【三菱 eKクロス 新型試乗】N-BOXを追撃できる性能を手に入れた…丸山誠

コンパクトカーに近い感覚の走り

しっかりアシストしてくれる「マイパイロット」

高速道優先ならターボがおススメ

三菱 eKクロス
三菱 eKクロス全 33 枚

コンパクトカーに近い感覚の走り

日産に任せてよかった。新型『eKクロス』に試乗した実感だ。eKクロスを含むeKシリーズは、先代と同じく三菱自動車と日産自動車の合弁会社NMKVが企画・開発マネジメントしている。

だが、新型は役割分担を変更。先代は設計と開発は三菱だったが、新型はこれらを日産側で行った。日産にとっては初の軽自動車開発となったが、これが逆によかった。軽自動車販売台数ナンバーワンのホンダ『N-BOX』を追撃するのに十分な性能を手に入れたといえる。

三菱 eKクロス三菱 eKクロス
走らせるとボディ剛性感やステアリングから伝わる手応え、サスペンションの動きがコンパクトカーのようなフィーリングなのに驚く。軽自動車はトレッドなどが狭いためボディの動きは路面からの影響を受けやすいが、eKクロスはそれを感じさせにくい。左を向いて助手席の近さを確認しなければ、軽自動車とは感じないほどだ。

荒れた路面でもタイヤがストロークする感じが伝わり、実際に乗員の頭の揺れが少ないように感じる。N-BOXも登録車並みの操縦フィールが受けて販売を伸ばしているが、eKクロスはスイングドアを持つハイトワゴンなので、より重心が低いためコンパクトカーに近い感覚だ。

しっかりアシストしてくれる「マイパイロット」

三菱 eKクロス三菱 eKクロス
eKクロスのターボ(4WD)に乗り、高速道路に入ってすぐに試したのがマイパイロット(MI-PILOT)。三菱初の高速道路同一車線運転支援技術としてマイパイロットを名乗っているが、日産のプロパイロットと同じだ。作動させると車線中央を維持しながらスムーズに走行し、手を添えているだけでどこまでも走ってくれるような頼もしさがある。

そう感じさせるのはハンドルの動き。軽自動車ながら落ち着いた動きで、心配になるようなギクシャクした動きがない。日産のプロパイロットの初期モデルは車線中央を探すように左右に操舵するようなクセがあったが、eKクロスのマイパイロットにはそうしたクセがない。試乗コースは緩やかなカーブが多い高速道路だったが、eKクロスはカーブ合わせてスムーズに曲がってくれ、運転をしっかりとアシストしてくれた。

N-BOXも先進安全装備標準装備化したことでヒットしたが、eKクロスは車線維持をするレーンキープはもちろんACCも全速域に対応しているのがポイント。N-BOXは30km/hほどでACCがキャンセルされてしまうが、eKクロスはしっかりと停止まで行い、もちろん停止保持もする。ACCを使わない一般道でもブレーキホールド機能が付いているため、信号などで停車したときにブレーキペダルを踏み続けなくていいのはとてもラクだ。

高速道優先ならターボがおススメ

デリカD:5とeKクロスデリカD:5とeKクロス
eKクロスはNAとターボを設定しているが、マイパイロットを使って高速道路を走る機会が多いのであればターボがおススメ。市街地走行がメインならばNAでも十分な動力性能を確保している。新エンジンは先代と比べると静粛性が高く、高回転域まで回しても耳につくノイズが劇的に少なくなっている。さらに新開発CVTは副変速機構をなくしたため、中速域で副変速機構が作動するノイズもなくなった。

室内の静粛性ではややドラミング音を感じたが、これはオールウェザータイプのフロアマットが装着されていたからかもしれない。ゴム製のため吸音しにくく、反射音が残りやすいからだ。普通のフロアマットならもう少しドラミング音が抑えられたかもしれないが、いずれにしろ静粛性はコンパクトカー並みに静かな軽自動車だ。

デザインは好き嫌いが分かれそうだが、実車を見るとSUVを感じさせる迫力があり、縦型の3灯式LEDヘッドライトも美しい。『デリカD:5』のディーゼルと同じイメージのフロントフェイスにしたのは正解。初見では違和感があるかもしれないが、コンパクトカーを含めたライバルを相手にするには、このくらいのインパクトが必要だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

《丸山 誠》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 元世界王者レイニー、34年ぶりのラグナセカを特別なヤマハ『XSR900 GP』で駆け抜ける
  2. ポルシェデザインのタワマンは最高72億5000万円、アジア初バンコクの物件が日本発売へ
  3. 劇的に流麗! アウディ『Q3スポーツバック』新型に備えよ
  4. レクサスの新境地を開くか...『ES』に「スポーツクロス」導入の噂
  5. ルノー、新型SUV『ボレアル』発表…世界70か国以上に投入へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  3. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  4. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
  5. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
ランキングをもっと見る