超・遠回り! 「ひ」の字で走る西武新型特急は、ただのGW10連休企画じゃなかった

2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号
2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号全 8 枚

ことしデビューした西武鉄道新型フラッグシップ特急電車001系「Laview(ラビュー)」が、単線の線路をゆっくりと行き、JR川越線と東武東上線のガード下をくぐって本川越駅 1番のりばにつけた。西武新宿線内で初めて運行する、特急むさし90号。その行き先が、渋い。

号数が90番台とあって臨時列車を思わせる、むさし90号の行き先は、なんと飯能。きょう4月27日から5月6日までの10連休に、本川越→飯能→本川越と1往復する臨時特急。むさし90号は、本川越を13時05分に出ると、狭山市、所沢、入間市ととまって、飯能に13時51分につく。返しは飯能14時23分発。途中駅は同じ。往路も復路も40分ちょっとの行程だ。

「なんだ、西武新宿線で001系の臨時特急が走っただけか」と思うかもしれない。が、関東地方の鉄道好きには気になるところがある。「なんでまた、こんなルートを伝って本川越と飯能を結ぶ特急を走らせるんだ?」と。地図をみて、その走行ルートをチェックしてみて。文房具のクリップの両端を無理やり曲げたような、「ひ」の字を描くルート。

10両停止位置よりも手前、手信号でとまる演出も

2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号仮にこの列車が狭山市駅と稲荷山公園駅にとまるなら、たとえば狭山市駅で001系ラビューをおりて、稲荷山公園駅まで歩いてショートカットしても、さっき乗ってた001系ラビューむさし90号に間に合うんじゃないかとも思うぐらい、とんがった「ひ」の字運転がおもしろい。

001系ラビュー臨時特急むさし90号の初日には出発式が行われ、西武鉄道の若林久代表取締役社長・社長執行役員、同鉄道本部運輸部の村上正行本川越駅管区長、プリンスホテル川越プリンスホテルの小田麻夕美支配人、川越市の川合善明市長、飯能市の大久保勝市長、『映画 としまえん』出演女優の小島藤子、川越市のマスコットキャラクターときもが本川越駅1番のりばに。

ここで鉄道好きには「おっ」と思うシーンが。8両編成の西武001系は、10両の有効長をもつ1番線につける位置が興味深い。「10」「8」「6」という停止標よりも、2両ぶんほど手前の、有効長8両ぶんの2番線と同じ位置につけた。登壇者たちが待つポジションにあわせての配慮だ。「みてください。赤い旗をもって臨時手信号で停止位置を定めてるでしょ」(関係者)。

本川越、飯能、その先にある連絡構想

2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号2019年のGW10連休中、本川越~所沢~飯能で走った西武001系ラビュー特急むさし90号ここで登壇者たちが語った言葉に、この001系ラビュー臨時特急 本川越~飯能の「無駄に遠い『ひ』の字運転」の意義みたいなものが伝わってきた。

「埼玉県のなかでも、西武線沿線の2大観光都市といえば、いま、飯能と川越。この2つの街を結ぶ列車を走らせられるのは、西武鉄道ならでは。小江戸 川越と、ことしオープンした「ムーミンバレーパーク」の街、飯能を結ぶ列車が走り出したのは、うれしい」

「“小江戸”川越と、“ムーミンの街”飯能、さらにはその先、秩父までを回遊できる、そんな列車を待っていた。この臨時特急はその試金石。両観光都市をつなぐ列車という位置づけだけでなく、流通やホテルなどとも連携して、さらに整備していきたい」

そうか。本川越と飯能を、所沢を大回りして結ぶ臨時特急むさし90号・92号は、西武鉄道が持つ線路網と観光資源を、「もっと自在に結べないか」という発想で動き出した第一弾なんじゃないか。

たとえば、新宿・池袋から普通電車で所沢へむかい、本川越と秩父を結ぶ所沢経由の特急に乗り換えるというシーンも妄想できる。帰りもそう。さらには、「ひ」の字で走る特急と、既存の特急むさし・小江戸と連絡するシーンまでも妄想できる。

もっというと、JR川越線・八高線や、東武東上線の客を、本川越や飯能を経由させて西武鉄道路線へと引き込めるんじゃないかと……。大型連休とは思えない肌寒さのなか、西武鉄道・川越市・飯能市のパッションは、熱すぎた。いっぱい妄想できた。

《レスポンス編集部》

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