【ホンダ NSX 新型試乗】2019年モデルは「極上快適スーパースポーツ」だ…島崎七生人

正しい2代目NSX像に上書きされた

高級セダンのような“人当たりのよさ“

肩のチカラが抜けた自然なトルクベクタリング

ホンダ NSX 新型(2019年モデル)
ホンダ NSX 新型(2019年モデル)全 16 枚

正しい2代目NSX像に上書きされた

2世代目『NSX』にデビュー最初に試乗した際の思いは内心フクザツだった。

まして2000万円超、ホンダの最高、最新の技術が投入され、元来スポーツカー好きのアメリカ人エンジニアのセンスが息づいてとあらば、つまらないクルマにはなっていないはず……そう考えられたからだ。

が、実際の印象は「あら!?」だった。正直、初試乗時の印象の子細は、もはやほぼ記憶から飛んでいるほど。いや、もう少し正しく言えば、今回新たに試乗できた改良型2019年モデルが、まるっとすべての印象をいい方向に“上書き”してくれ、やっとこれで、僕の中での正しい2代目NSX像が鮮明に像を結んでくれた、そんな感じである。

高級セダンのような“人当たりのよさ“

高性能である前に、とにかく極上の快適性もモノにしたこと。新型でまず言えるのはそのことだ。とくに乗り心地は、一般公道の試乗であれば、どこかの駐車場から一般道へとクルマを進めることになるが、1本目のタイヤが路肩の段差から走行車線の路面の上にストン!と降りた瞬間から「なんて上等な乗り味のスポーツカーに手直しされたのだろう」と驚かされた。

クルマのサスペンションは……それもスポーツカーであればなおさら……ダイナミック性能の追求が第一義。だが、まるで高級セダンのような“人当たりのよさ“をまず実感させてくれた点に感銘をおぼえた。

標準タイヤのコンチネンタルスポーツコンタクト6は新型NSXに合わせて新規開発されたそうだが、とはいえ前/後=19/20インチと豊かなサイズ。だが、このクルマで仮に乗り心地の荒さを感じたとしても「それは荒れた路面のせい」と即座に断じたくなるのも、それくらい洗練された足まわりに思えるからだ。速度にして80km/hを超えたあたりからの乗り心地のスムースさは印象的だ。

肩のチカラが抜けた自然なトルクベクタリング

もちろん走り込めばこのクルマの真価は発揮される。が、それも必ずしもサーキット全開走行でなくとも堪能できるところが魅力だ。

車両重量1780kg(前/後=750/1030kg)、3.5リットルのV6ツインターボ+9速DCTに、SH-AWDの前2モーター、後1モーターによるトルクベクタリングは、トルクの制御がこれまでより肩のチカラが抜けたというか、自然さが感じられるようになったのがよい。試乗当日はFSW(富士スピードウェイ)周辺のカントリーロードを流してみたが、ボディサイズを感じさせず、ライントレース性が実に素直なのがよかった。

音は人工的な演出が加えられているとのことだが、エンジンを回せば然るべき吸・排気音を協調させながら、聞かせる音が堪能できる。その音質、音量も弁えた大人の感覚に見合っている。

そういえば、これだけのスーパースポーツカーながら、ドライビングポジションはいい意味で緊張を強いられない。前方、左右はもちろん、後方視界がスッキリとしており十分に確保されているのも、リラックスして走らせていられる要因のひとつだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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