スバルのニュル24時間参戦2019年モデル登場、鮫肌塗装でマットブルーだ…課題を克服

STI 平川良夫社長
STI 平川良夫社長全 13 枚

10日、スバルテクニカインターナショナル(STI)は、富士スピードウェイサーキットにて、2019年 ニュルブルクリンク 24時間レースの車両(WRX STI)のお披露目を兼ねたシェイクダウンを行った。

【画像全13枚】

シェイクダウンに先駆け、報道陣および、2019年モデルの開発、改良に関わったパートナー企業らに向けて、新型の改善ポイントや今年のニュルブルクリンク24時間レース(NBR24)に対する意気込みを、STI平川良夫社長、辰己英治総監督らが語った。

冒頭、平川社長は「今年のオートサロンでは、ファンのみなさんと密度のある会話を深めたいと述べた。今回のNBR24の2019年モデルも、改良点など中身をじっくり詰め込みました。ニュルブルクリンクの2連覇と6勝目をめざしたい。」と語る。

辰己総監督は「我々は勝つことも重要しているが、常に成長しなければならないとも思っている。それには、ぜひ若い人に活躍してもらわなければならない。今年は、ディーラーメカも交代制で作業ができるように、昨年の6名から8名に増員した。このシェイクダウンでは、昨年の反省を活かした改良点がどれくらい改善されているかを確認している。タイムアタックでは、期待した以上のデータもでている。」と、手応えを語っていた。

STIがニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のシェイクダウンSTIがニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のシェイクダウン車両の主な改善点は、ギア比のローギア化とステップ比の最適化。クラッチASSYの改良いよるシフトショックの低減。防水ECU。マフラーの改善。サスペンションジオメトリの調整、スクラブ半径の最適化、予選用低フリクションオイルの開発などを挙げた。

昨年はクラス優勝を果たしたものの、トラブルがなかったわけではない。また課題もいくつか浮き彫りになっている。前述の改善点は、これらの課題への取り組みによるものだ。昨年は、トップスピードの低さ、コーナーの立ち上がりで苦しむことがあった。ファイナルは変えず、ギア比をローギアードに調整、加速性能、追い越しのロスを軽減する設定とした。

ギア比を下げると、一般には最高速度は下がる傾向にある。しかし、ニュルブルクリンクのようなコースでは、トップスピードを上げるより、コーナリング速度や立ち上がりを重視したほうがよいとのことで、トランスミッションのギア比を、すべてのギアで少しずつ下げている。

このとき、各ギアのステップ比も改善を行った。旧モデルは、高いギアのステップを広めにとっていたが、これをつながり重視のギア比に変更した。旧モデルでは、高いギアでシフトアップするときに、微妙に失速のような状態が見られたという(もちろん、データロガーでの解析でわかるレベルのものだが)。

変速ショックの低減、シフトスピードの向上は、24時間レースでのメリットは大きい。

昨年は予選やレース中のトラブルもあった。最大のトラブルは、雨による原因不明のエンジンストップだろう。最終的にはピットに戻れてレースに復帰できたが、これはECUが水に濡れたことによるトラブルだった。このような問題を二度と起こさないように、ECUのケース(弁当箱)を水上バイクで実績のある製品に変更した。テストでは、ECUユニットをトレーの中で水にひたしてもエンジンが止まらないことを確認している。

STIがニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のシェイクダウンSTIがニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のシェイクダウン一連の改良によって、トップスピードが落ちないように、空力も改善ポイントのひとつだ。昨年課題だったアンダーステアも、サスペンションの見直し、タイヤとホイール剛性の最適化に加え、新しい空力パーツと塗装によって、Cd値を落とさず、ダウンフォースの向上、タイヤ接地面積の最大化を図っている。

写真を見てもわかるように、2019年モデルはボディカラーがマット調だ。辰己監督らは「鮫肌塗装」と呼んでいたが、ボディ表面は微妙な凹凸のある塗装となっている。さわってもざらざらするほどではないが、いわゆるクリア塗装とは若干違う。競泳水着も微細な凹凸がスピードアップにつながることは知られている。それと同じ原理で、表面の空気の流れをよくしている。

大きく変わったのは、ボンネット上部の2箇所の穴とフロントフェンダー上部のつくりだ。ボンネットの穴にはブレードを追加し、空気の抜けを改善している。フェンダー上部には、ギザギザのフィンがフロントからサイドバルジへの空気を、ボディ側面からリアへの流れを作っている。ギザギザの部分の鮫肌塗装は、より凹凸がはっきりしている。
NBR24参戦車両(WRX STI)2019年モデルのシェイクダウンで…

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『エスティマ』が“走りのミニバン”として復活か…アルファードと棲み分けは
  2. 次期トヨタ『GRスープラ』はハンマーヘッド顔に!? 450ps級ハイブリッドで2027年登場の可能性
  3. 【トヨタ RAV4 新型試乗】おそろしくスムーズなハイブリッド、まさに「至れり尽くせり」…中村孝仁
  4. スズキ『カプチーノ』復活の可能性!…軽規格を維持、FRレイアウトも継承か
  5. BMW『7シリーズ』改良新型、生産開始…既存モデルに「ノイエ・クラッセ」技術を初導入
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ETASとエレクトロビット、ADAS向け統合ソフトウェア基盤を発表…人とくるまのテクノロジー展 2026
  2. 超高硬度クロムめっき、EV・半導体部品の長寿命化に貢献…大型量産設備をサン工業が稼働 
  3. 「フィジカルAI展2026」初開催、現在地を知る!…ものづくりワールド
  4. BMW工場にヒューマノイド「Figure 03」導入…フィジカルAIで全身協調制御
  5. BYD12万人の技術力と日本市場への本気度、補助金逆風下「ラッコ」の戦略とは…BYD Auto Japan 東福寺厚樹 代表取締役社長[インタビュー]
ランキングをもっと見る