線路上を実験場にした「空の道」…異なる衛星でドローンの飛行精度を比較

準天頂衛星システム 初号機「みちびき」(参考画像)
準天頂衛星システム 初号機「みちびき」(参考画像)全 4 枚

JR九州、ゼンリン、イームズロボティクスの3者は、豊肥本線の線路上で測位衛星を活用したドローンの飛行実験を行なったことを6月28日に明らかにした。

これは、2016年4月に閣議決定された「宇宙基本計画」などに基づき、内閣府が行なった測位衛星の実証実験の公募に応じて実施したもの。内閣府は2011年9月に閣議決定された「実用準天頂衛星システム事業の推進の基本的な考え方」で、2018年11月に初号機が運用を開始した宇宙衛星『みちびき』の成果を活用し、その開発・整備・運用を行なうとされている。

『みちびき』は、特定の地域に滞在して測位信号を発信する「準天頂衛星」と呼ばれるもので、これまで赤道上からGPS信号を発信する静止衛星と比べて、自国の真上から信号を受信しやすくなるメリットがある。

3者の実証実験は豊肥本線立野駅(熊本県南阿蘇村)周辺の線路で実施され、ドローンに『みちびき』からの信号とGPS信号を切り換えて受信できる装置を搭載。線路上に設定した飛行ルートをどちらが正確に飛行可能かどうかが検証された。

実験では、高精度3次元地図データと「ログ」と呼ばれる飛行軌跡を示すデータを照合し、合わせて、地上からもドローンの飛行位置を測量した。

その結果、『みちびき』で得られたログとGPSで得られたログに誤差や安定性の差はほとんどなかったものの、地上からの測量結果や、地上またはドローンからの飛行位置計測の結果では、『みちびき』のほうが0.6mほど最大誤差が小さく、より正確に安定的に飛行できていたことが確認されたという。

誤差数cmと言われている、測位信号を活用したドローンの飛行では、障害物や機体同士の衝突リスクが高く、より高精度な測位情報が求められていただけに、3者は『みちびき』優位とされた今回の実験結果から「空域の有効活用の可能性を見出すことができました」としており、「空の道」活用に弾みがついたようだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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