【ルノー トゥインゴ 450km試乗】真っ直ぐ走るだけでもファントゥドライブ

ルノー・トゥインゴ インテンス キャンバストップ
ルノー・トゥインゴ インテンス キャンバストップ全 21 枚写真をすべて見る

ルノーのノーマル『トゥインゴ』で450km

フランスの自動車メーカー、ルノーのAセグメントミニカー『トゥインゴ』で450kmほどショートツーリングを行う機会があったので、インプレッションをお届けする。

トゥインゴの初代モデルがデビューしたのは1992年。現行トゥインゴは3代目で、2014年に欧州デビューを果たした。日本デビューは遅れること2年の2016年だったが、早くもそれから3年が経とうとしている。3代目の特徴はリアエンジンリアドライブというパッケージング。後席後方のエンジンルームは小さなサイズのパワーユニットしか乗せることはできないが、前輪の舵角を大きく取ることができるため小回り性能を高められるというメリットがある。

筆者は昨年、109ps(80kW)エンジンとルノースポールセッティングのシャシーを持つ「トゥインゴGT」のMTモデルで3000kmツーリングを敢行しているが、このツーリングの試乗車は90ps(66kW)エンジンを積む標準ラインの上位グレード「インテンス」。ルーフは電動開閉式のキャンバストップであった。ドライブルートは東京都内の市街地走行および起点とした奥日光周遊で、道路比率は市街地3、郊外路3、高速2、山岳路2。1~2名乗車、エアコンAUTO。

では、トゥインゴの長所と短所を5つずつ列記してみよう。

■長所
1 驚異的な小回り性能がかもす超のつく自由自在感。
2 GTよりフラット感の高い乗り心地。
3 真っ直ぐ走るだけでもファントゥドライブなフィール。
4 スマホと簡単にハンズフリー連携可能なオーディオを搭載。
5 キャンバストップを開けて走るとチョー気持ちいい。

■短所
1 リアシートは日本の軽自動車セダンより狭い。荷室も極小。
2 ワインディングでの敏捷性はGTに相当劣る。
3 要求オクタン価が95RONのため日本ではプレミアムガソリン仕様に。
4 センスでカバーされているが、内装素材の質感自体は低い。
5 運転支援システムをまったく欠いていること。

ドライブをファンにさせるという点では「GT」に劣らず

フロントマスク。とてもチャーミングだが、欧州では大がかりなフェイスリフトがあり、可愛さが激減した。このデザインが欲しいなら今がラストチャンスかもしれない。
昨年、筆者はルノースポールがシャシーチューンを手がけたスポーティグレード「トゥインゴGT」で3000kmツーリングを試した。どれだけ走ってもファンそのもので、しかも疲れ知らずという素晴らしいミニカーで、昨年一度に400km以上乗った内外大小21車種の中ではダイハツ『ミラトコット』と並んで最も印象深いモデルとなった。

あらためてこのノーマルトゥインゴに乗ってみると、ドライブをファンにさせるという点ではそのGTにまったく引けをとっていない。軽快無比な鼻先の動き、速くはなくとも伸びやかさを感じさせる加速、そしてトゥインゴの最大の独自性である軽トラックを彷彿とさせるような驚異的小回り性能などが丸ごと、GTと同じなのだ。

まず、最高出力90psの0.9リットル直列3気筒ターボエンジン+6速DCT(デュアルクラッチ式自動変速機)の加速感が楽しい。もちろんたかが90psにすぎないので、絶対的な加速タイムが優れているわけではない。が、電子制御スロットルとDCTの協調制御がなかなか巧みで、2速、3速、4速とギア段が上がっていっても真っ直ぐ加速していくようなフィールだ。山岳路の登り急勾配区間では絶対的パワーの小ささを実感するが、平地においては伸び感が期待値を上回るような感じで気持ちよい。いかにも最高速度130km/hの国のクルマらしいチューニングだった。

燃費は絶対値としては悪くないが、とくに日本の速度レンジだとCVT装備の国産ABセグメントに負け気味であった。燃費計測区間は市街地、高速、山岳路などの混合ルートをッ走った368.7kmで、給油量は19.66リットル。リザルトは18.7km/リットル。欧州車は現地ではレギュラー仕様でも、オクタン価の低い日本に持ってくると自動的にハイオク仕様になってしまう。トゥインゴもご多分にもれず車格に見合わぬハイオク仕様で、お財布への打撃は普通のクルマに比べてちょっぴり大きめであった。

意外や直進感重視、山岳路は苦手?

ルノー・トゥインゴ インテンス キャンバストップ。キャンバストップの開口部は結構大きかった。
シャシーチューニングは徹底した直進感重視。GTが曲がり重視だったのとは対照的で、ハイウェイやバイパスクルーズにおける据わりの良さはGTより上のように感じられた。前タイヤが165mm幅と幅狭なことが功を奏していたのかもしれない。もっとも、ハンドル操作が楽しくないというわけではない。前述のようにリアエンジンレイアウトで前が軽いため、ステアリングをちょっと切ったときのヨー(鼻先の横方向の動き)の発生は機敏で、重々しさをまるで感じない。ちょっとしたレーンチェンジでもクイックイッと、実に小気味良かった。

山岳路はノーマルトゥインゴの苦手分野で、敏捷性だけを取れば日本車のAセグメント相手でも後れを取るかもしれない。車両安定装置の介入タイミングが早く、復帰は遅い。絶対にスピンをさせないということを第一義にしたセッティングなのであろう。が、ドライブフィール自体はリズミカルで、爽快に駆け抜ける程度のスピードであれば山岳路走行も十分に楽しい。

装備面でドライブを爽快に感じさせたのは、何と言ってもキャンバストップだった。開放感でオープントップに遠く及ばず、といってグラストップと異なり悪天候時には使えないキャンバストップは中途半端と捉えられているのか、マイナーな存在になっている。が、久しぶりに乗ってみると、これが実に楽しい。直射日光を浴びるのは、熱線吸収ガラス越しに光を浴びるのとは感覚が全然違う。昭和時代のフォード『フェスティバキャンバストップ』の思い出が甦ってくるようだ。ドライブを行ったのは厳寒期であったが、外気温が零下でもずっと開けて走っていたくらいであった。

今どきのヨーロッパらしさを体感するスマホ連携

コクピット。ナビゲーションはスマホを用いた。
装備類で面白かったのは、スマホとハンズフリーリンクができるオーディオ。スマホのホルダーも標準装備されていた。試乗車はカーナビが未装備だったので、このときはスマホナビを表示させながらドライブしていたのだが、筆者的にはハッキリ言って、スマホで十分である。専用機ほどには精密なルート案内をしてくれるわけではなく、時にはデータ不足から立体交差の案内を間違えたりすることもあるが、そんなのは自分の頭で修正すればいいだけのことだ。反対に、専用機が教えてくれなかった思わぬ抜け道を表示してくれたりというプラス要因もある。

このドライブでのデータ通信量は平均で12kmあたり1MBくらいであった。1200km走っても100MBなら、スマホナビをメインで使うのは十分にありだ。実はスマホナビはヨーロッパ市場では最もメジャーなナビである。もともと高いナビを買う風習がないため、プレミアムセグメントでもナビのハンズフリーリンクやミラーリングの装備が充実していたりする。トゥインゴのオーディオはそんな今どきのヨーロッパらしさを体感する隠れポイントと言えそうだった。

日本車にはないデザインの小さいクルマ

フロントシート。座面高と背もたれ角のみ調整可能という至ってシンプルな機能。
トゥインゴ・インテンスは実用性や経済性については日本のAセグメントミニカーや軽セダンに劣るものの、可愛いスタイリング、小気味の良いドライブフィール、そして試乗車の場合キャンバストップ装備によるセミオープンエアフィールなど、魅力的な部分を多々持ったベーシックカーだった。

ちょっとお高くてもいいから日本車とは異なるデザインテイストの小さいクルマを乗り回したいというカスタマーには格好の選択肢となろう。ちなみに運転免許がAT限定でなく、キャンバストップも不要という場合は5速MT、ノンターボ1リットルエンジンの「ゼン」が177万円で売られているので、それを選ぶのも面白かろう。

5ドアボディではあるが、最大のライバルとなりそうなのは3ドアのフィアット『500』。あちらは2007年のデビュー以来、欧州のAセグメント市場で同じフィアットの『パンダ』は別にして、後発の並みいるライバルに影も踏ませなかった名作だが、トゥインゴには欧州でも日本でも500より圧倒的に低価格という武器がある。5ドアモデルとして見た場合、ボディを共有するスマート『フォーフォー』、フォルクスワーゲン『up!』あたりが対抗馬と見なせそうだが、ドイツとフランスのキャラの違いがかなり明瞭なため、直接競合はあまりしないのではないかと思われた。

余談だがこのトゥインゴ、欧州では今年初めに大がかりなマイナーチェンジを受け、フェイスがガラリと変わった。新しいデザインはトゥインゴのアイコンになっていた丸いロードランプがなくなるなど愛嬌が雲散霧消。もし可愛さに心惹かれているのであれば、今が新車購入のラストチャンスかもしれない。

ルノー・トゥインゴ インテンス キャンバストップ

《井元康一郎》

この記事の写真

/

ピックアップ

Swipe

Next
/article/2019/07/07/324178.html/article/2019/07/07/324177.html/article/2019/07/07/324179.html