キットピークは12月11日、4ストロークエンジンと変速機の構造・駆動力伝達をリアルタイムに可視化するエンジン・トランスミッション シミュレータアプリ「Trans4motor R(トランスフォーモーター アール)」の配信を開始した。
「Trans4motor R」は、単気筒からV12までのエンジン構造とその変化、ギアを通る駆動力の流れを、iPhone/iPad上で「観て・触って・理解できる」形にまとめたアプリ。内燃機関の鼓動やメカニズムを愛する人に、自分の手で動かしながら仕組みを深く理解できる新しいエンジン体験を提供する。
主な特徴として、エンジンが動いたまま形を変えるシームレス変形機能を搭載。設定を変えるたびに、エンジンは新しい構造へ向かって滑らかに姿を変えていく。直列・V型・水平対向といったレイアウトの違いや、気筒数、点火間隔、変速方式、カム駆動方式の変更まで対応し、変形そのものを見る楽しさに加え、なぜこの形になるのか、というロジックが逆算的に自然と見えてくる。
カワサキGPZ900Rの並列4気筒
シリーズとして初めて、ギアボックス内部の構造と動きを本格的に可視化した。乗用車などに使われる3軸/2軸のシンクロメッシュ式トランスミッションに加え、スポーツバイクやレーシングマシンで採用されるドグミッションにも対応。クラッチ、シフトフォーク、常時噛合式ギアがどのように連携して駆動力をつなぎ・切り替えているのかを、スローモーションでも確認できる。
さらに、駆動の流れを視覚的に追える「GearVision(ギアビジョン)」モードも搭載。今どのギアが駆動力を受け取り、どの経路を通って次のシャフトへ伝達されているのかを色分けしてハイライト表示する。これまで本や動画ではつかみにくかった変速の仕組みが、自由な視点で動きを見ることで自然と理解できるようになる。
エンジンのキャラクターを決めるさまざまなパラメータを詳細に編集できる。気筒数、ボア・ストローク、Vバンク角・搭載角度、カム駆動方式(ベルト/チェーン/ギア)、バルブ機構(SOHC/DOHC/OHV/VTEC/デスモドロミック)、ギア歯数またはギア比、点火間隔・点火順序、バルブ径・挟み角、タイヤスペック(ホイール径、幅、アスペクト比)、マフラー音色などを設定可能だ。
ホンダRC211VのV型5気筒単気筒スポーツ、V型5気筒、最新スーパースポーツのV4、アメリカンV8など、憧れのエンジンの再現や、理想のスペックを作り込むこともできる。また、エンジン回転数だけでなく、トルクカーブ、車重、ギア比、タイヤ外径などを毎フレーム計算し、車速や加速の伸び方をシミュレートする車両物理モデルも搭載。エンジンの性格が駆動系を通じてどう表れるかを体感できる。
エンジン音合成は、サウンドデザインラボ社の協力のもと、単発音・次数音・ランダム音を組み合わせた最新手法によるエンジンサウンドを搭載した。気筒数や点火間隔の違いによる音のキャラクター、アイドリングの揺らぎ、吹け上がりの迫力などを自然な形で再現している。アプリ内課金ではなく標準搭載のため、購入後すぐにエンジン音と合わせて楽しめる。
専用のエンジン共有サイト「Engines(エンジンズ)」も用意された。アプリ内で作成したエンジンは、世界中のユーザーと共有できる。自作エンジンのアップロード/ダウンロードに加え、いいねによる評価や、今後のコンテスト開催も予定している。エンジンの設定そのものを作品として楽しみ、ユーザー同士で工夫や発見を共有できるコミュニティを目指す。
4ストロークサイクル、点火順序、シンクロメッシュ機構など、エンジンと変速機の基本を立体的に学べる「TechTour(テックツアー)」モードを搭載した。エンジンモデルを実際に動かしながら、なぜこの順序で動くのか、なぜこの構造になっているのか、を理解できるよう設計されている。
価格はアプリ本体1500円(税込)。販売形態はダウンロード販売(Apple App Store)だ。




