アマゾンのオンライン業販はモノタロウに勝てるのか?…IAAE 2019

Amazonビジネスのサイト:法人アカウントを取得すれば利用可能になる
Amazonビジネスのサイト:法人アカウントを取得すれば利用可能になる全 5 枚

IAAE 2019にアマゾンのブースを発見した。売ってないものはないといわれるアマゾンだが、あくまでコンシューマ向けの通販の話であり、あまりB向けの業販モデルのイメージはない。しかも自動車用品とあってはアマゾンにとってはかなりピンポイントな市場に見える。出展の狙いはなんだろうか?

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自動車整備やアフターマーケットにおいて、オンラインの仕入れや物品の調達では、業界向けのマッチングサイトや、国内B2B大手の「モノタロウ」がある。コンシューマで絶大な規模を誇るアマゾンが入る余地はないように見える。余地がないというより、アマゾンにとってあえて参入する必要がない市場ともいえる。

展示しているサービスは「Amazonビジネス」という事業者向けのECサイトだ。法人としてビジネスアカウントを登録すれば、メーカーや卸業者が出品する用品や部材をオンラインで購入できる。機能としては、普通のAmazonと変わらないが、Amazonビジネスによる取引の特徴は、消費者向けと違い、大量の注文にも対応できること。請求書発行やなど法人の取引プロセスに対応すること。Amazonビジネス向けの法人割引価格の設定や、Amazonビジネス用のプライム会員システムもある。

とはいえ、卸売りや業販価格、請求・支払い方法などはモノタロウなど国内既存B2Bサイトにもいえる特徴だ。その中であえてアマゾンが狙っているのは、テイルスペンド(Tail Spend)と呼ばれる市場だ。テイルスペンドは直訳すれば「しっぽ消費」となる。通常のビジネス活動における仕入れや調達は(予測を含む)計画的に行われるものが80%だ。取引相手や手順、決済などもルーチン化されている。残りの20%部分をテイルスペンドといい、突発的な購入、予定外の仕入れ、その他日常的に発生する小口の取引などだ。これらの処理は都度的で、ときには街のスーパーや量販店などで調達することもあるだろう。

Amazonビジネスが狙っているのは、この20%の部分だ。企業はこの20%をAmazonビジネスに集約でき、発注、配送、決済処理を一元化できれば、かなりコストダウンができる。アマゾンは、このメリットを強調する。想定外の調達や突発的な仕入れなどは、そのためだけに人員が通常業務とは別の動きをしなければならず、実際のコスト、生産効率を考えると、本来割に合わない。調達のマッチングサイト(B2B販売サイトの多くはこのパターン)では、注文や支払いは当事者同士の処理となり、事務処理の煩雑さはオフラインとあまり変わらないことがある。

Amazonビジネスは、この見えないコストを一括管理できるようにし、処理や決済を見える化するというわけだ。

このスキームは、物販や店舗を始めるスタートアップにも有効かもしれない。実績が乏しい新しい会社は、仕入れチャネルの開拓がハードルになることがある。計画的な調達先を開拓するために、Amazonビジネスを利用してみる方法もあるかもしれない。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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