スポークが1本折れてる? わけではない アルシオーネ のハンドル…オートモビルカウンシル2019

スポークが1本ない?
スポークが1本ない?全 16 枚

ビンテージカーを会場で買うこともできるイベント「オートモビルカウンシル」。スバルは「80s百花繚乱」という80年代を彩った各社の名車という企画展示のコーナーに、『アルシオーネ』と『レガシィツーリングワゴン』を展示していた。

【画像全16枚】

アルシオーネは、80年代というまさに日本経済のバブル景気を象徴する車といってもよい車だ。くさび型と呼ばれた独特なボディ形状は、尖った2ドアクーペというボディスタイルと、ほとんど2シーターといってよいくらいの後席の空間など、スバルらしくない斬新なデザインが特徴だった。しかし、この形状も当時の技術で最小の空気抵抗係数(Cd=0.29)を目指した結果となれば、スバル得意の「機能美」の追求のひとつの方向性といえるだろう。

それは細部を見ればわかる。空力を考え1本ワイパーは払拭面積を最大にするためM字の軌跡で動く2軸機構を採用。ドアノブは凹凸をなくすため、ボディ側のくぼみに蓋がついている。ドアミラーも空気抵抗を最小にするためピラー一体ではなくステーでボディから離す位置に取りけてある。

チャレンジングなのは外装だけではない。内装、というかコックピット周りも斬新かつこだわりのかたまりだ。ステアリングはチルト機構に加え、テレスコピック機構も追加されている(当時は珍しい部類の装備)。チルト機構も普通ではない。ステアリングといっしょにメーターパネルも動く。ハンドル位置をベストポジションにしたとき、メーターを遮ることがないための工夫だ。

ライトや補機類のスイッチはステアリングコラムから左右に伸びるスイッチボックスに集約され、ウィンカーレバーなどはシンプルなスティックになっている。

若干意味不明だったのは、変形2本スポークのハンドルだ。3本スポークの左側1本が欠けている。

エンジンは、4WDスバルを決定づけたレオーネの4気筒水平対向 1.8リットルのブロックをベースにターボ化したものが搭載された。展示車両は2.7リットルのNAエンジンのモデルだった。1.8リットルターボはマニュアル・トランスミッション車もあったが、2.7リットルエンジンはNAしか設定がない。なお、アルシオーネは発表当初、しばらくスバルの公式の社長車のひとつだったこともある。使用するとき、社長は助手席に乗っていたらしい。

スバルのもう1台の展示車両はレガシィツーリングワゴンだ。レオーネ以降のスバルを代表する車種のひとつで、のちの『インプレッサ』や『フォレスター』、『XV』、『レヴォーグ』につながるスバルの根幹をなす車といっていいだろう。

レガシィは現役モデルでもあり、初代でも現役で走行している車両を見かけることがあるので、補修部品はまだ手に入ると思われるが、アルシオーネは販売台数も限られるため、メンテナンスが気になるところだ。スバルでは注文が月10個を下回ると廃番対象となるそうだ。また、保存車両については3ランクにわけて、2か月ごと、4か月ごとといった点検、走行試験などを行っているという。どうしても部品がそろわなくなると、形状、外形を優先させメンテナンスを続ける。部品によっては3Dプリンタで作成することもある。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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