【ボルボ XC90ディーゼル 新型試乗】理想の「最上級実用車」になった…島崎七生人

「D5」ディーゼルを初搭載

身軽な出足に驚かされる

理想の実用車といえる1台

ボルボXC90 D5 AWD Inscription
ボルボXC90 D5 AWD Inscription全 10 枚

「D5」ディーゼルを初搭載

この原稿執筆時点で、40、60、90のボルボ車3シリーズ中、Drive-eディーゼルエンジン搭載車は全7モデル。うちAWDとの組み合わせはこれまで『V90クロスカントリー』と『XC60』の2モデルだったが、今回『XC90』にも登場し3モデルに。

また90シリーズは『V90』を含め3モデルのすべてにディーゼルが揃ったことになる。

ただしこれまではすべて“D4”だったのに対し、今回はより性能が高い“D5”として登場、初搭載となった点がトピックだ。諸元表上のエンジン型式自体はD4204Tと大きくは共通で、4気筒、ボア×ストローク=82.0×93.2mmも変わらないものの、スペックはD4の190ps/40.8kgmに対し、D5は235ps/48.9kgmと大幅に高められている。

組み合わせられるトランスミッションは8速ATで、このギヤ比(前後最終減速比)は『XC90』のガソリンエンジン車(T5、T6)とは共通だ。

身軽な出足に驚かされる

ボルボXC90 D5 AWD InscriptionボルボXC90 D5 AWD Inscription
ところでD5では“パワーパルス”なる新機軸の採用が注目される。これはゼロ発進または30km/hまでの急発進時にターボラグを減少させ、トルクの立ち上がりをより素早くする目的の機構。平たく言えば“ターボのターボ”といったところで、一時的にタービンハウジングに圧縮空気を送り込み、効果を発揮させる仕組みだ。ただし作動については、アクセル開度は36%より大きく、ギヤは1速または2速、エンジン回転は2000rpmより少ない状態など一定条件を満たした際とされ、限定的な働かせ方のよう。

とはいえ実車に接してみると、2130kg(エアサス、サンルーフ付き)の車重さをまったく意識させない、スッと身軽な出足に驚かされ、そのままの加速への繋がりもまったくスムースなもの。試乗は1名乗車だが、乗車人数が多い場合(定員は7名だ)でも、モタつくことなく、あるいはアクセルのオン/オフも不必要に行なうことなく走らせられそうだ。もちろん現代のディーゼルらしく回転の伸びはスムースなもので、走行中の室内騒音もまったく気にならない。

理想の実用車といえる1台

ボルボXC90 D5 AWD InscriptionボルボXC90 D5 AWD Inscription
“XC90のエアサス仕様”ということでも、導入時の記憶に対し乗り味に磨きがかかった印象で、スピード、路面状況を問わず、快適なドライブが楽しめた。

写真の試乗車は“オスミウムグレーメタリック”のボディ色に、アンバー色のシート、チャコールのインテリア、ルーフライニングというコーディネーションだった。ボルボというと、より明るい内装色のイメージもある一方で、こうした落ち着いた雰囲気もまた気軽に使いこなせる気がする。

いずれにしろXC系では最上級の装備とゆとりの室内空間、さらに経済性と頼もしい走りを両立させたクリーンディーゼル……と、理想の実用車といえる1台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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