自動車業界激震の2018年、あえて言いたい「ジムニー、めっちゃいいクルマなのに!」【岩貞るみこの人道車医】

スズキ ジムニー 新型
スズキ ジムニー 新型全 8 枚

2018年の終わりに

ゴーン氏の逮捕の第一報が入った11月のあの日は、ちょうど、日本カーオブザイヤーの10ベスト試乗会の前日で、つまりそのショックが冷めやらぬ(というかほぼパニック状態の)まま迎えた翌日は、自動車メーカー、雑誌編集長、選考委員のジャーナリストが顔をそろえていて、もう、試乗どころじゃないってくらいに(いえ、ちゃんと乗って最終確認しましたけれど)、日産の話が飛び交ったものである。

【画像全8枚】

年の瀬まで日産~ルノーの報道が連日報じられ自動車業界激震中で、忘れちゃいけないのは、トヨタのルマン24時間耐久レースの初制覇だと思う。私自身はモータースポーツ取材から遠ざかってずいぶんたつけれど、それでもルマンの怖さ、楽しさ、すばらしさは知っているつもりで、そんななか勝ったってのは、ものすごいことだと思う。

そして、今年のできごとで私が、どうしても挙げておきたいのは、スズキ『ジムニー』の日本カーオブザイヤーの辞退だ。

ジムニー、めっちゃいいクルマなのに!

日本カー・オブ・ザ・イヤー2018-2019、10ベスト日本カー・オブ・ザ・イヤー2018-2019、10ベスト
日本カーオブザイヤーは、今年で38回を迎えた歴史のある賞である。私がこの仕事をはじめたときも、「いつかは選考委員に!」と、憧れ目標にしていたものだ。

日本カーオブザイヤーのサイトを見ると、これまでの受賞車が名前を連ねていて、その年にどんなクルマが生まれ、どう評価されたかがよくわかる。それだけでなく、デザインの変遷、技術の進化、クルマ業界をとりまくトピックス(環境とか安全とか)まで透けて見える。日本カーオブザイヤーは、自動車業界の歴史の証人のようなものだ。

昨年、2017年は日産で不正検査問題が発覚し、新型『リーフ』という有力な候補車ごと日産が辞退。さらに同様の件でスバルも辞退した。

そして今年。2018-2019年でも、結果としてスズキとスバルが辞退したのである。

えっ、ジムニー、辞退?

スズキの担当者から「辞退を考えている」と伝えられたときはショックだった。ショックのあまり口ごもり、次の瞬間にはテンションが逆に急上昇して、担当者にやおら早口で、辞退しないでと訴えた覚えがある。

もっとも、私ごときがどう暴れようと、スズキという大企業、及び、実行委員会の判断がどうにかなるわけではなく、スズキは辞退という決断を下し実行委員会はそれを受け入れたのだけれど。

そんなー。ジムニー、めっちゃいいクルマなのに!

生きてる!と、充実感をあふれさせてくれるクルマ

スズキ ジムニー 新型スズキ ジムニー 新型
シンプルで乗りやすくて、刺激的で、わくわくさせてくれて、走っているなーと実感できて、まわりの景色の色まで変えちゃうような。そしてこの楽しいクルマも、私が操作しないと動かないという支配的な高揚感を感じることができ、それは自己肯定にもつながり、つまり、生きてる!と、充実感をあふれさせてくれるクルマなのだ。

そりゃ、「軽自動車にしては高い!」という声があるのは知っている。でも、クルマとしてこれだけの感情をわきたたせてくれるクルマとしては、めっちゃ安いと思う。

だから、私は、早い時点で今年の日本カーオブザイヤーの配点は、ジムニー10点と決めていた(選考委員の持ち点は25点。10ベストカーのなかから5台に配点し、うち1台に10点を投じるというもの)。軽自動車初の日本カーオブザイヤーに選ばれてほしかった。なにより、日本カーオブザイヤーの歴史のなかに、しっかりと記録として残り、これから、10年後、20年後も、日本カーオブザイヤーの歴史を見ながら、「そうそう、ジムニー、この年だったよね。いいクルマだよね!」と、言いたかったのに。

なので、悔しいので、ここレスポンスにこうして書いておく。ネットのなかの文章は、半永久的に残るから。2018年、新型ジムニーが登場したこと。すごくいいクルマだったこと。多くの選考委員が、点数を投じたくてうずうずしていたこと。おそらく、いつも通りなら、間違いなく日本カーオブザイヤーの栄誉が輝いていたであろうこと(この際、断言しちゃう)。

頭を床にこすりつけて、お願いしたい

企業の方々には本当にお願いしたい。これ以上、私たちを、ユーザーを、販売店の人たちを、開発者を、作っている人たちを、クルマを愛するすべての人を落胆させないでほしい。頭を床にこすりつけて、お願いしたいくらいだ。

2019年は、どうかよい年になりますように。この1年、書きたい放題にお付き合いください、ありがとうございました。来年も、よろしくお願いいたします。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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