【SUPER GT 開幕戦】雨に翻弄された岡山戦…GT500クラスは伊沢拓也が駆るARTA NSX-GTに凱歌、年跨ぎの2連勝を達成

GT500クラス優勝の#8 NSX。
GT500クラス優勝の#8 NSX。全 16 枚

SUPER GT開幕戦は14日、岡山国際サーキットで決勝日を迎えた。レースは雨に翻弄されることとなり、セーフティカー導入や赤旗中断が相次ぐ展開に。そのなかでGT500クラスを制したのはARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也)だった。昨季最終戦に続く2連勝。

決勝日の岡山国際サーキットは予報通りというべきか、雨に見舞われた。午後2時30分、82周の決勝レースはセーフティカー(SC)先導でスタート。3周終了時にSCが撤収し、実質的開戦となる。しかしその後はGT300クラスを中心にアクシデントによるSC導入や赤旗中断が連発、混乱した一戦になっていってしまう。

そしてレース最大延長時刻の5時30分まで約30分という段階での赤旗中断中に、レースの打ち切り終了が決定。先頭が32周目を終了する寸前の状況でマシン群はホームストレートに整列停車しており、レースは30周終了時点の順位で決着した。

ウエット路面での断続的な競争状態のなか、GT500クラスで高いパフォーマンスを示したのはブリヂストン(BS)タイヤを履くホンダNSX-GT勢3台だった。20周目には#1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J. バトン/BS)、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&B. バゲット/BS)、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也/BS)の順で1-2-3を形成する。

ところが24周目の1コーナーで#1 NSX(山本)と#17 NSX(塚越)が急接近し、軽く追突があったとみられる状況で先頭の前年王者#1 NSXがコースアウト、グラベルにつかまりここでラップダウンになってしまう。レースが打ち切られた状況下においては#17 NSXが首位だったが、34秒加算のペナルティが科せられ、優勝は#8 NSXのものに。

#8 NSXは昨季2勝、タイトルは獲れなかったがGT500クラス最多勝だった陣営である。これで昨季最終戦もてぎに続く、年跨ぎでの2連勝。この日は(他陣営同様に)ドライバー交代のタイミングが訪れず、伊沢のみがステアリングを握っての優勝となっている。

#8 伊沢拓也のコメント
「今までSUPER GTを戦ってきたなかでも、かなりひどいウォータースクリーンでした。スタート(予選順位)は5番手だったんですけど、前がほとんど見えなくて、どこを走っているかもよく分からないなかでコースにマシンをとどめないといけないような状態でした。なんとか前(予選1-2)の日産2台を抜いていたことで、最終的に勝利が僕たちに転がり込んできたと思います」

「とはいえ、ホンダ同士の接触(#1と#17)があっての結果なので、素直に喜べないところもあります。ただ、僕たちに関していえば、予選Q2で野尻選手が5位を獲っていてくれたことが今日の自分のレースをうまく展開させやすくしてくれましたし、去年からいろいろやってきた(チームとしての)かたちを、開幕戦でひとつこういうふうに出せたことは、今年のシリーズを考えても幸先のいいスタートになったと思います」

GT500クラスのNSX(ミッドシップ)は昨季終盤からは5kg、昨季開幕戦の岡山からは都合15kgの“増量措置”を受けて、当初の1049kgに競技最低車重が戻った(バラストの一部は指定位置搭載とされる。FRであるLC500とGT-Rは車重1020kg)。雨のため、増量の“実効性”はまだ不明なままともいえるが、それよりなにより雨中で1-2-3を形成しながら最終的に得たのは1位のみという、ホンダにとってはなんとも微妙な内容と結果の開幕戦になっている(#17 NSXは最終結果14位、#1 NSXは同15位)。

ただ、そのなかで唯一、走りを結果に結びつけた#8 NSX 伊沢のベテランらしい落ち着きは光っていた。ピットで見守っていた僚友の野尻も、「あの状況のなかでマシンをコース上にとどめて、チャンスがある時には前のマシンを抜いてきてくれた。伊沢選手にしかできない走りだったと思います」と、先輩を絶賛する。チームとしてのまとまりが高い次元に達しつつある雰囲気を感じさせる#8 NSX、今年こそはタイトル獲りに現実味が増してきた開幕戦といえよう。

決勝2~5位にはポール発進だった#23 GT-Rをアタマに日産勢が並んだ。順位は以下の通り。

2位 #23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R. クインタレッリ/ミシュラン=MI)
3位 #12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹&J .ロシター/BS)
4位 #3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平&F. マコヴィッキィ/MI)
5位 #24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠&J. マーデンボロー/ヨコハマ=YH)

勝利こそ得られなかったが、日産勢にとっては昨季終盤の苦境からは脱したムードを強く感じさせる内容の開幕戦だった(ドライの予選では全車Q2進出で1-2独占)。

一方で予想外の苦戦を強いられたのはレクサス勢。決勝最上位は#19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資&坪井翔/YH)の6位。次戦以降の反撃が注目される。

なお、今回の決勝レースに関しては規定によりシリーズポイントは通常の半分が1~10位に与えられている(優勝は通常20ポイントの半分で10ポイント)。

次戦第2戦はゴールデンウイークの富士スピードウェイが舞台。通常よりレース距離が長い500km戦で、もう一度仕切り直しの開幕、というかたちにもなった。開催日程は5月3~4日、“令和初戦”として迎えることになる。

《遠藤俊幸》

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