三井化学 淡輪社長「軽量化だけでなく、CASEなど新たな流れにも適応する技術や材料を提供する」

三井化学の淡輪敏社長
三井化学の淡輪敏社長全 2 枚

三井化学は5月31日、東京・汐留にある本社で経営概況説明会を開催した。その中で淡輪敏社長が強調したのは「新たな顧客価値の創造し、事業活動を通じて社会課題を解決する」ということだ。

事業をモビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング(F&P)、次世代、基盤素材の5つに分け、特にモビリティ、ヘルスケア、F&Pについては成長3領域と位置づけて拡張・成長を目指すという。そのために、投資案件を拡充すると同時に周辺事業への進出を図る。3年間でこの領域に4300億円を投資する計画だ。

なかでも同社が力を入れていこうとしているのが、2019年度1050億円の営業利益のうち40%超を見込むモビリティだ。「能力増強によって、地産地消によるグローバル化を加速させる」(淡輪社長)という。

例えばクルマの軽量化でニーズが拡大している長繊維ガラス強化PPについては、19年9月に日本、10月に米国、20年9月に中国で能力増強し、世界3極体制を確立する。また、PPコンパウンドについても、20年6月にタイ拠点を増強するのをはじめ、世界8極で需要に応じた増強を継続していく方針だ。

そのほか、新潟県にデザイン&ソリューションセンターを19年3月に開設し、試作品などを通して自動車メーカーや部品メーカーに新たな価値を提案していく。説明会場の後方には、そんな製品が並んでいた。

なかでも目立っていたのがコンセプトカー「hour’s POD」だ。18年1月に買収した自動車開発支援会社アークとのコラボレーションで実現したもので、三井化学が期待を寄せる炭素繊維複合材料UDテープがふんだんに使われている。薄いテープ状で、部品に貼り付けたり、巻きつけたりして、熱を加えるだけで強固な製品になるという。同社はこれを軽量化に最適なものとして、素材、CAE、加工技術を組み合わせたソリューションで自動車メーカーなどに売り込んでいく。

「CASEの流れが大きくなっても、軽量化のニーズはずっと変わらないと思う。そこについては、うちは着実に捕まえていく。その先については、カメラやセンサーがクルマ1台あたりに相当搭載されるのは間違いないので、それに対応したレンズを提供していきたい。そのほか、センサー機能を持たせた座席とか、いろいろなアイデアがあるので、そういうことをきっちり提案することによって、新たな流れにも適応する技術や材料を提供していければと考えている」と淡輪社長は話す。

三井化学はこのようなモビリティ事業を展開していき、19年度445億円から25年度700億円の営業利益を目指す。その時の会社全体の営業利益は2000億円、営業利益率は10%だ。

《山田清志》

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