ホンダ四輪事業が四半期ベースで営業赤字、構造改革は7合目

ホンダの会見の様子
ホンダの会見の様子全 2 枚

ホンダが5月8日に行った2019年3月期連結決算会見は異例だった。例年顔を見せることがない社長が真っ先に壇上に上がってスピーチしたからだ。それだけホンダの置かれた現状が厳しいという表れと言っていいかもしれない。

八郷隆弘社長がスピーチで特に強調したのは、四輪事業の体質強化だ。

「社長就任以来『強い商品づくり』と『地域の協調と連携の強化』により、強いホンダをつくり上げると発信してきた。しかし、必要以上の地域ニーズへの対応を各地域で個別に進めた結果、モデル数、そしてグレードやオプション装備の組み合わせである『派生』の数が増え、効率が落ちてきた。そこで、グローバルモデルと地域専用モデルの商品魅力と効率化の両立を目指し、『地域の強調と連携強化』と『クルマづくりの進化』の2つに取り組む」

ホンダの四輪事業は現在、悪化の一途をたどっていると言っていいだろう。それは2019年3月期の四半期ベースの営業利益を見れば一目瞭然だ。第1四半期1516億円(営業利益率5.3%)、第2四半期698億円(同2.6%)、第3四半期412億円(同1.4%)、そして第4四半期には530億円の赤字に転落してしまった。これには欧州での生産体制変更による損失(680億円)が含まれているが、いずれにしても右肩下がりには変わりはない。

ホンダは伊東孝紳前社長が「世界6極体制、2016年度に600万台」という壮大な目標を掲げて突っ走った。工場を増設し、地域ごとの専用モデルを多く投入。また、メンツにこだわって需要の少ない高級車も発売した。その結果、効率的な生産ができずに、今の四輪低迷の事態に陥っている。

15年に就任した八郷社長は過去4年間、その負の遺産の処理に追われてきたわけだ。タイの生産ラインの一部をはじめ、狭山工場(埼玉県狭山市)、英国やトルコでも工場の生産終了を決断した。そして今回、2025年までにグローバルモデルの派生数を3分の1に削減し、量産車の開発工数を30%削減する方針を打ち出した。

「体質は少しずつよくなっている。それをさらに2025年に向けてもう一段体質を変えていこうと考えている。私の感じで言うと、現状は7合目ぐらいに来ている」と八郷社長は構造改革の進捗について話すが、甘すぎるのではないかというのが率直な思いだ。

なにしろ、四輪事業の利益は悪化の一途をたどり、赤字にまでなっているからだ。その裏には、なかなか元気を取り戻せないホンダ社員に対して、もう少し頑張れという八郷社長の思いが込められているのかもしれない。

《山田清志》

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