新素材をフル活用した未来カーを東洋紡が提案…オートモーティブワールド2019

東洋紡(オートモーティブワールド2019)
東洋紡(オートモーティブワールド2019)全 6 枚

東洋紡は、自社およびグループ企業の新素材技術、材料技術をフルに適用したらどんな車が作れるのか、というコンセプトカーをオートモーティブワールド2019で展示していた。軽量化や車両開発の永遠の課題であり、金属代替も内装から外装、機能部品へと広がっている。方向性としては正しい。

【画像全6枚】

最大の特徴はエアレスタイヤだろう。ゴム部分は他社製品だが、ホイール(QuickForm)とタイヤの空気部分に相当する新素材(PELPRENE)で空気室のないタイヤを作っていた。ホイールのQuickFormとは高い強度をもつ樹脂素材。実現すればホイールだけで相当な軽量化が可能だ。

この素材はルーフ、バンパービームなどにも利用されている。樹脂成型によって作られるため、軽量化はもちろん、形状やデザインの自由度は金属より高い。外装の非金属化は、レース車両などでは普通だが、じつは5G時代のコネクテッドカーや無人カーはFRPや樹脂ボディのニーズが高まる可能性がある。というのは、5Gレベル周波数帯になると、金属は完全に遮蔽物となる。車両に5G通信モジュールを搭載する場合、アンテナの位置が限られるが、ルーフが樹脂素材ならば、素材よっては電波を通す可能性がある。

ドア外側にはハニカム構造の白いブロックが見える。これはデザイン上の装飾ではなくドアクッション、ボディ保護部品をイメージしている。素材はPELPRENE。ウレタンのような感触だがウレタンではない。ウレタンはにおい、燃焼時のガスに問題があり環境性能がよい素材ではない。メーカーとしてウレタンレスの動きがあるが、PELPRENEはその代替素材のひとつだそうだ。

シートクッションはBREATHAIRと呼ばれる3次元スプリング構造を持った素材だ。リアシートが表皮を取り除いた状態で、その構造がよくわかる。ワイヤーがからまったような素材で、似たようなものは枕の中などで見たことがあるかもしれない。この素材は、独自の衝撃吸収特性を持つ他、通気性にも優れている。新幹線のシートはこの素材を使っているそうだ。シェアリングカーなどでは、においがつきにくく通気性の良いシートは重宝かもしれない。

さすがに金属より熱伝導率は劣るものの、樹脂製の冷却パイプもある。用途はEVなどのモーターやインバーターの水冷システムの配管だ。3Dサクションブローという成形手法で、任意形状の樹脂パイプが成形できる。樹脂パイプをあとから曲げたり加工したりつないだりすのではなく長尺を一気に成形する。ループ形状も可能だという。軽量化、絶縁という意味で、EVの金属代替は大きい意味を持つ。

コンセプトカーは、他にもインパネ、ドア、ドアインパクトビーム、ステアリング、など全体で47素材ほどが使われている。このうち60%がこれまで自動車への採用実績がないところへの応用だという。すべてが、現状素材、金属素材にすぐに置き換わ悪ものではないが、新素材のCASE車両やMaaS車両への可能性は広がる。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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