トヨタ カムリ のコンプリートモデル『TOM’S C35』登場

TOYOTA カムリのコンプリートモデル『TOM’S C35』登場
TOYOTA カムリのコンプリートモデル『TOM’S C35』登場全 25 枚

ROWENブランドとしてスタイリッシュなコンプリートカーを販売するE.Rコーポレーションから、V6エンジンを搭載するトヨタ『カムリ』ベースのコンプリートモデルが登場した。

このコンプリートモデルの製作を担当したのはトヨタ車を使用したレースで数々の輝かしい成績を残しているTOM’S。コンプリートモデルの車名は『TOM’S C35』と名付けられた。ベースはアメリカ仕様の3.5リットル・V6モデルで、フロント&サイドデフューザー、リヤアンダーサイドフィンといったエアロパーツを装着。さらにTOM’Sロゴのカーテシランプ、専用シリアルプレート、C35専用エンブレム、プッシュスタートボタン、専用フロアマット、エキゾーストシステム「トムス・バレル(ステンレステール)」が装備される。

アメリカで絶大な人気を誇るセダンがカムリ

カムリがトヨタのミドルクラスセダンであることは多くの人が知っていることだろう。日本では1カ月に2000台強の販売台数となるカムリだが、アメリカでは年間30万台というとんでもない台数を販売していることはあまり知られていない。2018年にアメリカで30万台を超える台数を記録したセダンはカムリのみ。つまりアメリカで一番売れているセダンがカムリなのだ。日本でのカムリは2.5リットル直列4気筒+モーターのハイブリッドのみだけだが、前述のようにアメリカでは3.5リットルのV6エンジン車も用意されている。

現行のカムリはプラットフォームだけではく、エンジン、ミッション、サスペンションなどがすべて刷新されたフルTNGAと言われる最初のモデル。全体としての出来あがり、バランスのよさは定評のあるものだ。しかし、我々日本人がその評価を行ったのは2.5リットルハイブリッドのもので、V6はほとんど乗った経験がない(私はお台場のメガウェブでクローズド短距離の試乗は行った)のが現状。果たして、V6エンジンとの相性はどうか? は未知数であった。通常、エンジンが大きくなるとシャシーが負けてしまい、ハンドリングや乗り心地は悪くなることが多いからだ。

上質なフィーリングと静粛性を高次元で両立

そうした心配をよそに、試乗車のTOM’S C35はジェントルなフィーリングを披露してくれた。試乗車はエアロパーツなどの標準装備品に加えて、アルミホイール「TH01」やコンフォートローダウンスプリング、ブレーキパッド「スポーツ」などが装備されていた。まず、その静粛性に驚かされる。もともとカムリは静かなモデルなのだが、V6モデルは直4のハイブリッドにくらべてもかなり静かな印象。もちろんハイブリッドのEVモードには叶わないのだろうが、エンジンが回っている状態ではこちらのほうが静かだと感じる。

301馬力/362Nmのエンジンが生み出す加速感はかなり力強い。ルノー『メガーヌR.S.』の最高出力が279馬力なのだから、300馬力を超えるFF車というのは、けっこうとんでもない代物だというのがわかるだろう。アメリカではいまだに大排気量、高出力は正義だという考えが一定数ある。3.5リットルという排気量はアメリカではさほど大きな排気量ではないが、それでも2.5リットルハイブリッドよりはずっとヒエラルキーが上なのだ。

そしてビックリさせられたのが、乗り心地のよさとハンドリングの素直さだ。試乗車はオプションとなるコンフォートローダウンスプリングが組み込まれていた。このスプリングは前後の車高を25mmダウンするものだが、スプリングレートは約10%ダウン(フロント:2.8kg/mm、リヤ:2.2kg/mm)。ホイールはトムスのTH01に変更されているが、組み合わされるタイヤはなんとアメリカの工場を出荷する際に装着されていたミシュランのオールシーズンタイヤ、タイヤサイズは235/40R19だ。

車高が下がったことで当然、重心も下がっている。コーナリングではこの下がった重心のおかげで安定感がグッとアップしている。とくに高速道路の流入時などの横Gが掛かり続ける際のグリップ感は非常にいい。ホイールがトムス製となったことでのホイール回りの剛性がアップしているのも影響しているようだ。操舵初期のレスポンスも適度なクイックさを持っている。この領域のレスポンスが高いとスポーティ(と勘違いしやすい)な印象となるが、直進時に左右に微妙に動くような特性となってしまうが、そうした部分も適度で高速道路の巡航も快適だ。レーンチェンジ時の動きも正確で、レーンチェンジ終了時の収束性も高い。

ステアリングはオプションとなるトムスのカーボン製が装着されていた。3本スポークの標準的なデザインで、スポークとホイールの結合部、つまり3時、6時、9時の部分がレザーとなる。3時と9時の部分は若干削れたような形状となっていて、スッキリと親指を沿わせることができる。カーボン部分は滑りやすい表面とすることで正しいステアリングポジションを促す設定は大歓迎だ。また、ドアを開けた際に足元に「TOM’S」のロゴを映し出すカーテシランプも標準で採用。遊び心の部分も忘れられていない。

残念なのはベースが完全なるアメリカ仕様のため左ハンドルとなること。しかし、このC35が話題となり、V6の6さが徐々に浸透。トヨタも黙っていられなくなり、国内使用にV6を追加……、などということの起爆剤になるかも知れない。なにしろ「いい」と言わしめるクルマなのだ。

カムリの歴史は1980年にデビューした『セリカカムリ』より始まる。カムリは「セリカ」の4ドアバージョン、つまりスポーティセダンとしてスタートしているのだ。そして、その歴史のなかにはプロミネントやグラシアといったV6モデルも存在している。スポーティさの追求、V6エンジンの搭載は、じつに自然なことだといえる。今回のこのC35の登場は、日本のセダンのよさを再認識させる1台であった。

C35の価格は650万円で、順次20台を販売予定。興味津々で実車を確認したいという旨も多いことだろう。それが2019年7月末と8月初頭の2回、東京と愛知の2カ所で可能になる。東京会場はトムスの本社(東京都世田谷区等々力6-13-10/TEL.03-3704-6191)で7月27日(土)と28日(日)の2日間、愛知会場はE.Rコーポレーションのプラチナロード・ショールーム(愛知県豊田市堤本町山畑7番地/TEL.0565-42-7333)で開催。いずれも10時スタートでトムスは17時まで、プラチナロード・ショールムは19時までとなってる。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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