札幌市長、市電の存続に上下分離は不可欠…路線延長はまちづくりとの関係で判断

路面状況が悪化する積雪期は、道路上の車との悪戦苦闘が続く札幌市電。右の電車は2018年度の「雪ミク電車」。
路面状況が悪化する積雪期は、道路上の車との悪戦苦闘が続く札幌市電。右の電車は2018年度の「雪ミク電車」。全 4 枚

札幌市の秋元克広市長は2月12日に開かれた定例会見で、2020年4月を目途に導入する方針が示されている札幌市電の上下分離についての見解を明らかにした。

札幌市では、2018年12月27日に開催した2回目の交通部会で、路面電車事業における上下分離方式の導入についての概要を明らかにしているが、それによると下部分の車両・施設の整備・保有は札幌市が行ない、上部分の運行は指定する運行事業者が行なうとしており、運行事業者を密接な関係にある一般財団法人札幌市交通事業振興公社とするのが最も適切であるとしている。

ただし、軌道法が適用される路面電車の場合、上下分離に関する規定がないため、運送と整備の事業者のそれぞれに必要な特許については「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(公共交通活性化法)に基づいて取得するという。

札幌市電は、2015年12月のループ化や新型低床車両の導入などにより利用者数は改善しているものの、依然として赤字体質が続いていること、施設の老朽化が進んでいることなどから、札幌市では上下分離方式を導入することで輸送コストの削減を図り、かつ安全管理体制の確保、新たな事業展開による収益やサービスの向上などを図りたいとしている。

この上下分離に関して、秋元市長は記者の質問に対して「将来にわたって市電を残していくということを考えたときに、まちづくりに生かしていくハード的な部分と、運営はより効率的に進めていく、民間的な感覚を持った経営をしていく、これが上下分離の一番の目的であります」と述べ、赤字を出さずにサービス水準を上げていくことに期待感を示した。

また、路線の延伸に関しては、計画や構想はあるとしながらも、冬期間の積雪の問題や経済活動に必要な他の車両との道路上の関係を考慮して議論していき、上下分離ありきで、まちづくりとの関係で判断していくことが必要であると述べている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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