【三菱 デリカD:5 新型試乗】個人的にミニバン嫌いだが、この走りは悪くない…九島辰也

三菱 デリカD:5 新型
三菱 デリカD:5 新型全 18 枚
昨年誕生から50年を迎えた三菱『デリカ』シリーズ。51年目の今年はイメージをガラリ変えてマーケットに挑むようだ。

“挑む”というのは、価格帯が変わりマーケットを上にずらしたから。現行型では200万円代のガソリンエンジン搭載車があったが、今回はディーゼルエンジン一本。価格帯は300万円後半から400万円前半となった。この価格差は最新の安全装備を標準化したことも関係する。要するにこれまで結果としてオプション代を支払っていたものをインクルードしたのだ。

また、駆動方式は4WDのみというのもそう。2WD車よりは価格は上がるのは想像しやすい。要するに、エンジンはディーゼル、駆動方式はヨンクという潔い良い設定である。

◆存在感バリバリの新顔×三菱自慢のクリーンディーゼル



顔もある意味挑んでいる。三菱がいま使っているフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」と縦型のマルチLEDヘッドライトを前面に押し出した。仕上がった顔はご覧の通り。存在感バリバリとなる。

ちなみに、この顔は2種類あり、スタンダードとアーバンギアで少し異なる。まぁ、この辺は好みだが、どちらにせよ後ろにつかれたら思わず道を譲ってしまいそうだ。

エンジンは2.2リットル直4ディーゼルターボで、最高出力は145psを発揮する。特徴は三菱自慢のクリーンディーゼルで、コモンレール式ダイレクトインジェクションを搭載する点。そして今回さらに AdBlue 機構を備えた。尿素水を使ってアンモニアを生成させ窒素酸化物を還元するというものだ。これで排気ガスはこれまで以上に浄化される。来るべき環境規制対策は万全である。

◆シャシー改良で素直な挙動と強い操作感を獲得



では実際に走らせた印象はどうか。個人的にミニバンは嫌いだが新型『D:5』の走りは悪くない。ステアリング操作に嫌なクセはなく、とても素直にクルマが動く。コーナーでのロール抑制は自然で好感を持てた。いきなりグッと押さえ込まれるのではなく、若干ロールしてから安定させる感じだ。ドライバーにとっては操作感が強いため楽しさも得られる仕上がりである。開発担当者によるとこれはシャシー前部を見直した恩恵。マウントもしっかりしていて副次的な揺れはない。

そしてこれを高速道に持ち込むとさらにいい。直進安定性が素晴らしく、ロングドライブも疲れなさそうだ。でもって中間加速はディーゼルユニットが力強くクルマを押し出す。

◆アクセルにリニア感足りず、もったいない!



が、ここでひとつネガティブ部分を見つけた。8速ATのマナーである。回転域によるのであろうが、アクセル開度における出力がCVTのように遅れるパターンがある。エンジンの唸りと加速のバランスが合っていないということだ。クルマの性格上スポーツカーのように合わせる必要はないが、アクセルに対するリニアな反応はあった方がいいに越したことはない。せっかくのエンジンの魅力をここでスポイルされてはもったいないと言いたい。

といったD:5のロードインプレッション。価格帯が上がった分もっとこうした方がいいという部分もあるが、この走りは嫌いじゃない。『アウトランダーPHEV』、『エクリプスクロス』、そしてこのデリカD:5と、このところいい感じのモデルが続いている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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