ディーゼルモデルもラインナップするSUV3種…エクリプスクロス、CX-5、X2

三菱 エクリプスクロス ディーゼル(ブラックエディション)
三菱 エクリプスクロス ディーゼル(ブラックエディション)全 20 枚

様々なスタイル、エンジンラインナップで市場に続々と投入されるSUV。今年6月には、三菱自動車のクロスオーバー『エクリプスクロス』にクリーンディーゼルエンジン搭載車が設定された。そこで今回はミドルサイズSUVでディーゼルエンジンの選択肢も用意する3つのモデルを紹介したい。

三菱 エクリプスクロス

三菱 エクリプスクロス ディーゼル(ブラックエディション)三菱 エクリプスクロス ディーゼル(ブラックエディション)

エクリプス名義の最初のクルマは、北米市場向けのスタイリッシュなスポーツクーペだった。その名を受け継いだのが『エクリプスクロス』。「食(日食、月食)」を意味するエクリプスに、SUVらしく“クロス”と続けた命名。実車は、個性を主張する最近のSUVのなかでも、似たクルマがなくミステリアスな雰囲気があり、まさに車名どおりの存在感を放つ。

ではこのエクリプスクロスの魅力は何か? といえば、SUVでありながら、まるでスポーツセダンを駆っているような、純粋にクルマを走らせる楽しみが味わえる点にある。そのキーとなっているのが、4輪制御技術のS-AWC(=Super All Wheel Control)。前後輪間トルク配分、左右輪間トルクベクタリング、さらに4輪ブレーキ制御を緻密に行なうこの技術は、オフロードや限界領域で威力を発揮するのはもちろん、日常的なオンロード走行でもその効果が実感できる。ロジックは実に複雑だが、ごく自然にジワリと安定した走りにつなげているのがとにかくいい。自分の運転が上手くなったような印象と、クルマとはこんなに気持ちよく走るものなのか! という感慨を、SUVでありながら味わわせてくれるのは“ならでは”だ。

搭載エンジンは1.5リットルのガソリンダーボのほか、『デリカD:5』にも搭載される2.3リットルのディーゼルターボ(145ps/38.7kgf・m)も追加された。この2つのパワーユニットもクレバーなドライブトレーンに見合った性能を発揮している。とくにディーゼルは、8速スポーツモードATとの組み合わせで遺憾なくポテンシャルを発揮。スピードが乗った領域で胸のすくガソリンエンジンのようなレスポンスを体感させてくれる。足腰だけでなく心臓も鍛えたアスリート、という訳だ。

コンパクトなボディサイズは取り回し性に優れ、上下2段のリヤウインドは実質的にかなり低い位置までの後方視界を確保してくれるから安心感が高い。クーペのようなスタイリングから想像するより後席も広く、フルストローク200mmのスライド機構、16度・9ノッチのリクライニングも備わるので、乗車人数、荷物の積載など使い方にあわせたアレンジが可能だ。

パドルシフトも装備するドライバーズシートまわりは、操作が直感的に行なえる機能的なレイアウト。シルバーや艶ありブラックの加飾パネル部分もカッチリと質感の高い仕上げだ。Apple CarPlay、androidauto対応のディスプレイオーディオ(SDA)は全車に標準装備。“e-Assist”と呼ぶ安全運転支援機能も充実した内容となっている。

マツダ CX-5

マツダ CX-5 SKYACTIV-D 2.2(6MT)マツダ CX-5 SKYACTIV-D 2.2(6MT)

マツダの“新時代商品群”のトップバッターとしてデビューしたのが『CX-5』だった。“改革”は一巡、今度は“新時代の第2世代”へと一歩進むこととなり、初のフルモデルチェンジを受けたのが現在のモデルだ。

“2周目”だから当然だが、実車は、初代のSUVらしい素朴でプレーンなクルマから、乗ればわかる成長ぶりが印象的だ。たとえば室内空間のデザイン、質感、センスは初代に較べ明らかに進化、成長。細かなことながらインパネやコンソール、ドアトリムなど、インテリアの手で触れる箇所、目に入る部分の広範囲にソフトパッド(リアルステッチも入る)が採用されるなどクオリティが高められた。グローブボックスの内部が植毛処理されているなど、見えない部分の入念な手当ても見逃せない。また特別仕様として設定されるディーゼルのXDであればL Packageの上級グレード“Exclusive Mode”では、本杢の加飾パネルや、しなやかな感触のナッパレザーシートが備わり、前席にはヒートだけでなくベンチレーション機能も標準。同グレードでは、メーター中央に7インチのTFTメーターを採用し、すっきりと見やすい視認性を実現している。ついでながらステアリングヒーターもPROACTIVE以上なら標準装備と、SUVらしく通年で乗りこなしたいユーザーには嬉しい配慮も。

現在は上級モデルの『CX-8』があり、3列シートのユーティリティを求めるユーザーの受け皿になっている。その一方でこちらのCX-5は、初代以来の実用性、機能性の高さと、持て余さないボディサイズ、そして“SKYACTIVE”の名のもと、マツダならではのこだわりの走りの性能をスマートにバランスさせている点が特徴だ。

とくに走りに関しては、現在は2.2リットルのディーゼルターボにSUVクラスでは貴重な6速MTが加わり、ディーゼルを操る楽しみを堪能した…と考えるユーザーの期待に応えた。エンジン自体、現代的な性能要件だけでなく、ディーゼル特有のノック音を低減させる技術が盛り込まれるなどし、快適性、静粛性のレベルも高いものだ。ほかガソリンエンジンは2リットルに加え、2.5リットルターボも設定し選択肢を広げている。

それとGVC Plus(Gーベクタリング コントロール プラス)と呼ぶ、マツダ独自の“クルマのダイナミクス性能の統一感を調律することで人が運転しやすい車両特性を実現する技術”が盛り込まれている点も見逃せない。最新のCX-5では、旋回中のステアリングの“戻し”に復元モーメントを与える制御が加わり、高速走行時の車線変更、雪道などでクルマの安定性をさらに高める方向で効力を発揮するようになっている。こうしたこだわりの技術に裏打ちされ、SUVらしい確かなな走りを実現しているのがこのCX-5なのである。

BMW X2

BMW X2(海外仕様)BMW X2(海外仕様)

BMWでは“Xライン”をSUVと定義しながら、“SAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)”“SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)”と独自の表現を用いている。『X2』はその後者、つまりSACのもっともコンパクトで身近なモデルであり、すでに登場済みだった『X1』のクーペ版として設定された。

とはいえ単にXラインの大中小のヒエラルキーに収まっていないところが、このクルマのポイントだろう。登場時「そう来たか?!」と思わせられたものだが、スポーティな資質で鳴らすBMWのXラインにあって、姿カタチからして見るからにダイナミックで、ストレートにスポーティを訴求してきたのが特徴だ。新時代のBMWということもあったが、“見たこともなかったBMW”に仕上げられている点は売りのひとつ。キドニーグリルの天地に薄く裾を広げた形状、ルーフを低く抑えたキャビン、Cピラー左右に配したエンブレムなど、X2を言い表す要素だ。「自分に従う、常識に従わない」のキャッチコピーは、まさしく言いえて妙といったところ。若いユーザーをターゲットとしながらも、若い気持ちをもつベテランのユーザーが颯爽と乗りこなしてもサマになりそうである。

BMWはどのモデルも乗り込むと心地いいタイト感が味わえるが、X2も例外ではない…というか、セダンを超えてスポーツカーに乗り込んだような室内の雰囲気が味わえる。手首のスナッチで傾けて操作するシフトレバー、座ると身体にフィットするドライバーズシートなど、操作系はお馴染みのBMWの流儀どおり。シート高さを高めにセットすれば、エンジンフードが見渡せるポジションも作れる。

後席は足元のセンターコンソールの高さは意識するが、包まれ感のある着座姿勢で、十分に実用的だ。コンパクトでもラゲッジスペースが十分な容量なのもXラインの一員である証明といえる。

走りはコンパクトな外観のイメージどおりに、非常に俊敏だ。とくにワインディング路での身のこなしのシャープさはSUVであることを忘れさせる。“逆説的”だがMINIのようなBMW…そういえばお伝えできるかどうか。大径タイヤということもあり乗り味も引き締まってはいるが、スピードが乗るとBMWらしい上質な乗り味が楽しめる。搭載エンジンは3気筒の1.5リットルターボのほか、2リットルターボ(2種。ひとつはM35iに搭載の高性能版)、さらに150ps/35.7kgmの性能を発揮する2リットルのディーゼルターボも用意。し、トルクフルな扱いやすさはもちろん、軽快なパワーフィールがX2らしい軽快な走りをもたらしてくれる。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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