小糸の可変ハイビーム、コスト抑制しつつ高解像度に…CES 2019

小糸が開発したブレードスキャン方式ADBユニット
小糸が開発したブレードスキャン方式ADBユニット全 8 枚
小糸製作所(以下:小糸)は、2種類のADB(Adaptive Driving Beam:ハイビーム可変ヘッドランプ)の試作品を公開した。2020年以降量産体制を敷き、ADB採用の裾野を拡大していく考えだ。

ADBは先行車や対向車、歩行者などを検知して、必要なエリアをカットして運転者や歩行者がまぶしくないようにする技術。すでに上級車を中心に搭載が始まっているが、今回の出展ではその技術をさらに高めたことにポイントがある。ただ、単に解像度を上げるだけではコストもアップしてしまう。そこで、必要に応じて使い分けるため、異なる配光方法を持つ2タイプを用意した。

同社では現在、10~20個ほどのLEDチップを2列に並べた「LEDアレー」方式のADBを提供中だが、今回出展した試作品はいずれもその解像度をさらに高め、より高精度に車両や歩行者がいるところを照射しないようにすることを目的としている。

1つはADB採用の裾野を広げるべくコストを抑えた「ブレードスキャン」方式。もう一つは高解像度をさらに極めた「DMD(Digital Micro Device)」方式だ。

前者は、小糸独自のADB方式で、2枚のブレードを回転させて配光を制御するものだ。LEDチップの光をミラーによって斜めに誘導し、レンズを通して照射する。ミラーは特殊な形状をしており、これを回転させることで従来よりもシームレスな配光制御が実現できたという。低コストで量産できるのが最大のメリットになる。

回転式ということで寿命が心配だが、担当者によれば「耐久試験によって実証済みで、通常使用ではまったく問題がない」とする。

後者のDMD方式は、多数のマイクロミラーの向きをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)によって変えるDMD素子を使うもの。解像度を高めるために膨大な数のマイクロミラーが組み合わされていることから照射範囲の自由度は極めて高い。小糸によれば130万分割もの配光制御が実現できるという。

その結果、投影解像度は極めて高く、歩行者の顔だけを照射しないようにもできる上、道路標識への反射を抑えて照射することも可能だという。照射の解像度だけでなく、照射レベルまでも自動的に調整が可能となるのだ。近い将来、レーザーヘッドランプの普及へ向け、技術の伸長を期待したい。

《会田肇》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ヴェゼルの正解ホイールはこれだ!RAYS『HOMURA & RSS』の最新“純正適合ホイール”を一気見PR
  2. 世界初、個人所有できるレベル4自動運転「ロボカー」誕生、2026年に納車開始
  3. 「思いの外セクシー」普通二輪で乗れるロイヤルエンフィールドの新型クラシックモデルに、SNSでは興奮の声
  4. 三菱自動車、次世代技術搭載のコンセプトカー発表へ…ジャパンモビリティショー2025
  5. トヨタ『GRカローラ』に2026年型、米国は2グレード展開で今秋発売へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る