日本自動車会議所は5月28日、都内で2019年度の定時総会と懇親会を開いた。懇親会で挨拶した内山田竹志会長(トヨタ自動車会長)は、協議が本格化してきた日米の通商交渉について、日本の自動車メーカーの過度な米国生産シフトへの警戒感を表明した。
内山田会長は、日米の自動車産業関係について「安倍首相が指摘されているように、米国の経済に最も貢献しているのは日本の自動車産業だと思う」と指摘。今後の交渉で、日本メーカーの一層の米国投資が強いられる状況となった場合「むやみに生産が米国にシフトすれば、(部品産業などによる)膨大な日本のサプライチェーンが立ち行かなくなる」と述べ、自動車の国内生産の減少は日本経済に深刻な打撃を与えるとの見方を強調した。
日米交渉については、来賓で挨拶した茂木経済財政・再生相が「ライトハイザー(米通商代表部)代表との協議はいいスタートができたと思っている。日米にいい結果をもたらすよう全力で取り組みたい」と述べたものの、自動車分野の見通しについて具体的な言及は控えた。
一方、自動車会議所の重点政策の柱である自動車税制については、今年10月から消費税率が10%に引き上げられるのに伴い、同月から購入される新車の自動車税が恒久的に減税されることになっている。内山田会長は、この減税を評価したうえで「しかしながら減税後も(日本の自動車関係税は)世界では高いレベルにある。引き続き自動車税制の軽減と簡素化に取り組んで参りたい」とし、一層の負担軽減が必要との考えを示した。
日本自動車会議所 懇親会また、内山田会長は今年度の取り組みについて「秋には東京モーターショーが開催される。来年の東京オリンピック、パラリンピックと一体となって盛り上げるよう活動したい」と話した。自動車会議所は、自動車や部品メーカーなどの製造部門から販売、運輸サービスに至るまでの自動車関係業界で組織化しており、自動車を取り巻く税制、環境、安全を柱に活動を進めている。