3D-LiDAR一体型ヘッドライトなど、パイオニアの自動運転技術…CES 2019

CES2019に出展したパイオニアのブース
CES2019に出展したパイオニアのブース全 11 枚

パイオニアは、米ラスベガスで開催された「CES 2019」に出展。ここで注目されたのは同社が今後の主力製品として位置付ける「3D-LiDAR」だ。従来はカーAV製品の陰に隠れた展示だったが、今年はそれを通路側のメイン展示へと移動。一躍注目を浴びることとなった。

現在、パイオニアが開発を行っているのは車載用MEMSミラー方式LiDARだ。これまではVelodyne(ヴェロダイン)等が手掛ける、モーター駆動のメカニカルな方式がメインだったが、パイオニアが開発を進めるMEMSミラー方式は部品点数が少なく、量産車への搭載に重要な要素である小型かつ低コスト、信頼性の面でも有利となる。

パイオニアはこれを今後の同社自動運転事業の本命とみており、すでに量産準備に入っている模様だ。今後はOEMの求めに応じて2020年以降より本格的な量産開始する予定になっている。

そんな中でパイオニアはCES2019で、これまでの3D-LiDARを4製品展示した他、それを組み込んだ「3D-LiDAR一体型ヘッドライト」を公開した。ヘッドライトにLiDARを組み込むメリットとしてあるのがその位置だ。周囲を広範囲にLiDARでスキャンするにはクルマの四隅がいわば“特等席”。ヘッドランプはその場所として最も適しているというわけだ。

試作機はヘッドライトを真ん中に挟んで、向かって左側には中距離タイプの3D-LIDARを、右側には広角タイプの3D-LiDARを組み込む。ヘッドライトのデザインは、「パイオニアが採用するMEMSミラー方式であれば、このような組み込みも可能となるという一例を示した」(同社スマート&オートノマス事業開発部の下平真武氏)ものだという。

では、こうしたLiDARはパイオニアがトップランナーなのか。これについて下平氏は「スタートアップの企業でも同様製品が出ているし、決して侮れない。しかし、我々にはスター後アップ企業にはない量産技術がある。普及段階で製品をきちんと供給できる優位性はあると思っている」と話した。

3D-LiDARとカメラを組み合わせたフュージョン事例も紹介。カメラで撮影した映像に、LiDARによってリアルタイム取得した情報を重ねることで、互いの弱点を補完し合える技術として注目された。また、この映像では取得したLiDARのデータが一致していることを確認することも可能。その反応速度についてもズレがないことを示していた。

その中核として採用していたのが、ルネサスの車載載情報システム用SoC「R-Car」だ。パイオニアは昨年10月にこのSoCに同社の3D-LiDARが対応したことを発表済み。このデモはその活用する一例として紹介したものと言える。

将来の成長分野である高精度地図の開発など、自動運転の時代に欠かせない会社の実現に向けて取り組んでいることも紹介された。具体的には3D-LiDARで取得した点群の情報と高精度地図を組み合わせるとより高精度な自車位置情報が得られるというデモ。パイオニアは地図会社IPCを子会社に持っており、これによって、「LiDAR、地図、自車位置推定といった自動運転に必要なアセットを提供できるのがメリット」(下平氏)としている。

その他、究極の自動運転レベル5のコンセプト・コックピットも参考出品。ここでは自動運転車の車内空間全体を使い、観光ガイドを受けながら情報を提供される仕組みや、生体センシングなどの技術も紹介された。

《会田肇》

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