「人の記憶はあいまい」ボッシュの自動運転トークに岩貞るみこ登壇…オートサービスショー2019

オートサービスショーのボッシュブースでは、モータージャーナリストの岩貞るみこさんを招いてトークセッションが開催された。
オートサービスショーのボッシュブースでは、モータージャーナリストの岩貞るみこさんを招いてトークセッションが開催された。全 8 枚写真をすべて見る

ボッシュはオートサービスショー2019で、モータージャーナリストの岩貞るみこさんが登壇し、「自動運転社会への課題と対応策」と題したトークセッションを開催した。

自動車の方向性として注目されている技術「自動運転」。クルマが走る技術自体は日進月歩で、実現はそう遠くない将来にできるとされている。しかしながら一方で、自動車事故の犠牲になる人は少なくなく、そうした場合、どのような経緯で、事実の把握の重要度はますます増しているにもかかわらず、依然困難を極めることも少なくないという。

今後クルマの走行が、ドライバーからさらにクルマに依存されていく方向性の中で、自動車事故後の処理に携わる保険会社、自動車販売店、修理を担当する修理工場などにとっては、より正しい判断で手続きを進め、業務効率にも大きく影響する事故の客観的把握に対する関心は極めて高いと言える。

トークセッションが行われたボッシュのブースには、オートサービス関連のビジネスに携わる人たちが集まり、熱心にトークに耳を傾けていた。

岩貞さんからは実際の事例が紹介された。玉突き事故などの場合、当事者が多く、一瞬にして様々なことが起き、何が原因でどうなったかという公正かつ公平な事実把握が必要になる。

いろいろと調べていくと、例えば、故意にではなくても、その時の因果関係に対する記憶と認識が事実と異なる場合がある。また事故に遭ったことで、実際には過失割合が小さいのに、気弱にになり、自分のせいでと思ってしまったりする場合もあるという。ここがはっきりしないと、保険金の支払いもされず、そうなると板金修理もすすめられない。

もちろん事故の当事者にとっても、事故処理に煩わされる時間が長くなり不利益が生じ、修理を受けつけた工場も代車を長く貸し出さなければならなくなり、自己調査が長引くことで保険会社の調査コストも膨れ上がる。

この「事故の事実がはっきりしない」ことによって不利益を被る人はいても、利益になる人はいないのだ。岩貞さんの紹介した事例ではさんざん長引いて、裁判に持ち込まれたのち、車両に搭載された、いわば自動車版のフライトレコーダーということもできるEDR(イベントデータレコーダー)データを解析することで、たちまち事実がクリアになって解決できたという。

「人間の記憶というのは本当にあいまいなものですね。でも自動運転以前に、最近では自動車においてもレンタカーやカーシェアリングといった、不特定の人が一台のクルマを利用するケースがさらに増えています。そういう意味でも、いつどこでだれがこのクルマを運転していたかを客観的に把握できる技術の重要性はますます高まっていると思います」と指摘する。

このEDRデータを読み出し、短時間でレポートすることを可能にするボッシュのCDR(クラッシュデータリトリーバル)。すでに北米では導入も進んでいるが、国内でもあいおいニッセイ同和損保が2017年10月から導入し、保険調査に活かしている。2018年9月までの実績で194件の事故調査で活用されたのだという。

調査時間の短縮、調査の精度の向上に役立つCDRを活用し、ボッシュは車両の事故記録を確認し、保険会社と連携することで、ドライバーへのより正確で効率的な事故解決を目指し、対修理工場へは新しいビジネスモデルの提唱をしていくという。

会場にいたあいおいニッセイ同和損保の事故調査担当者は「こういう技術のおかげでスピードアップと高い精度が可能になりますし、当然調査コストの圧縮にもつながります。個人情報の部分もあり、法整備もより実態に合ったものにしていくことが望まれます。今後はこうした方法は不可欠ではないでしょうか。」と話す。

ボッシュの担当者によれば「今後はますます重要性の増すCDRですが、単なるデータ読み出しツールではありません。正しく使い、正確にそのデータを評価できなければなりません。そのためボッシュでは2017年3月からCDRアナリストトレーニングをスタートさせ、あいおいニッセイ同和損保はじめ、自動車メーカー各社、司法機関、研究機関、でCDRが採用されています」と話す。

2020年にはレベル3の車両が走り始めるとされる自動運転技術だが、そのためには手を放すわけにはいかない技術。それがCDRではないだろうか。

《中込健太郎》

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