VWジャパンの業績は順調に回復、キーはお客様中心、東京モーターショー2019は…VGJティル・シェア社長[インタビュー]

フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)の代表取締役社長のティル・シェア氏
フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)の代表取締役社長のティル・シェア氏全 8 枚

フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)の代表取締役社長のティル・シェア氏は就任3年目を迎え、一部報道陣にこれまでの振り返りと、今後の抱負を語るとともに、記者からの質問に現在の考え等をコメントした。

お客様を中心に

----:社長になって3年目ということですが、一番厳しい時期に社長になられました。その時の気持ちと、この3年間を振り返ってみて、ご自身としてはこの成果をどのように捉えていますか。

ティル・シェア氏(以下敬称略):2016年3月に就任しまし、3つの段階に分けてプランを立て進めてきました。その主なポイントは、お客様に寄り添う、お客様のところに出向いていく、つまりはお客様を中心に考えるということ。これがとても重要なのです。そこで顧客満足度や、お客様を理解するという点を強調して進めてきました。

そして我々にとって重要な役割は、そういったことを踏まえ、この日本という市場を十分に熟知し、理解して、その情報をドイツ本社に届けることです。そうすることによって日本で必要とされる製品やサービスが届けられるようにしていくことなのです。

2016年からの数字は、販売台数、シェアともに3年間で伸ばしてきました。同時に重要なのはブランドイメージや、ディーラー満足度、顧客満足度も向上しているということなのです。例えば販売台数の数値やマーケットシェアの数字は分析の仕方によって、様々な見方ができると思います。但し我々のブランドや製品が市場からどのように見られているのか。これは様々な見方ができるものではなく、一つの回答しかありません。

つまりはお客様との関係性が重要ということなのです。そして、お客様と良い関係が構築できるのは素晴らしいディーラーの方々を通じて、また彼らがお客様と接してくれるからこそ、そういった関係が構築できるということなのです。

今後も今まで通り我々はチーム一丸となってさらなる改善に努めていきます。そしてお客様や市場が求めているものを正しい形で届けていきたいと思っています。ティグアンTDIティグアンTDI

販売台数は前年並みを維持しつつ

----: 3年連続で販売台数は回復をし続けてきています。そこで2019年は昨年並み、あるいはさらにそれを大きく超えていく見込みはありますか。

シェア:我々はお客様の満足度を高めるために過去3年間取り組んできました。その戦略や活動を通じて、販売台数にも良い効果が出ています。

我々がそこで本当に注力をしているのはお客様を中心に置くということです。我々が行う活動はお客様のためであること。そして、お客様をケアするための活動なのです。その結果、我々の販売台数増加に繋がり、成果が見えているといえるでしょう。

そこで、2019年を例にすると昨年と同じ販売台数の水準はキープしたいと思っています。但しこれは、今年の製品導入の状況次第です。昨年は新型『ポロ』や『ティグアンTDI』などを導入しました。製品の導入時期によってセールスは変動してしまうのです。今年の後半はTDIラインナップ拡充や『T-Cross』の導入を予定していますので、そういった新しい製品の導入が2019年の目標達成に向けて支えてくれると思っています。

現在の状況は、受注台数はかなり良い形で進捗しています。2、3例を挙げましょう。『ティグアン』は大変市場から好評を得ており、よりアッパーエンドの『アルテオン』や他のモデルも、導入以来高い評価を得ています。『Theビートル』の生産は近い将来打ち切りになりますが、こちらの販売状況も良く、それ以外にもポロや『ゴルフ』も好調です。但し、世界各国で需要が堅調なので、供給が間に合わないという状況も発生しています。

そういったことを踏まえながらも、基本的には2019年の目標は2018年の水準を維持しつつ、新しいクルマが成功裏に導入されればさらに伸びるかもしれないと考えています。VW ゴルフ 新型(ゴルフ8)スクープ写真 VW ゴルフ 新型(ゴルフ8)スクープ写真 

ゴルフは2020年下期

----:その新型車となるゴルフについて教えてください、おおよそいつごろ投入される予定でしょうか、また、そこにマイルドハイブリッドはラインナップに含まれるのでしょうか。

シェア:新型ゴルフは早くても2020年下期になるでしょう。ドライブトレインやエンジンの最終的なセットアップを行っている状況で、いずれのモデルも日本に導入できるオプションとなっていますから、マイルドハイブリッドに関しても選択肢に含まれています。フォルクスワーゲン ID.3 のプロトタイプフォルクスワーゲン ID.3 のプロトタイプ

----:日本においても2022年からのe-Mobility攻勢と仕掛けるという戦略をお持ちです。そこで、日本での電気自動車の普及の展望を教えてください。

シェア:ドイツ本国においても戦略としてe-Mobilityの方向に進んでいくのは明確です。現在『ID.3』を本国で発表しとても良い反応をいただいていますし、2万台以上の事前予約をもらっています。

このID.3を日本には2022年以降に導入していく予定です。こういったEVに関しては1車種ではなく複数車種を導入していきます。また、日本の皆さんから電気自動車を発売してくれないかというリクエストをたくさんもらっていますので、今後日本ではハイブリッドやPHEV、BEVだけではなく完全な電気自動車の投入も予定しています。

従って我々のパートナーであるディーラーにもしっかりと準備をしてもらう必要があります。そういった準備をしっかり整えて2022年以降には最初のEVモデルを日本に導入したいと考えています。

----:そのディーラーへの準備ですが、具体的にはどのようなことを考えているのでしょう。

シェア:ディーラーネットワークは我々にとってはとても重要です。現在日本でのフォルクスワーゲンブランドの店舗は253あります。ディーラー各社とは直接対話ができる密な関係です。従ってディーラー各社とは様々なトピックについて直接話をしています。

当然今後のe-Mobilityの導入に向けてやるべきことは全てディーラーと密な連携を取りながら準備を進めています。インフラでは、充電ステーションが近くになくてはなりませんし、豊橋のアカデミーにおいてもテクニカル、ノンテクニカルも含めてディーラー向けのトレーニングを実施していく必要があります。また、コネクテッドに関する新しい活動も今後開始します。そういったコネクテッド関連の製品を売っていくためにも、環境を整えていく必要がまずあるということなのです。パサートGTEパサートGTE

こういったことを全体として進めていくためにはまずは時間がかかりますので、今後数年間にわたるかなりしっかりとしたスケジュールを現在組んでいるところです。現在はディーラー各社とどういった要件があるのか、何が必要なのかについて議論を重ねている段階で、そのプロセスを経て共通認識を得ていきたいと思っています。

但し最初のクルマを2022年以降に導入する予定ですから、それまでにはきちんとした準備が整っていることは必須です。また現在『e-ゴルフ』が導入済みですし、プラグインハイブリッドの『パサートGTE』も導入しています。そういった車両通じてお客様からも情報は既に収集できています。お客様からの声というのは我々だけでなく、ディーラー各社にとっても大変貴重な情報なのです。東京モーターショー2017東京モーターショー2017

東京モーターショー2019は出展見合わせの方向

----:今年は東京モーターショーが開催されますが、そこへの出展計画はありますか。

シェア:出展するか否かはどういった商品をその場で紹介できるかということにもよります。前回の東京モーターショーの際にはパサートディーゼルを発表しましたし、初のお披露目として『ID.バス』、新型ポロ、アルテオンなどの新型商品を紹介し、お客様のニーズに応えられるような商品を発表できたと思っています。

今年に関しては東京モーターショーのタイミングで発表できる新製品がまだないのが現状ですので、今の時点ではまだ出展の予定はしていません。但しこれはまだ最終決定ではないので今後決めていくことになるでしょう。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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