BMWの幻のコンセプトカー、約50年ぶりに再現…初代 5シリーズ に影響与えた『ガルミッシュ』

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2019に展示されたBMWガルミッシュ
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2019に展示されたBMWガルミッシュ全 26 枚

BMWグループは、1970年に1台のみが製造され、その後行方不明となっているコンセプトカー、『ガルミッシュ』(BMW Garmisch)をおよそ50年ぶりに再現し、イタリアのコモ湖で開催される「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2019」(5月24~26日)で公開した。

プロジェクトはイタリアで最も影響力のある自動車デザイナーの一人、マルチェロ・ガンディーニに敬意を払うのが目的

今回のプロジェクトは、イタリアで最も影響力のある自動車デザイナーの一人、マルチェロ・ガンディーニに敬意を払うのが目的だ。ガンディーニは1938年に生まれた。イタリア・トリノのベルトーネのデザインスタジオに、デザインディレクターとして14年間勤務した。

彼はベルトーネ在籍時代に、最も大胆で革命的な自動車のいくつかを作り出した。ランチア『ストラトスゼロ』、アルファロメオ『カラボ』、ランボルギーニ『ミウラ』などを手がけた。BMWガルミッシュもその1台だ。なお、ベルトーネは1972年に発表された初代『5シリーズ』のデザインにも携わっており、ガルミッシュは初代5シリーズのデザインに影響を与えたとされる。

BMWガルミッシュは1970年春にジュネーブモーターショーで発表。その後、行方不明に

BMWガルミッシュは1970年春、スイスで開催されたジュネーブモーターショーで発表された。しかしそのデビューの後、ガルミッシュは姿を消し、現在まで発見されていない。BMWグループは今回、この幻ともいえるコンセプトカー、ガルミッシュを、再びワンオフモデルとして作り出した。

車名のガルミッシュとは、ドイツ・バイエルン州南部のオーストリアとの国境近く、ツークシュピッツェ山の麓に位置する都市の名前に由来している。ガンディーニによると、当時、イタリアではスキーの人気が非常に高く、ウィンタースポーツとスキーリゾートの優雅さを連想させるガルミッシュという名前を選んだという。

ガルミッシュはクリーンかつシンプルなデザイン言語や、正確なラインと幾何学的デザインの導入により、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、ベルトーネ、イタルデザイン、ピニンファリーナなどのイタリアのスタジオによって開発された急進的な新スタイルの原型だ。現在でも、自動車デザイナーにとって重要な基準点になるという。

大胆なキドニーグリルをはじめ、新しいデザイン要素を導入

BMWガルミッシュのデザインの特長は数多い。BMWの個性のキドニーグリルは、市販車の形状とは異なる独特のデザイン。ヘッドライとは、正方形のガラスで覆われていた。Cピラーには、スポーツカーのようなルーバーが備わり、リアウィンドウにはハニカムパターンのメッシュカバーが装着されていた。

ガルミッシュのインタリアは、凝ったデザインだ。センターコンソールには縦型ラジオが採用された。助手席の前方には、化粧直しなどに使える折りたたみ式ミラーと収納ボックスも装備されていた。色と素材も、華やかな組み合わせとした。

なお、BMWガルミッシュの資料は少なく、BMWグループのデザイン部門とBMWクラシック部門のチームは、車の外観と内装の細部を、写真などから入念に検証した。およそ50年ぶりに車両と対面したガンディーニは、「1970年当時のガルミッシュと、この車を区別するのは難しい」と語っている。

《森脇稔》

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