【浦島ライダーの2輪体験記】スズキ SV650X ABSは、ちょっとワイルドなネオレトロ。

スズキ SV650X ABS
スズキ SV650X ABS全 14 枚

16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

【画像全14枚】

メーカー公式のカスタムバイク

「バイクは最も人に近いマシン」なんて言われたりします。たいていのオーナーは「自分のバイクが大好き!」といった心情面はもとより、実際に(ほぼ)エンジンに跨って乗るといった物理的な近さも表しています。

身体に近いがゆえに、マシンの変更がストレートに返ってくる。スプリングのプリロードやダンパーを変更した際に、乗り心地やフィールがずいぶんと変わって、驚いたり喜んだりしたバイク乗りの人も多いのでは。興味が高じてカスタムにハマってしまう人が出てくるのも、むべなるかな、です。

スズキ『SV650X ABS』は、そんなバイクのカスタムを、メーカー自ら試みたモデルといえましょう。ベースとなったのは、もちろん『SV650 ABS』。スリムなVツインスポーツが、みごとに「ネオレトロ」ことクラシカルなカフェレーサー風に仕上げられました。

バーハンドルのセパレート化が走りも変えた

スズキ SV650X ABSスズキ SV650X ABS
具体的には、ヘッドライトまわりに与えたカウルをサイドのフレームカバーと視覚的につなげることで、かつてのロケットカウル…というよりは、鈴鹿8耐を席巻したマシンのレース用カウルを彷彿させるスタイルにし、レトロなタックロールシートを組み合わせました。

なんだか懐かしいタックロールシートに座ってみると、見た目のわりにクッションが薄くて硬めなことが少々気になりましたが、一方、スリムなボディも奏功して足つきがいい。シート高は、ベース車種より5mm増しの790mmながら、身長165cm(短足)の自分でも、両足を親指の付け根付近まで地面に付けられます。

SV650からルックスだけでなく、走りのキャラクターまで激変させたのが、バーハンドルのセパレート化。それも、トップブリッヂの下から軽い垂れ角を付けてハンドルが生える本格派です。

ポジションはなかなかにアグレッシブで、グッと上半身を折り曲げた前傾姿勢を強いられます。高速道路など、長時間腰を伸ばせないシチュエーションが続くとさすがに疲れますが、それでもSS(スーパースポーツ)のそれほど過酷ではない。相対的にシートが低く、ハンドルの位置が近いためでしょう。

エンジンを抱いているような気分

スズキ SV650X ABSスズキ SV650X ABS
Vツインに火を入れて走り始めると、心の中で思わず歓声を上げてしまうほど、楽しい! 距離の近さもから、あたかもV型エンジンを抱いている気分になり、スロットル操作がダイレクトに反映されるさまが、音と振動、そして加速として、そのままライダーに伝わってくる。シリンダーあたり320cc余の排気量を持つV型2気筒は低回転域からパンチのあるトルクを繰り出し、ライダーの低い視点が加速感をいや増しにします。

90度のバンク角を持つ654ccのツインエンジンは、最高出力76.1ps/8500rpm、最大トルク64Nm/8100rpmを発生。どこかマスの大きな、ドロンとした回転フィールを持つパワーソースで、ビートの強い、ワイルドな趣が、SV650Xの古典的なカフェレーサースタイルによく合っています。

V型エンジンを用いるバイクは、一般にフロントに荷重をかけにくいきらいがありますが、SV650のセパハン化は、そんな「傾向」を帳消しにしてくれます。前120、後160のタイヤを履くSV650Xは、中速コーナーでは素直に倒れて気持ちよく回っていく。ところが、細かい左右の「曲がり」が続くつづら折りのセクションでは、大きめのトルク変動とやや安定よりのアライメントのためか、スムーズに走るのが意外と難しい。

でも、そんなところもむしろ個性の強さの現れで、オーナーにとっては「乗りこなす」喜びの一環に過ぎないはず。SV650Xには、フロントフォークにプリロードアジャスターが備わりますから、ホームコース(!?)に合わせて調整してみてもいいかもしれません。

SV650 ABSから、また違った魅力を上手に引き出したSV650X ABS。価格は、ベースモデルより4万3200円プラスの、78万1920円です。
スズキ SV650X ABSスズキ SV650X ABS

《ダン・アオキ》

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