ダンロップの新しいミニバン専用タイヤ『エナセーブ RV505』をレポート…松田秀士

ダンロップの強い思いから誕生した「エナセーブ RV505」

まずは先代の「エナセーブ RV504」を試乗

続いて「RV505」を試乗、ドライビングフィールはどう変わるのか!?

一般道では RV505 の“仕事の速さ”を感じる

ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505
ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505全 21 枚

ダンロップのミニバン専用タイヤ『エナセーブ RV504』の後継として、新商品『エナセーブ RV505』が発売される。

ダンロップの強い思いから誕生したエナセーブ RV505

新商品のRV505は「事故のない毎日を作りたい」というダンロップの強い思いから生まれた。ミニバンは背も重心も高い。さらに多人数乗車などによる重量変化や、横風を含めた様々な路面状況の影響を受けやすく、その結果ふらつきが多く事故につながる恐れがある。

これらに対して、RV504の性能をさらにブラッシュアップした「FUNBARI TECHNOLOGY(ふんばりテクノロジー)」によって、耐ふらつき性能を19%向上させ、安定した直進&コーナリング性能を実現しているという。さらに耐偏摩耗性能は53%と大幅にアップ。ミニバンのタイヤは偏摩耗率が高くショートライフという調査結果もある。ロングライフはユーザーにとっても重要なテーマだろう。ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505

まずは先代のエナセーブ RV504 を試乗

さて、試乗のステージは岡山県にあるダンロップのテストコース。そしてその周辺の一般路だ。ではさっそくレポートを始めよう。

まずは試験路での走行。3台のトヨタ『アルファード』で比較する。アルファードにバラストを積んだ積車としてRV504とRV505の比較2台。さらにRV505空車を含めた計3台の比較する。最初にRV504積車で走行した。

ピットアウトして60km/hで走行する。雨は降っていないが気温8度で路面は完全ウエット。第1ターン内側車線走行。コーナリングに入った瞬間から少し高めの(パターンノイズ)ロードノイズを感じる。第1ターンはコーナリング中に緩い正アンギュレーションがあるが、ここでロール中の正アンギュレーションに対する緩い煽りを感じる。ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505

つまり、タイヤとサスペンションの同期がずれているために感じる上下動だ。直進時もあることはあるが、コーナーで大きく発生する印象。コーナリングは60km/hでも割とロールがある。実はこれはタイヤの捩れロールであることが、この後のRV505との比較で判明した。

さらに次の周に+20km/hの80km/hでのコーナリングではさらにロール感。先ほどの上下動はフロントで大きく感じるようになる。明らかにフロントのピッチングだ。

直進路でだんだん速度を上げると、直進ではピッチングはそれほど大きくない。レーンチェンジでは初期応答が普通にミニバンらしい穏やかな初期応答で、初期操舵時の捩れ感がステアリングに返ってくる。

続いて「RV505」を試乗、ドライビングフィールはどう変わるのか!?

これに対して同じ積車でのRV505装着車では、まずステアリングのセルフアライニングトルクが増してステアリングがしっとりと重い。60km/hレベルのコーナリング中のピッチングも量も回数も少ない。この時点で雨は上がっているけれども路面はまだウエット。しかし、グリップ感が高く安心したコーナリングだ。ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505

速度を上げて80km/h、さらに次の周では120km/hでのレーンチェンジでは初期応答が速く少ない操舵角で気持ち良くクリアー。応答は速いが極初期が過敏ではないので速度が高くても恐怖感がない。どうやらRV504はタイヤそのものが捩れる動きがゆっくりで、サスペンションとは別々に動いているようだ。また捩れによる変形そのものも大きいので、コーナリングではロール量も大きい。

橋上や高速での路面継ぎ目を想定した路面では。ハーシュと呼ばれる突き上げの衝撃が小さく、また跡を引くような振動感が小さく、ショックが早く収まる印象だ。そしてどのような条件でも室内へのロードノイズが小さく、静粛性が高い。

一般道では RV505 の“仕事の速さ”を感じる

午後からは一般路での試乗となった。天候は青空が覗き完全なドライコンディション。試乗車はスズキ『スペーシア』、トヨタ『ノア』ハイブリッド、ルノー『カングー』、VW『トゥーランTSI』の4台。

最も印象的だったのは欧州車の2台だ。もともと欧州車は直進性が高く、特に高速域ではステアリングのニュートラル域(中立域)がハッキリと手に伝わってくるフィーリングだが、それが低速域でもしっかりと感じられる。国産2車でもその部分は同じなのだが、欧州車は極めてしっかりとしている。そして欧州車では明らかに室内静粛性が高い。これは30~60km/h超までの速度域の全てでそう感じるのだ。ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505

逆に静粛性よりも乗り心地が良く感じられたのが国産2台というところ。試乗車はカングー以外がレンタカーだったようで、ノア ハイブリッドはボディーの2次振動がハッキリと感じられた。乗り心地は向上しているのだが、強めのハーシュに対してボディーのヤレたフィーリングがハッキリ感じ取れる。

おそらくRV505はタイヤが仕事をするときの形状に、RV504より早く変化するのではないかと感じる。人は椅子から立ち上がるとき、背中を起こして骨盤に体重を乗せて立ち上がるが、背中を起こして骨盤に乗るまでがRV505は速いのだ。よってタイヤの仕事をする姿勢が早く出来上がるので、サスペンションがより動きやすくなる。つまりサスペンションやボディーの性能が問われるのでは? と感じた次第だ。

個人的にこのタイヤの気に入ったところは、ブレーキング時のノーズダイブがハッキリとし、踏力コントロールでノーズダイブ量を調整しやすい。低速での緩いコーナーで修正舵が少なくライントレース性が高い。そのため狭い道幅の路でもクルマをきちんと中央にハンドリングすることが容易で疲れにくい。

発売サイズは48サイズで価格はオープン。ミニバンユーザーの方は是非マイカーのタイヤをチェックしてみてほしい。ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505ミニバン専用タイヤ、ダンロップ・エナセーブRV505

松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践しスーパーGT最年長55歳の現役レーサー。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

《松田秀士》

松田秀士

成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践する。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 1回あたり300円、10分で施工できる凄技コーティング、洗車機との相性も抜群『CCウォーターゴールド』が選ばれる理由PR
  2. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  3. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  4. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  5. アルファロメオ『ステルヴィオ』後継モデルは、大容量バッテリー搭載で航続700km実現か
  6. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  7. ホンダ ヴェゼル 改良新型、純正アクセサリーで“自分らしさ”を表現する
  8. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  9. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  10. ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
ランキングをもっと見る