【スーパーフォーミュラ 第5戦】平川亮が熱暑もてぎ戦で悲願の初優勝を飾る…2位に可夢偉、3位キャシディはポイント首位に浮上

スーパーフォーミュラ初優勝を飾った#20 平川亮。
スーパーフォーミュラ初優勝を飾った#20 平川亮。全 12 枚

18日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第5戦の決勝レースがツインリンクもてぎで実施され、平川亮が悲願のSF初優勝を達成した。2位は小林可夢偉。3位にはニック・キャシディが入り、彼はシリーズポイント首位に浮上している。

わずかに暑さが和らぐとの予報も見受けられた決勝日。しかし実際には予選日に負けず劣らずの熱暑となった。スタート前の気温は37度、路温は49度(路面ドライ)。そして猛暑下の決勝レースは午後2時15分の定刻にフォーメーションラップ発進を迎えたのだが、ここでいきなりの波乱が起きる。

ディフェンディングチャンピオンで、今季もここまでシリーズポイントリーダーの座にあった#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)が8番グリッドから出遅れ、彼は最後尾でフォーメーションラップを終えるとピットロードに入り、ピットスタートへ。さらにはレーススタートを前に2台のマシンがグリッド上でストールしたらしく、フォーメーションラップやり直しでレースは1周減算となる(52→51周。2台はグリッド最後列まわしに)。決勝レースはドタバタした雰囲気で始まることとなった。

決勝にはソフトとミディアム、両方のドライ用タイヤを使用する義務があり(つまり最低1回のピットストップが必要)、これと燃費、さらには比較的ピットロスタイムが少ないもてぎであること、そして暑さによるタイヤのパフォーマンス変化等も各陣営が睨む状況下、今回は戦略が通常よりも多岐化すると予想された。

猛暑でも『なるべくソフトで長く走りたい』というのが各陣営の概ねの総意。それに基づき、1ストップ作戦や2ストップ作戦がいろいろなバリエーションで展開されることとなった。2周連続ピットストップでミディアムを1周だけで“捨てる”戦略や、“最終周ピットイン&タイヤ交換&ゴール”という作戦も見られることに。

そんななか、2番グリッドからソフト装着でスタートした#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)は23周目、同じくソフト発進だったポールシッターの#64 A.パロウ(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)をパスしてトップに浮上する。そして12秒のマージンを築いて37周目にピットへ。ミディアムへのタイヤ交換とゴールまで行くための給油を済ませ、5番手でコースに戻る。

ここで#20 平川の前に出た4台のうち3台が翌周ピットに入り、#20 平川は2番手に。#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)が暫定首位に立ったが、彼はまだ1度もタイヤ交換していないため、実質の首位は約20秒後方の#20 平川で変わりない状況だ。#18 可夢偉が42周目にピットインし、#20 平川はトップ復帰、そのままその座を守って念願のSF初優勝を飾った。

#20 平川亮のコメント
「嬉しいというよりも、感謝したい気持ちの方が大きいですね。頑張ってくれたチームのみんな、支えてくれた家族、信じて応援し続けてくれたスポンサーの方々やファンのみなさんに感謝です。今週のレースには自信をもって臨めました。初優勝できたので、ここから2勝、3勝としていきたいと思います」

まだSFで勝っていないのが不思議なくらいだった25歳の実力者・平川(2017年GT500王者)が、ついに大願成就。今季は前戦までまさかの無得点だったが、今回のもてぎ戦では金曜から好調を持続し、金曜トップ~予選2位~決勝優勝という流れで待望の頂点へ。本人も言うように、今後はハイピッチでの勝利積み上げを期待したくなるところだ。そしてその可能性は充分にもっているだろう。

2位は#18 可夢偉。参戦5年目、表彰台は何度も獲得している彼にとってもSF初優勝は悲願だが、今季だけでも2回目の2位という結果になった。「予選7位からの決勝2位ですから、喜ぶべき結果だとは思います。今回は予選が思ったほど良くなかったですね。でも、レースに向けては自信がありましたし、チームのピット作業も良かった。こういうレースを続けていけば、いつか勝つチャンスも来ると思います」。次の初優勝候補者は間違いなく彼だ。

3位には予選12位から#37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)が入っている。彼は序盤4周目にピットインして、そこからソフトでゴールまで走りきる作戦を採ったのだが、これが奏功し、終盤には3番手に位置していた#64 パロウもパスする見事な走りで表彰台の一角を得た(#64 パロウは最終結果4位)。ポイントリーダーだった#1 山本が9位で今回無得点に終わったため、チャンピオン争いでは昨季惜敗の準王者だった#37 キャシディが首位に浮上、上位は下記のような状況へと変化している(以下、すべて手元計算)。

28点 #37 N.キャシディ(TOM'S/トヨタ)
27点 #1 山本尚貴(DANDELION/ホンダ)
20点 #64 A.パロウ(NAKAJIMA/ホンダ)
19点 #18 小林可夢偉(KCMG/トヨタ)

残りは2戦、最終戦ボーナスを含めて最大で25点獲得可能だ。トップ2がやや抜けている感もあるが、上記4人に自力王座の可能性が残っており、可夢偉の次が現在12点と少し離れていることから考えても、“4強”にほぼ絞られたと見ていいかもしれない(また、次戦の結果に関わらず、王座決定は最終戦まで持ち越されることが確定)。

今回の決勝5位は#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)。フル参戦は今季が初となる若手の福住、これで今季3回目の5位入賞となった。6位は#38 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)、7位に#50 L.アウアー(B-Max Racing with motopark/ホンダ)、そして8位には#16 野尻智紀(TEAM MUGEN/ホンダ)がそれぞれ入賞した。

“ラスト前”となる次戦第6戦は、岡山国際サーキットで9月28~29日に開催される。今季6人目のウイナー誕生か、あるいは最初の2勝目達成者が出るか。もちろん“4強”の王座争いの行方にも注目が集まることとなる。

《遠藤俊幸》

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