京都・大阪の市街地は地下化…北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設概要が具体化

全線開業へ向けて未着工区間は敦賀~新大阪間のみとなった北陸新幹線。いよいよ着工へ向けての環境影響評価の手続きが始まる。写真はJR西日本のW7系新幹線車両。
全線開業へ向けて未着工区間は敦賀~新大阪間のみとなった北陸新幹線。いよいよ着工へ向けての環境影響評価の手続きが始まる。写真はJR西日本のW7系新幹線車両。全 2 枚

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は5月31日、北陸新幹線敦賀~新大阪間の「計画段階環境配慮書」を公表した。

同区間は、米原駅を通る「米原ルート」、福井県小浜市付近や京都市付近を通る「小浜・京都ルート」など5ルートが検討されてきたが、与党・自民党の「整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」(与党PT)は2016年12月、敦賀~京都間を「小浜・京都ルート」に、2017年3月には京都~新大阪間を京都市南部を通る「南回りルート」に決定した。

採用されたルートについては今後、環境影響評価の手続きに入ることになるが、「計画段階環境配慮書」はルートや規模などの検討段階において環境保全などの検討結果をまとめた書類で、環境影響評価法(環境アセスメント法)に基づき作成が義務づけられている、いわば手続きの叩き台となるもの。

今回公表された内容によると、敦賀~新大阪間では、途中、小浜市(東小浜)付近、京都駅、京田辺市(松井山手)付近に駅を設置。線形は高速走行を考慮して可能な限り直線とし、最小曲線半径4000m、最急勾配15パーミルを基本としている。

「計画段階環境配慮書」に記載された事業実施想定区域。詳細な建設ルートは未定だが、自然公園や住宅密集地などを回避するために、全体の8割がトンネルや地下区間になるという。「計画段階環境配慮書」に記載された事業実施想定区域。詳細な建設ルートは未定だが、自然公園や住宅密集地などを回避するために、全体の8割がトンネルや地下区間になるという。

このうち、活断層や脆弱な地盤がある箇所、主要な河川や湖沼・ダム湖は回避し、通過を余儀なくされる場合は可能な限り短区間に留めるほか、自然公園の区域(三方五湖や若狭湾国定公園)を通過する区間はトンネル構造とし、「芦生の森」を除く京都丹波高原国定公園や金剛生駒紀泉国定公園などの通過については、景観や環境保全について詳細な検討を行なう。

市街地や住宅地が続いている地域も可能な限り回避するとしており、京都市とその周辺地域(京都市中心市街地や伏見酒造エリア)や、大阪市とその周辺地域はそれぞれ地下化する検討を行ない、必要に応じて、道路など公共用地の地下を通過する「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」の活用も検討。地下化する京都市市街地については、地下水への影響などを詳細に検討する。

今後は計画段階環境配慮書に対する意見書提出を受け付け、環境影響評価方法書の手続きや現況の調査・予測・評価を実施。その後、環境影響評価準備書と環境影響評価書の手続きを経て着工される運びとなる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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