「岩下の新生姜」とプジョーがコラボ!? ピンクに取り憑かれた男、岩下食品社長がその理由を語る

岩下食品株式会社の岩下和了社長と、ピンクのプジョージャンゴ。岩下の新生姜ミュージアムにて
岩下食品株式会社の岩下和了社長と、ピンクのプジョージャンゴ。岩下の新生姜ミュージアムにて全 48 枚

2015年6月のオープン以来、奇抜で自由な展示内容とイベントラインナップでつねに話題を呼んでいる「岩下の新生姜ミュージアム」。旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ観光・食事・土産施設100選」にも3年連続で選出されるなど、いまや年間15万人の来場者が訪れる一大アミューズメントスポットとなっている。

そんな同施設で、ピンクのプジョースクーター『ジャンゴ125 ABS』が展示されることになったという情報を聞きつけ、納車のタイミングに合わせて現地を訪れた。ひたすら“新生姜色”のものが集められているというミュージアムの人気の秘密やその成り立ち、どういういきさつでプジョー・ジャンゴを展示することになったのかについて、仕掛け人である岩下食品株式会社の岩下和了(いわしたかずのり)代表取締役社長に直撃インタビューを敢行した。

新生姜ファンとのSNS交流がジャンゴを知るキッカケに

ピンクのプジョージャンゴが岩下和了社長の手にピンクのプジョージャンゴが岩下和了社長の手に
栃木県栃木市にある新生姜ミュージアムで出迎えてくれたのは、岩下の新生姜のイメージカラーである“ニュージンジャーピンク”のスーツに身を包んだ岩下社長、その人だった。岩下社長は、Twitter上で「岩下の新生姜」にちなんだツイートをした人にほぼもれなくRTやリプを返すなど、SNS上での積極的なユーザーとの交流でも知られている。プジョー・ジャンゴの存在を知ったのも、こうしたTwitter上でのやり取りがキッカケだったという。

「僕は“岩下の新生姜”でエゴサーチするのを、かれこれ8年ほどやってて、それこそ人生をかける勢いでエゴサに時間を費やしてきたんですけど(笑)たくさんのツイートの中に、『ディープピンクのジャンゴ、岩下社長が気に入るんじゃない?』って意見を見つけたんです。気になって写真を見たら、『これはかわいい!』と思って。僕は二輪免許も持ってないし、バイクを買ったことがないから値段もわからないけど、さっそく東京のショールームに見に行こうと考えていたんですね。そしたらちょうど、Twitterの盛り上がりを知ったアディバジャパンさんから連絡をもらい、実際に僕がジャンゴを買って、ミュージアムに展示しようという話になったんです。もちろん買ったからには、二輪免許も取りたいと思ってますよ」
岩下食品株式会社の岩下和了社長岩下食品株式会社の岩下和了社長
岩下社長がひとめぼれしたジャンゴ125 ABSのディープピンクは、今年1月から登場した新色。まるであつらえたかのように、岩下の新生姜のイメージカラーによく似たピンクであることに、運命的な出会いを感じたようだ。しかも色合いだけでなく、ジャンゴのクラシカルなフォルムにも、「芽が伸びて、枝分かれして出てくる時のような“新生姜感”」があると感じたとか。

「僕は世の中のピンクのものをみんな集めて、ミュージアムに展示したいんです。理由は自分がピンクが好きというのもあるけど、何よりお客さんが喜んでくれるからということに尽きる。まあ、先日も娘とPINK-latte(※ピンクラテ:ティーンズ向けセレクトショップ)に行って、ピンクの自転車を見ながらキャーキャー言ってたくらいだから、私自身のピンク好き度合いも、もう“処置なし”なレベルですけどね(笑)」

ミュージアムに展示される条件は、とにかく「ピンク」!

岩下の新生姜ミュージアムに展示されているプジョー ジャンゴ125 ABS岩下の新生姜ミュージアムに展示されているプジョー ジャンゴ125 ABS
ジャンゴが常設展示されるのは、新生姜ミュージアムのエントランスを入ってすぐのイベントステージ。音楽に造詣が深い岩下社長の人選による、多彩なアーティストの無料ライブイベントなどが開催されるこのステージは、新生姜色のピンクにフル塗装された特注グランドピアノ、岩下の新生姜の巨大パッケージなどが並ぶ、カオティックな空間が人気のフォトスポットでもある。

現在は花見シーズンに合わせて、ミュージアムの人気マスコット“岩下の新生姜アルパカ”のぬいぐるみを桜に見立てた、「アルパカさくら」も展示中。ミュージアム内では初の乗り物系展示物となるジャンゴも、“岩下の新生姜ハート”とロゴをデザインした特製ステーカーを貼ったオリジナル仕様となり、来場者が自由にまたがり、記念撮影などを楽しめるようになっている。ちなみに、こちらの特製A4サイズオリジナルステッカーは、施設内の売店、もしくは同社ウェブショップにて1200円で販売中だ。

これまでも岩下食品では、同じピンクカラーであるよしみから、東京タワーの公式キャラクター“ノッポン兄弟”に岩下の新生姜の親善大使を委嘱したり、名字つながりから、千葉ロッテマリーンズの岩下大輝投手の初勝利に岩下の新生姜1年分を贈呈、さらに来季の球団オフィシャルスポンサーに加わったりと、数々の斬新なコラボレーションで注目を集めてきた。現在も、人気アニメ『えいがのおそ松さん』の劇場公開を記念して、新生姜ミュージアムでおそ松さんにまつわる特別展示やコラボメニューが展開されるフェアを実施中だ。ジャンゴの展示により、フランスメーカー、プジョーとのワールドワイドなコラボレーション(?)も実現したわけだが、こうしたジャンルレスなコラボ展開は、岩下社長の新生姜愛と遊び心、そして抜群の行動力から生まれたものが多いという。

「チームカラーがピンクという理由だけで、Jリーグのセレッソ大阪を応援に行きましたし、ミュージアムには、何の関係がなくてもピンクだから展示しているものもあります(笑)。でも、たとえば人気ゲームの『ポケットモンスター』に、ピンクのヤドンというキャラクターがいまして、体の色としっぽの形が新生姜に似ているということから、うちでは勝手にぬいぐるみをたくさん展示していたんですね。そしたら、プロジェクトイーブイの『イーブイの会社見学』という企画で会社訪問をしてもらった時に、イーブイだけじゃなくヤドンも一緒に来てくれることになって、これも結構な話題になったんです。もちろん、そんなにすべてが上手くいくわけではありませんが、とにかくピンクのものにアプローチしていくことで、予測もつかない展開が起きたり、思いがけない商品PRにつながっていくのがおもしろいですね」

ミュージアム体験から、新生姜ファンを増やしたい

岩下の新生姜ミュージアム岩下の新生姜ミュージアム
新生姜ミュージアムの前身は、美術品収集家だった先代社長が残した私設美術館。4代目を引き継いだ岩下社長が、残された設備を活かし、主力商品にちなんだテーマパークとしてよみがえらせた。

新生姜についてまじめに学ぶことができるのはもちろん、世界一大きな「高さ5mの新生姜ヘッド」をかぶって記念撮影ができたり、新生姜と恋人気分が味わえるインスタ映えスポットの「新生姜の部屋」、生姜が御祭神で、本格的なおみくじ・絵馬・お守り・御朱印も用意する「ジンジャー神社」など、オリジナリティあふれる唯一無二のコンテンツが揃う。

新生姜の大ファンから寄贈されたピンクのウクレレが飾られていたり、社長がネットで見つけたファンアートも数多く展示。年に3~4回は展示内容が変更され、季節に合わせたイベント開催や、独特の世界観が病みつきになるプロジェクションマッピングが披露されるなど、次になにが起きるのかわからないワクワク感や、リピーターも飽きさせない工夫にこと欠かない。
岩下食品株式会社の岩下和了社長岩下食品株式会社の岩下和了社長
「入場料を取っていない以上、この施設で採算を取ることは考えていません。バカバカしい企画も多いかもしれないけど(笑)このミュージアムの役割は、来たみなさんに楽しんでもらって、新生姜を好きになってもらうこと。たくさん笑って、いい気持ちになって帰ってもらって、普段の生活の中で岩下の新生姜をお買い上げいただくことで、その役割を完結できると考えています」

「従来の漬物には、古臭いとか、塩分量から健康的ではないと誤解されるネカティブなイメージがある。でも岩下の新生姜は、漬物というより、さまざまな応用調理ができるひとつの食材として認知されつつあります。これからは、さらに時代やユーザーの食べ方の変化に合わせたマーケティングが必要になるでしょう。今後もミュージアムを通じて、岩下の新生姜の美味しい食べ方を伝え、認知度をさらに高められるようなPRをしていきたいですね」

日本人の米の消費量低下や、減塩ブームの影響もあり、低迷が続く国内の漬物市場。しかし岩下の新生姜は、一時期落ち込んだ年間売上を1.7倍にまで伸ばしV字回復を果たしたという。その復調の要因は、ユーザーのニーズを敏感に察知し、自由な発想力から生まれる商品PR力にあることは、間違いなさそうだ。

岩下の新生姜ミュージアム岩下の新生姜ミュージアム
岩下の新生姜ミュージアム
栃木県栃木市本町1-25
開館時間:施設 10:00~18:00、カフェ 11:00~18:00(L.O. 17:30)
休館日:火曜日(祝日除く)、年末年始
入館料:無料

《齋藤春子》

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