹、カント、アンジュレーション、なんでもありという路面環境であったにも関わらず、大きな入力はもちろん、細やかなバンプの連続もフラットライドをきっちりキープ。安心していくらでも踏み込んでいけるうえ、ステアリングの操作で左右前輪を思い通りの位置にもっていけるという感覚がしっかりあるから、ミドルサイズセダンとは思えないくらいの一体感を伴って楽しむことができる。

前後左右思い通りに動かせるという操縦感覚こそ、スポーツセダンへ真剣回帰した新型3シリーズ最大の魅力というものだと確信した。

もうひとつ、特筆すべきはガソリンターボのエンジンフィールだ。もはや4気筒のそれとは思えない。十二分のパワー感はもちろんのこと、フィールもすこぶるつき。6気筒を忘れさせるほど、気持ちよくまわるエンジンだった。

日本での正式発表時期は

ちなみに日本における正式発表は来年1月末の予定で、来春には世界一斉にデリバリーが始まる。日本市場へはまずこの「330i Mスポーツ」と同じ2リッター直4ターボながらパワースペックの低い「320i」(Mスポーツとノーマルグレード)が上陸する予定。年央には4気筒ディーゼル“シーケンシャルツインターボ”の「320d」とプラグインハイブリッドの「330e」が追加導入され、さらに秋以降にLAショーで発表されたMパフォーマンス仕様の「M340i」やツーリングボディが追加されるという。

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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