【スーパーフォーミュラ 第3戦】山本尚貴が速さ見せつける王道勝利…移籍初V達成で連続王座に向け加速

山本尚貴(中央)が第3戦SUGOを制した。2位は可夢偉(左)、3位にアウアー(右)。山本の後ろは村岡監督。
山本尚貴(中央)が第3戦SUGOを制した。2位は可夢偉(左)、3位にアウアー(右)。山本の後ろは村岡監督。全 10 枚

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3戦の決勝レースが23日、宮城県のスポーツランドSUGOで行なわれ、前年チャンピオンの山本尚貴が速さを見せつける内容でポール・トゥ・ウインを飾った。

天候については「微妙」としか表現しようのない状況が続いた今週末のSUGO。それでも日曜午後2時20分のフォーメーションラップスタートから始まったSF決勝レースの時間帯に関しては、曇り~晴れで落ち着くこととなった(路面はドライ)。

68周、約250kmの決勝レースではレインタイヤ登場とならない限り、ミディアムとソフトの2種類があるドライ用タイヤの両スペックを使用する義務が生じる。スタート時のタイヤ選択はミディアムが全体の約3分の2を占めた。セーフティカー(SC)導入が多いコースであることや、燃費、タイヤのもち等の諸要素を勘案した場合、早い時期にミディアムからソフトへと交換する戦略を企図した陣営が多かったようだ(温度条件的にソフトでもレース距離をほぼカバーできる)。

しかしポール発進の#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)は、少数派となるソフト選択でスタート。タイミングのわるいところでSC導入となるようなアクシデントがあると不利を被る可能性も懸念されたが、陣営は速さを見せつける王道スタイルでの勝利を目指した。

レース序盤~中盤は比較的穏やかな流れ。早い段階で13台がピットストップし、残りの7台が1~7番手、既にピットした13台が8番手以降という“2グループ”編成で全20台がソフトタイヤで走行、という局面もレース中盤にはあった。そのなかで#1 山本は、スタート好発から先頭を走り続ける。

終盤になって2度のSC導入があったが、#1 山本のレースに大きな影響を与えるものではなかった。2番手との間に周回遅れのマシンを挟んでリスタートを迎えられたのは、#1 山本がスピードの面で絶対的なアドバンテージを築き、レースを支配的に進めてきたからこそだろう。王道の勝ち方と呼ぶに相応しい内容で、ディフェンディングチャンピオンはポール・トゥ・ウインへと駆け抜けていった。

#1 山本尚貴のコメント
「移籍して初めての優勝をポール・トゥ・ウインで飾れて嬉しく思います。素晴らしいクルマを用意してくれたチームに感謝です。もちろん(レースに向けては)いろいろな状況を想定して戦略を考えましたが、『ポール発進なので、スタート決めて逃げ切るレースをしよう』ということにしました。SCにもほとんど影響されることなく、勝つことができました」

レース後は、DOCOMOダンディライアン陣営の村岡潔監督や杉崎公俊エンジニアも、王者とともにまさしく王道の勝ち方をしたことに充実感を滲ませていた。#1 山本はチームを移籍してタイトル連覇を目指している今季、これで開幕から2位、2位、優勝。前戦終了時点で首位に立っていたドライバーズポイント争いにおけるリードをポール・トゥ・ウイン1回分の11点へと拡大している。2年連続3度目の王座へ、内容面でも視界良好な前半戦といえそうだ。

今回の決勝2位は#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)。彼にとっては前週のルマン24時間レースに続く2位となったわけが、ルマン同様、SFでも初優勝は以前から何度となくあと少しまで迫っていた目標である。今季SFに関しては開幕から2戦連続無得点レースとなっていた#18 可夢偉だが、今回はナイスオーバーテイクも披露しての好結果、再び初優勝に迫っていくムードが出てきたようであり、次戦以降が楽しみだ。

3位は今季新人のオーストリア国籍ドライバー、#50 L.アウアー(B-Max Racing with motopark/ホンダ)。最終盤に#18 可夢偉に抜かれて2位を失いはしたが、SF初表彰台を獲得している。レッドブルカラーのマシンで走る彼は、日本にも馴染み深いかつての大物F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガーの甥だ。ドイツのDTM参戦というトップカテゴリー実績が既にあるアウアーとはいえ、3戦目でのこの成績は立派。やはり今後が楽しみな存在である。

決勝4位~8位の入賞者は以下の通り。

4位 #37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)
5位 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)
6位 #3 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)
7位 #38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)
8位 #4 国本雄資(KONDO RACING/トヨタ)

シリーズタイトル争いでは、開幕戦の優勝者で今回4位の#37 キャシディが11点差で#1 山本を追っている。第2戦優勝の#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)は今回10位。ルマン優勝&WEC王座獲得からの凱旋レースだった#36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)は12位。予選2位の#16 野尻智紀(TEAM MUGEN/ホンダ)は終盤に前走車を抜きにいった際のスピン~ストップでリタイアとなっている。

全7戦のシリーズ折り返し点にあたる次戦第4戦は静岡県の富士スピードウェイが舞台、開催日程は今回から中2週を挟んだ7月13~14日となる。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る