「フォルシア クラリオン エレクトロニクス」がスタート、フォルシアの第4事業部として

自動車部品分野でフォルシアは世界トップ10に名を連ねる

フォルシア傘下に入ることで完璧な補完関係になる…川端EVP

「Clarion」のプロダクトブランドはそのまま

事業部発足の会見後、握手するフォルシア CEO パトリック・コラー氏(左)とフォルシア クラリオン エレクトロニクス EVP 川端敦氏
事業部発足の会見後、握手するフォルシア CEO パトリック・コラー氏(左)とフォルシア クラリオン エレクトロニクス EVP 川端敦氏全 9 枚

クラリオンと、フランスの自動車部品メーカーであるフォルシアは、2019年4月2日、東京都内で記者会見を開き、クラリオンがフォルシアの4つ目の事業部として事業を展開していくことを発表した。新たな事業部名は「フォルシア クラリオン エレクトロニクス」となる。

自動車部品分野でフォルシアは世界トップ10に名を連ねる

記者会見に登壇したのは、フォルシア CEO パトリック・コラー氏と、フォルシア クラリオン エレクトロニクスのEVP(エグゼクティブ ヴァイス プレジデント)に就任した川端 敦氏の2名。まず、コラーCEOがフォルシアの概要と事業戦略を解説し、クラリオンを買収したことで生まれる意義について説明された。

コラーCEOによると、フォルシアの年間売上は2018年に175億ユーロとし、世界トップ10に名を連ねる自動車部品メーカーであり、主力事業は「シーティング」「インテリア」「クリーンモビリティ」の3事業。特にシートフレームや排気浄化システムでは世界1位を達成し、インテリア分野でも統計によって変化するものの、常に1位を争っている状況にあるという。現在37カ国に300以上の拠点を持ち、従業員数は11万5000人にも及ぶと紹介した。

しかし、そんなフォルシアも大変革機を迎えた自動車業界の荒波から逃れることは出来ない。そこで、自動車業界の“メガトレンド”となっている「CASE(コネクテッド、自動運転、カーシェアリング、電動化)」に対して積極的に投資し、今後は大きな成長が期待されている、「サステイナブル・モビリティ」「コックピット・オブ・ザ・フューチャー」の2つの市場へ製品の投入。これによって高収益性を確保していく計画だという。とはいえ、フォルシア単独でその収益性を確保するのは難しい。クラリオンを買収することに至ったのはこうした背景があったとコラーCEOは説明した。

クラリオンの買収に伴う第4の事業部設立にあたっては、Android OSに強い「Parrot Automotive」や低コストの製品化で強みを持つ「Coagent」といった企業の買収を実施。その他、13~14のスタートアップ企業に投資を行ない、ユーザーが求める「個人に合わせた最適化」「高い没入体験」といったニーズを満たす企業への転換を図っていくことを目指すという。これによって、売上高は2018年の175億ユーロから2025年に300億ユーロにまで増やす計画だ。

フォルシア傘下に入ることで完璧な補完関係になる…川端EVP

続いてフォルシア クラリオン エレクトロニクスの川端EVPが同部門が設立するまでの経緯と今後の事業戦略について説明を行った。

それによると、2018年10月に株式公開買付が行われることになり、クラリオン社内ではフォルシアの精査を開始。その結果、フォルシアの傘下に入ることで「完璧な補完関係」となることを確信したという。クラリオンは電子技術やコンピューター技術、ソフトウェア技術、画像処理技術に長けており、それらの技術をフォルシアのシーティングやインテリア技術を組み合わせることで、これまで出来なかったことを具体化していける大きなチャンスとして捉えたと話す。

特に今回の事業部設立にあたっては、Parrot AutomotiveとCoagentが合流したことも大きかったようだ。現在、インフォテイメントシステムではAndroid、Linux、QNX の3つのOSが中心となっているが、Parrot AutomotiveはAndroid OSのプラットフォームに高い技術力を持ち、それを欧州系の自動車メーカーにOEMしている。さらにCoagentは低コストな製品化と同時に、次世代車載情報通信システムであるIVI(In-Vehicle Infotainment system)プラットフォームで中国系自動車メーカーへOEMしている。この両社とのインテグレーションを行うことで、これまでクラリオン単独では不可能だった新たな事業展開が可能になるとの判断が決め手になったという。

また、フォルシア クラリオン エレクトロニクスはもともとクラリオンが得意としてきた「コックピット」「低速ADAS」「OEMビジネス以外」の3つを事業の柱に位置付ける。

「今年のCES 2019で披露したドライバー不在の自律運転デモでは多くの方から高い評価を獲得し、この分野ではライバルを1歩リードしている」(川端EVP)との認識を示し、この分野でのトップ争いを推し進めていく方針だ。OEM以外のビジネスでは収益性を重視した経営方針とし、特に日本など認知度が高いアフターマーケットでの商品展開を行い、こうした得意分野で力を付けることでフォルシアの事業拡大に貢献していく考えだ。

「Clarion」のプロダクトブランドはそのまま

なお、今回のフォルシアによる買収によって実質的にはフォルシア クラリオン エレクトロニクスとして事業活動を行うが、「クラリオン」という社名は登記上で残る。プロダクトブランドとしてもクラリオンで展開していくという。今後も長く慣れ親しんだ「Clarion」製品を購入できることに変わりはない。

《会田肇》

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